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<2009/04/24>

第16回今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会が開催されました 

 4月23日(木)10時より、厚生労働省 専用第22会議室(東京都千代田区)において、標記検討会が開催されました。事務局より、「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会【中間まとめ】対応状況」「訪問看護について」「早期支援について」「普及啓発について」の資料が示されました。早期支援や普及啓発においては学校教育との連携が不可欠とされることから、文部科学省専門官も同席のもと、議論が行われました。

1.中間まとめについて

 事務局より、資料に基づき、以前に検討会より発表した「中間まとめ」が、閣議決定を経て審議を待つ状況にある改正障害者自立支援法案等にどのような形で反映されているかについての説明がなされました。資料を確認いただくとわかりますが、実際に施行されると、かなりの内容が法制度に反映されたように思えます。

2.訪問看護について

 事務局より資料に基づいて説明がなされ、「訪問看護の充実の必要性」および「複数、多職種による訪問看護」の2点について主に意見が出されました。

1)訪問看護の充実の必要性について

 まず、構成員より、地域で多くの方がより安定した生活を送るためには、生活の場に医療が出向くことの必要性は非常に高く、地域生活支援を重視する現状も踏まえ、訪問看護の充実をぜひお願いしたい、という意見が多数上がりました。

また、診療報酬について、医療機関では多職種によるチーム支援が訪問でも可能だが、ステーションでも、そのような観点で、診療報酬上に違いがあるのを見直すべきではないか、精神科医療機関が行う訪問看護では認められている精神保健福祉士の訪問が、訪問看護ステーションでは算定できない、という矛盾については、改善を求める声が複数出されました。

 今後の課題として、高齢化に伴い、体力低下に関するケアやバイタルチェックの必要性が生じる方の増加等があげられ、地域で安定した生活を送るためには、訪問看護が非常に重要な役割を果たすことが確認されました。また、身体機能の回復等に関しては、障害者施策としての訪問リハビリテーションが主にその役割を担っているが、3障害一元化のサービス整備の中、精神障害者の合併症やADLの低下についても、訪問リハビリテーションと訪問看護、各々がどの役割を果たすのかを検討する必要があるのではないか、との意見が上がりました。事務局からは、問題の認識はしているが、具体的な議論までは進んでいない状況であるとの説明がなされ、今後の議論の必要性が確認されました。

 また、訪問看護の有効性が確認される一方で、訪問看護の利用をきっかけに、本人の希望しない社会資源の利用等、適切なサービス利用につながっていないケースもあるのではないか、との意見も出されました。

2)複数、多職種による訪問看護について

 医療の視点からだけではなく、生活の視点からの支援を行う、という意義も指摘され、多職種で訪問看護を行うことの必要性は高いのではないか、という意見が出されました。訪問の結果、生活保護や年金の申請、障害福祉サービスにつながるケースも多くある、という報告もなされました。

 しかし、一方で、複数訪問をした場合、交通費負担や医療費の自己負担分が当事者の大きな負担となるため、経済的な配慮が必要なのではないか、という指摘もなされました。また、事業所を経営するうえで、診療報酬を意識せざるをえない部分があり、本当に必要な支援が行き届いているか、また過剰な訪問を行っていないか、という点は見直さなければならない、という意見が出されました。その上で、複数の職種で訪問する場合には、各々の職種がどのような役割を果たし、いかに機能するか、という確認が必要であり、訪問計画書等を活用して適切な訪問看護の提供を行うべきだ、との意見が上がりました。

 また、作業療法士や精神保健福祉士等、看護師以外の職種が精神科訪問看護を行えることに対する認識がまだ弱い部分もあり、多職種の配置につながっていない事業所も多いのではないか、訪問看護という用語の検討も必要ではないか、という声が上がりました。また、病院のスタッフの地域移行の観点からも、准看護師が訪問看護においてより機能できるような法整備を求める声が上がりました。

 最後に、当事者の構成員からは、訪問介護は具体的な生活の支援をしてくれるが、訪問看護は生活ぶりをなでまわすように見ていくだけと言う人もいる。安心して暮らせることが一番大切であり、そのための支援を行ってほしい、との要望が出されました。また、訪問サービスを断りたいけれど断れない、という当事者がいることも事実であり、各専門職は互いの職種によりかからず、それぞれの役割を果たしてほしい、という指摘がされました。

3.早期支援、普及啓発について

 事務局より資料に基づいて説明がなされ、「学校教育との連携について」「早期支援の在り方とその後のフォロー体制について」「効果的な普及啓発について」の3点について主に意見が出されました。 

1)学校教育との連携について

 まず、早期支援が重要なことは明らかであり、学校保健との連携が必須であるという点について、多くの構成員から意見が出されました。多くの支援対象者が学校現場にいると推測されるが、必要な知識についての教育が十分なされていない現状に加え、精神保健医療福祉関係者が学校側と連携をとろうとしても、壁があるように感じることがままある、という意見が出され、初期症状や必要な対応等について、本人や親に対して十分な情報を提供し、早期支援に努めるべきであるとの指摘がなされました。

