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<2009/09/18>

第24回今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会が開催されました 

 

 本検討会は、2004(平成16)年9月に厚生労働省においてとりまとめられた、概ね10年間の精神保健医療福祉改革の具体的方向性を示した「精神保健医療福祉の改革ビジョン(以下「改革ビジョン」)」の中間見直しを行うため、本会までで24回の検討が重ねられたものです。
 9月18日の第24回検討会では、「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本理念を掲げた改革ビジョンの、後期5か年の方向性の見直しとして最終的な意見の集約が行われました。これをもって2008年4月から1年半にわたり開かれた検討会は終回となります。
 今回は、前回の検討会で出された意見をまとめた報告書案を基に、構成員より最終的な修正や意見が出されました。


 報告書案として事務局より提示された「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」は、以下のような構成となっています。

 はじめに/我が国の精神保健医療福祉施策の沿革/精神障害者の状況/改革ビジョンの後期重点施策群の策定に向けて/精神保健医療福祉の改革について/今後の課題/おわりに

 上記報告書案では、「精神障害者の状況」として、精神病床の入院患者は、32〜33万人と未だ減少していない旨が示されています。中身をみていくと、平成11年から平成17年の間に統合失調症による入院患者は1.5万人減少する一方で、認知症患者が1.5万人増加していると指摘され、今後も認知症による入院患者は増加することが推計されています。
 また、「受入条件が整えば退院可能」な患者については、平成17年患者調査においては約23%の約7.6万人と示されています。一方、病床調査でも同様の項目について調査を行っており、ここでは約34%と患者調査よりも高い割合が報告されています。また、その内訳は「現在の状態でも、居住先・支援が整えば退院可能」な患者は約16%(全体の約5%)となっています。

 「改革ビジョンの後期重点施策群の策定に向けて」では、改革ビジョン前期の評価と、現状、さまざまな分野での課題が具体的にまとめあげられました。また、改革後期5か年の目標値が掲げられ、新たな目標値として、統合失調症による入院患者数は約15万人(平成17年から4.6万人の減)とし、認知症に関する入院患者等の目標値は平成23年度までに具体化すると示されました。また、改革ビジョンで前期に引き続き掲げるものとして各都道府県の平均残存率や退院率等の数値が掲げられています。


 報告書案については、総論として「改革の歩みを止めない」としたことについて構成員より評価されました。また、今後新たな重点施策群の策定等が行われる際には、このような検討を行う場を設けることを強く求めると示されています。
 検討会を通し、多くの貴重なデータが提示されたことについて、今後もデータの公開・共有をはかることの重要性が意見されました。
 また、改めて社会的入院を減らすことについて強調され、病床削減、いわゆる精神科特例の廃止、診療報酬を上げることの意見がありました。さらに、精神障害者の復権については、もっと明確に記述を入れるべきと指摘されました。

 数十年後の将来ビジョンを描くところまではこの検討会では不十分であったが、これまでの改善点についてはよく話し合えたとされ、今、日本の精神保健医療のあり方は世界から見ると遅れているが、しかし逆に今こそ世界最先端を追えるとの意見がありました。

 もっと具体的な書き方、「必ず行う」という意思表示に欠けるところがあるのではないかとの指摘もありながら、大筋で報告書には合意がされました。最終的なまとめは座長に一任され、事務局にてとりまとめてから構成員に最終確認し、来週を目途に公表予定となっています。長妻厚生労働大臣へも改革ビジョン後期の策定に向けて手続きを進めると事務局より報告されました。

 

 今回の検討会の資料と報告書は、インターネットに掲載次第リンクを貼る予定です。

 

傍聴記録:事務局 植木 晴代


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