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東日本大震災復興支援委員会メッセージ

3.11を前に、立ちすくみ、考えています。

 東日本大震災復興支援委員会 三瓶 芙美

 職場の河津桜も満開になり、東北より一足先に、ここ神奈川は春の兆しを感じる日も増えてきました。東日本大震災から丸6年を迎えるこの3月、皆さんは、どんなことをお考えでしょうか。この原稿に取り組んでいる今日2/28も、東北を中心に大きな地震が発生しました。遠く神奈川の職場でも大きな揺れを肌に感じ、震源を確認しては胸を締め付ける思いで家族や関係者、出会った色々な方を思い案じています。

 震災から1年の頃、神奈川での避難者支援の取り組みの中で、福島から避難してきた学生と出会いました。その学生は震災当時、憧れの高校への進学が決まり、合唱に取り組むことを夢見ていましたが、原発事故の影響を受け、やむなく福島を離れました。私自身も合唱王国福島に生まれ、合唱に青春をかけた者として、その学生になんと言葉を返したらよいか分からず、学生の無念への共感と、やるせない虚しさを感じました。避難先の慣れない暮らしと転校した神奈川の学校生活で「方言が悩み」と言っていたあの学生はその後、どんな心境で今を生きているだろうかと、時々思いを巡らせます。

 震災から丸6年を迎えたこの平成29年3月末を目途に、避難先の住宅へ対する補助も縮小や終了を迎える方もあり、神奈川県内でも多くの方がまた住み家や生活の場を変え、尚も元の暮らしには戻ることができず、それぞれに形は違えども大人も子どもも暮らしや人生をも変えるような選択や決断を迫られ、様々な思いや葛藤の中にいらっしゃることでしょう。

 そんな中で、昨年末から全国各地での福島県外に避難した児童に対するいじめの問題が表面化し取り上げられています。悔しさと憤りで言葉をなくしました。報道で「ふくしま」と発せられるとき、どうしても身を固くして耳を澄ませてしまいます。私自身も様々な状況の中で報道や現状を目の当たりにし、傷ついているのかもしれません。

 関東圏では、震災後の東北の今や福島県外避難者の話題を伝える報道もまばらになり、表向きは前向きな復興や微々たる進展が聞こえてくる一方で、現状は先が見えないことも多く、先述の県外避難した児童へのいじめ問題、「家があるのに帰れない」「帰れと言われても地元機能が復旧しない」等の帰還に関する問題、原発事故に由来する曖昧な喪失による心理的困難、孤独、自殺の問題、健康不安、住宅のこと、家族のことなど、個別個別の問題は表面化しにくくかつ深刻な状況であると認識しています。また、そうした現場において求められるであろうことの多くが「精神保健福祉のことだよ」と投げかけられていると感じていますが、正直私自身は何をどうしたらよいか分からず、立ちすくんでいます。


 今月3/18(土)~3/19(日)、いよいよ復興支「縁」ツアーが開催されます。今年度は宮城県の女川・石巻・東松島を訪ねる行程です。多くの方にお申し込みをいただき、ありがとうございました。宮城、岩手、福島をはじめ、全国のPSWと復興支援を通じて出会えることを楽しみにしつつ、参加される皆さまと一緒に「宮城の今」を知ること、そして立ちすくむ私自身が多くの方と語り合い、震災に向き合い、考える機会となればと思います。
 皆さんはどんな思いで3.11を迎えるでしょうか。