精神障害者社会復帰施設の拡充を求める中央実行委員会

・2003/12/22/NEWS/トップへもどる/バックナンバーへもどる

1,000人を超える参加者が集い、関係者の切実な現状が訴えられる!
−「精神障害者社会復帰施設の拡充を求める12.16の集い」開催される−

 12月16日(火)、九段会館(東京都千代田区)にて「精神障害者社会復帰施設の拡充を求める12.16の集い」(12.16の集い)が開催された。会場には1,000名を超える関係者が全国各地から集い、会場内は参加者の熱気に包まれる中、午前10時に開会された。

▲開会挨拶をする新保実行委員長

 司会は日本精神科看護技術協会の仲野栄常務理事が務め、はじめに新保祐元実行委員長(全国精神障害者社会復帰施設協会理事長)が挨拶、状況の厳しさと運動の決意、財政の仕組み上の問題、今月12日に開催された社会保障審議会障害者部会での議論の経過等が報告された。

 続いて、来賓としてご参加いただいた社団法人日本精神科病院協会の仙波恒雄会長と日本障害者協議会の河端静子代表から、それぞれの立場で熱のこもったご挨拶をいただいた。

 その後、大友勝事務局長(全国精神障害者地域生活支援協議会代表)から経過報告が行われ、10万人署名活動について、12月15日現在で89,634名の署名が集まっていること等が報告された。

▲「各地からの切実レポート」を行う
皆さん

 午前中のメインのプログラムである「各地からの切実リポート」では、大森秀夫実行委員(日本精神科看護技術協会専務理事)が進行役となり、根本あや子さん(SANNET青森代表/青森県)、小林亮一さん(絆の会理事長/長野県)と中村文夫さん(絆の会)、保田尚芳さん(つむぎ共同作業所/和歌山県)、相澤與一さん(ひびき理事長/福島県)、平野あい子さん(あどばんす/新潟県)、西川良一さん(御影倶楽部施設長/兵庫県)等から、今回の不採択問題がもたらした影響の大きさ、切実さが報告された。

■主要5政党の代表者によるシンポジウム

 
▲主要5政党の代表者によるシンポ
 ジウム

 午後は、第2部として「社会復帰施設施設整備費の大量不採択をどう見る、明日に向かっての我が党の主張」をテーマに、主要5政党の代表者(自由民主党:八代英太衆議院議員、公明党:福島豊衆議院議員、民主党:朝日俊弘参議院議員、日本共産党:小池晃参議院議員、社会民主党:阿部知子衆議院議員)によるシンポジウムが行われた。
 このシンポジウムでは、コーディネーター(藤井克徳実行委員・事務局次長/きょうされん常務理事、木太直人実行委員/日本精神保健福祉士協会副会長)より、1)精神保健福祉施策の現状をどう見るか、2)今回の不採択問題をどう見るか並びに、精神保健福祉施策の中長期的あり方について、3)国会での論議のありようについての3つの柱が設定された。
 また、指定発言として、当事者の立場から小坂功さん、家族会の立場から江上義盛さん、そして事業者の立場から佐藤あゆみさんから発言があった。

▲1000名を超す参加者が集った会場

 コーディネーターの踏み込んだ質問に対して、シンポジストより全体としては真摯で率直な応答がなされた。具体的な成果としては、八代議員から1)こうした事態が起こったことは政府・与党に身をおくものとして残念な結果であったこと、2)追加採択された40カ所分は予算が2年度にまたがっているが、単年度で対応する方向であること、3)残りの86カ所分については平成16年度予算で優先的に対応し、平成17年までにはすべて対応する方向で努力していること、が示された。また、補助金という予算の仕組みについて、「法律に裏打ちされた仕組みの検討が望ましい」として、その方策の例として「社会復帰施設整備促進法」のような法制度が必要との認識も示された。
 精神保健福祉施策の中長期的なあり方については、朝日議員からの「医療で抱え込んできた現行の精神保健福祉法を“福祉”と“医療”を切り離した法体系に整備しなおす必要性がある」との問題提起に小池、阿部両議員からも同意見が出され、八代、福島両議員も共通認識であることから、予定される次期法改正作業に向けてその方向で検討していく旨の発言があったことは、このシンポジウムの大きな成果といえる。
 国会での議論のありようについては、阿部議員から「障害者国会などの開催は前向きに検討したい」との発言や、小池議員から「障害者問題に対する理解は、国会議員の中でもまだまだ不十分であり、民間から強く働きかけをすること」の必要性を求める発言がだされた。
 プログラムの最後に、鴻上まゆみさんと東陽子さんから、本日の集いのアピールが読みあげられ、参加者一同の総意として採択された。
 「集い」の締めくくりにあたって、全国社会就労センター協議会の鈴木清覚副会長より閉会の言葉が述べられた。

■厚生労働省への要請行動

 「12・16の集い」終了後、約300人の参加者が厚生労働省前に集い、全国精神障害者地域生活支援協議会の伊澤雄一副代表や田中直樹実行委員(同協議会事務局長)、斎藤なを子実行委員(全国社会就労センター協議会制度・政策・予算対策委員会副委員長)が中心となって、約1時間にわたるアピールが行われる中、実行委員会の代表団は厚生労働省の矢島精神保健福祉課長等に約9万人の署名を添えた要望書を提出するとともに、シンポジウムでの八代議員からの発言における追加採択・不採択分の取り扱いの確認を中心に協議を行い、次の回答を得ることができた。

▲約9万人の署名を添えた要望書を
厚労省へ手渡す新保実行委員長

1.実行委員会や集会参加者の皆さんの要望や署名は激励や応援と受けとめ、引き続き最大限の努力をしていきたい。
 財政事情はきわめて厳しいが、八代議員をはじめ与党議員からのご指摘もあり、精神保健福祉課としては新障害者プランの数値目標をなんとしても確保したいと考えている。

2.追加採択した40カ所分については、2年度にまたがっているが、当該都道府県等が現在でも予算を確保しているか、当該団体が現時点でも対応できる状況にあるか、現在確認作業を行っている。対応できる自治体については今年度予算で対応する。時期については1月以降。明確な時期は現段階では言えない。

▲厚労省前で参加者に呼びかける
高橋副実行委員長

 交渉を終えた代表団はアピール参加者と合流し、新保実行委員長から上記の回答内容が報告され、最後に高橋一副実行委員長(日本精神保健福祉士協会会長)からは「これからも一丸となって頑張りましょう」と参加者への力強い呼びかけがなされた。

 なお、12・16の集いの準備に係る厚生労働省との折衝の中では、次の説明もなされている。
 1.今年度予算で採択できなかった86カ所分への対応については、1)未設置地区優先、2)都道府県間の地域バランス、3)都道府県の意向、の3点を踏まえ、平成16年度予算で優先的に採択したいと考えている。

 2.予算の仕組みについて、当面現状の方式を変えることは難しい。しかし、三位一体の改革、補助金削減の動向、7県知事のアピール、12月12日の社会保障審議会障害者部会の部会長メモ等を踏まえ、介護保険を視野に入れた議論を早急に行いたいと考えている。

(文責:実行委員会)

 精神障害者社会復帰施設施設整備費等国庫補助金に関する要望書
 アピール


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