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<2005/06/29>

障害者雇用促進法改正案、参院厚労委で可決

 昨日(6月28日)、参議院厚生労働委員会(参院厚労委)において、、障害者雇用促進法改正案が全会一致で可決されました。

 同改正案は、本日午前中に行われる参議院本会議において成立する見通しです。

 なお、参院厚労委では、精神障害者の雇用義務の対象化についての検討、在宅就業制度の普及の要因となるような在宅就業障害者特例調整金についての設定の配慮、発達障害者の就労支援および雇用率への適用の検討、などからなる20項目の附帯決議が採択されました。

 以下、障害者雇用促進法改正案の附帯決議です。


障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議

平成十七年六月二十八日
参議院厚生労働委員会

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

一、附則第二条に規定する検討は、平成二十一年度末までに結果が得られるよう関係審議会において行うこと。また、その際、雇用義務の対象に精神障害者を加えることも含めて検討を行うこと。

二、視覚障害者等就職の困難な障害者の雇用を促進するため、障害の重さの程度区分が職業生活上の困難さを配慮したものとなるよう障害者雇用率制度の見直しを行うとともに、障害者雇用納付金制度においては、納付金の額、徴収範囲、報奨金の在り方等についても見直しを行うこと。

三、知的障害者、精神障害者、発達障害者等の個々の障害特性に応じてきめ細かな支援を行うことが必要な求職者が増大していることにかんがみ、適切な職業訓練の機会を十分確保するとともに、専門的な知識経験を有する者を公共職業安定所に相談員として配置する等相談支援体制の充実強化等により有効求職者の解消を図ること。

四、障害者の雇用機会の一層の拡大を図る観点から、精神障害者に対しては、グループ就労等の多様な就労形態の促進等、必要な支援措置を講ずること。また、一般雇用への就労が困難な障害者に対しては、多様な就労の場が確保されるよう、積極的な取組を行うこと。

五、精神障害者を実雇用率に算定するに当たって、雇用率の達成指導を引き続き厳正に行うとともに、精神障害者保健福祉手帳の取得強要及び申し出の強要など本人の意に反した雇用率制度の適用等が行われないよう、プライバシーに配慮した対象者の把握・確認の在り方について、必要な措置を講ずること。あわせて、従来、各企業において取り組まれているメンタルヘルス対策について、引き続き充実が図られるよう指導を行うこと。また、精神障害者については、メンタルヘルス対策とともに、円滑な復職や職場定着を図るための必要な措置が採られるよう指導を行うこと。

六、精神障害者の雇用環境の整備を図るため、障害者本人及び企業に対する支援策の充実を図るとともに、公共職業安定所、地域障害者職業センター等の支援機関における相談・支援体制の整備に努めること。また、精神障害者の職業能力開発を効果的に実施するため、職業能力開発校における職業訓練内容、カリキュラム、指導方法等を早急に確立し、普及させること。

七、在宅就業障害者特例調整金については、障害者雇用調整金との均衡を踏まえ、適切な額を設定すること。また、特例調整金を支給する際の基準となる評価額の設定については、企業が在宅就業障害者に対して仕事を発注しやすくなるような水準に設定すること。

八、在宅就業支援団体の育成に努めるとともに、在宅就業支援団体の適正な業務の運営を確保するため、その登録に当たって登録要件への適合等を厳正に審査するとともに、登録後においても、業務運営基準の遵守等を徹底するための厳正な監督指導を実施すること。

九、通勤等の困難な障害者の雇用を促進するため、企業における障害者の在宅勤務制度の普及・促進を図るための必要な措置を講ずること。

十、障害者の職場定着を着実に進めるため、職場適応援助者(ジョブコーチ)に関する助成金の新設に当たって、企業において障害者と共に就労した経験を有する人材を活用する等により、質を確保しつつ必要な数の職場適応援助者の確保に努めること。

十一、週二十時間以上三十時間未満の短時間労働について、重度以外の身体障害者・知的障害者に対しても実雇用率を適用し、法定雇用率の算定上にも身体障害者・知的障害者の短時間労働を反映させることについて影響を十分検討し、その結果に基づいて、必要な措置を講ずること。また、納付金等の算定に当たっても同様の取扱いとすること。

十二、派遣労働者としての障害者の雇用について、障害者雇用の促進を図る観点から、その実情を含め検討を加え、その結果に基づいて、必要な措置を講ずること。

十三、障害者の働く場の一層の創出を図るため、企業内で職務を整理して仕事を分かち合うこと、工業団地や商店街のような地域において、障害者を多数雇用する企業に仕事を出し合うこと等を通じて、企業が企業内外における障害者の働く場の創出に取り組むことを推進すること。

十四、企業名及びその雇用率の公表を前提とした指導を強化するため、雇入れ計画作成命令の発出基準等の指導基準を見直す等により雇用率制度の厳正な運用を図るとともに、そのための体制整備に努めること。

十五、国、地方公共団体、独立行政法人等の公的機関において、率先して障害者の雇用を進めるよう努めるとともに、個々の機関の雇用率等、障害者雇用の現況を自ら公表するよう指導すること。特に都道府県等の教育委員会の実雇用率は、依然として法定雇用率を大きく下回る水準にとどまっており、作成した採用計画の着実な実施等、障害者の採用拡大に向けてなお一層の取組を進めるよう必要な
措置を講ずること。

十六、発達障害者の就労を支援するため、雇用率への適用を検討するとともに、発達障害者支援センター等との連携を取りつつ適切な職場適応援助等を行うこと。

十七、公共職業安定所等労働関係機関と各教育機関が障害のある生徒の社会的・職業的自立に向けた教育、進路指導、就業した卒業者の職場適応・定着支援とそれに対応した職業リハビリテーションの実施に当たって、各段階において連携協力を図り、総合的な指導・支援を行うよう努めること。

十八、障害者の雇用機会の拡大のためには、障害者に対する教育内容の充実と教育現場でのノーマライゼーションの実現が重要であることから、障害者教育の見直しを積極的に進めること。

十九、就職の困難な重度障害者の職業訓練機会が狭められることのないよう、委託訓練の政策効果の評価に当たっては、障害の程度に応じた就職率を把握・評価する等、きめ細かな対応を行うこと。

二十、平成十九年に日本で開催される国際アビリンピック大会の準備及び運営に当たっては、これを契機として障害者の雇用・就業機会の一層の拡大が図られるよう万全を期すこと。

 右決議する。


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