 また、学校教育現場において、精神保健に関する教育に取り組むこと、及び精神保健医療福祉関係者と連携していくことの2点について、可能性や見解を伺いたいという要望があり、文部科学省の専門官より回答がなされました。

 まず、精神保健に関する教育への取り組みに関しては、学習指導要領で心の健康の基本的な内容については教えることになっているが、個々の疾患等については、現場の教師の知識等が不十分であるため、まだ行っていないとの報告がなされました。また、2009年4月に施行された学校保健安全法に「関係機関との連携」の項目が新規に盛り込まれたことが示されました。

 それに対しては、教師の知識不足を早急に改善し、早期に教育を開始してほしい、という意見や、教師のみが授業を行うことに捉われず、地域の専門家を招いて講義等を行う方法も考えられるのではないか、との意見が出されました。

 また、発症から治療開始までの期間が長くなっている現状について、保護者や本人が就学との兼ね合いで迷いがある時期があるのではと推測され、一日でも早く治療に結びつけるためには、就学者が治療に専念できる復学保証等の環境づくりが必要なのではないか、との指摘がなされました。家族会の構成員からは、休学や診断書提出等の手続きで家族も本人も疲弊することなどから、学校教育の場は、障害や病気で困難を抱えている人に冷たいという印象を受けた、との感想が上がりました。

 加えて、教育委員会の産業医としての経験から、教育現場においては、教職員がメンタルヘルス上の問題で学校を休む際に、明確に説明をせずうやむやにしているケースが多いように感じるが、そのような対応の在り方が、「どうもまずい病気に罹っているようだ」との印象を与え、生徒たちの精神障害、精神科疾病に対する偏見を強め、悪影響になる可能性があるのではないかとの指摘がなされました。誰もがかかりうる病気であるという認識を広めるためにも、そのような場面から正確な情報提供を行う必要があるのではないか、との意見が出されました。

2)早期支援の在り方とその後のフォロー体制について

 早期支援の必要性は確認しながらも、どのような体制であれば効果的な早期支援を行えるか、という点について、様々な意見が出されました。

 まず、必要な医療、望む医療をどこで受けられるか、ということについての情報が少なく、医療福祉側の判断や体制にもばらつきがある、という意見が出されました。

 家族会の構成員からは、病院で診断を受けるところまでが早期支援ではなく、そこからが本人にとっても家族にとってもスタートであり、より手厚いサポートが必要になるということが指摘され、早期介入後のサポートや均一なサービスの必要性が述べられました。

 また、資料では、精神的不調を学校のカウンセラーや相談員に相談しにくいというデータが出ているが、学校は子どもにとって特別な磁力の働くところであり、校内では相談しにくいケースも多いのではないか、という指摘とともに、学校外にある相談機能も必要なのではないか、との意見が出されました。一方、効果的な実践をしているカウンセラーや相談員についてはインセンティブを与えるなどして、より良い実践を広める工夫も必要なのではないか、という提案がなされました。

 加えて、早期支援の考え方の前提として、受療拒否のケースや生活支援の必要性を考慮すると、医療モデルを中心にとらえるのではなく、医療と福祉が一体となった支援体制が必要なのではないかとの指摘がなされました。また、総合病院の精神科等でも学校関係者や保護者からの相談を受けることはあるが、対応しきれない部分もあり、児童青年期の治療機関やシステムの充実を求める声が上がりました。

3)効果的な普及啓発について

 報道機関の構成員より、精神障害、精神科疾病等について、誤解を招く報道等があった場合には、各社に設置されている苦情受付窓口の活用等を、との提案に加えて、一方では、ポジティブな普及啓発を行う必要があるのではないか、との意見が出されました。知的障害者や発達障害者については、テレビドラマ等で障害への理解や認知度が高まった側面(知的障害者を主人公にしたドラマでは、初回の放映後翌日までに番組のホームページが150万回ヒットした)もあり、精神障害者についても、同様の効果を期待できるのではないか、との見解が示されました。

 また、普及啓発を行うにあたっては、当事者と直接接する機会を持つことが最も重要であり、頭だけではなく、心で学ぶことが大切である、との指摘もなされました。

 最後に、当事者の構成員より、 普及啓発は慎重に進めていくべきものであり、早期支援に関しても、いい精神保健医療福祉体制があってこそ、初めて有効に機能するものだとの指摘がなされました。そのためにも、関係者全員が団体や組織にとらわれず、できる範囲で支援を行うことが大切であり、また精神保健医療福祉に携わる専門職自身がこの分野をネガティブに捉えていないか、各々の実践等を振り返り、反省していただきたいとの指摘がなされました。

また、精神保健福祉分野の構成員より、誰もが参加し協働する、どこででも語り合える精神保健福祉であるように、当事者から学び、課題に挑戦し、一緒に環境を整える使命を感じながら支援を行っていきたい、また、人間がかかる疾病であることを再認識し、実践を示していきたいとの感想が述べられました。

 次回の検討会は5月21日に開催される予定です。 

傍聴記録:事務局 今井悠子

※今回の配布資料については、WAMNET(http://www.wam.go.jp/index.html)で公開され次第、リンクを貼ります。


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