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東日本大震災復興支援委員会メッセージ

いただいたご縁、伝えたい思い

東日本大震災復興支援委員会委員
 三瓶 芙美

  昨今も各地で噴火や洪水、台風、豪雨など様々な災害が起こりました。被災され、これまでとは全く違う環境のなかでの避難や生活を余儀なくされていらっしゃる方々におかれましては、心よりお見舞い申し上げます。
 すっかり秋めいてきました。ここ神奈川でも金木犀の香りを感じ、こうして季節の変わり目を感じる時、いつもふるさと福島の今はどうだろう、と気にかかります。

 震災後、原発事故により県外避難された方の相談や茶話会支援などを続けております。また、この委員会活動を通し様々な出会いがありました。今となっては折々に「あのひとは今どうしているだろう」と思いを巡らせる機会も多くなりました。今もなお、全国にちりぢりになった故郷の方々を思います。

 茶話会ではこの4年間、たくさんのお話をしてきました。慣れない土地に住まい、徐々に普段の生活に慣れ周囲にとけこみつつ、地元を懐かしむ思いや続く不安、家族とも話題にできなくなったやるせなさ、怒り、それでも帰りたい思いや希望…。素直な気持ちや語りたい思いを語れる場所も少なくなっているように感じます。「先日一時帰宅をしてきました」「そろそろまた自宅に戻って草むしりをしないと、みっともないからね、父さんと建てた家だから…」「庭の木に実がなっていました、もう採れないんだけどね」「今の時期は町内のお祭りやったころよねぇ」茶話会で語られる、ふとした一言にハッとさせられます。戻れない家、地域、故郷、家族、そこにはただの「場所」では片づけられない大きな意味や存在がありました。

 茶話会に参加されていた方々も、この間少しずつ神奈川から福島県内の復興公営住宅に居を移されたり、家庭や仕事の状況に伴い避難先を変えたりと徐々にメンバーが少なくなり、寂しくも新たな暮らしを再建するための別れをたびたび経験してきました。しかし皆さんにとって「あの日、着の身着のまま始まった避難生活」はまだ続いていますし、続いていきます。本意ではない限られた選択肢の中から、人生(くらし)の選択を迫られるということが、どんなに苦しいことであろうかと思います。お一人お一人に言い尽くせぬ思いがあります。

 私にとって復興支「縁」とはなんだろうか。自問しつつ、これまで出会った方々とのご縁と頂いた言葉や思いを大事にし、「今も続いていることを忘れないで」という思いをたくさんの方に知っていただくことは、私にもできることではないか、そんなことを考えながらこのメッセージを発信させていただきます。
 今年度、復興支援委員会では「復興支縁ツアーin福島」を企画しております。神奈川にいる上京組の私も、「今の福島を知りたい」「また会いたい」そんな気持ちです。皆さんもぜひ、福島にご一緒しませんか?