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東日本大震災復興支援委員会メッセージ

石巻から~市立病院の再開に思う~

 東日本大震災復興支援委員会 福井 康江

 石巻市で仕事をするようになり、半年が経った。人、言葉、地名、地理感、少しずつではあるが、馴染んできていることを実感することが増えたように思う。 

 先月9月1日、石巻市としては悲願であった市立病院が再開した。

 震災時、旧北上川河口に程近く経っていた市立病院は、1階部分が壊滅的な被害を受け、当時入院患者153名、職員等関係者233名、見舞客及び避難者66名の計452名が孤立した状況となり、全ての方が脱出できるのに4日かかったとのこと。

 新しい病院は、石巻駅前にある市役所と道路を挟んで隣り同士に建ち、市民の方々への安全性と利便性が図られている。建築は26年10月から工事が始まったと聞いているが、約2年弱の月日が掛っている。

 市民の地域医療の中核となる病院を5年以上も失うことが、どれほどのことであったであろうか。なじみのある病院や病院スタッフを突如として失うことは、真に大きな不安や喪失となっていたことであろう。疾患を抱えながら一人外へ投げ出されたような思いを、感じていたのではないだろうか。また、病院スタッフは当時もその後も、どれほど大変な思いをしてきたことか、私が思いを馳せるにも至らないであろうと感じている。そして何よりも、こうした現状を支えてきた実に多くの方々がいたことも、常に心に留めて置かなければならないと、新病院を前にして新たな思いを重ねた。

   
△被災したグランドピアノ。石巻市内の楽器店が修復し、米国の人気歌手シンディ・ローパーさんから寄贈をうけた。