精神保健福祉士養成カリキュラム改正に伴う実習指導者及び実習担当教員養成研修のプログラム開発事業報告書


はじめに

 国民の社会福祉支援ニーズに応える力量を持った専門職の養成に関する需要の高まりは、平成19年の「社会福祉士及び介護福祉士法」の改正による社会福祉士の養成カリキュラムの改訂に明らかである。その潮流のさなかにあって、精神保健福祉士も国家資格化から12年を経て、カリキュラム見直しに向けた検討が実施された。平成20年10月21日に公表された「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」の中間報告書では、資格法施行後の社会状況や精神保健福祉士の就業実態の変化等に対応し、より実践力の高い精神保健福祉士を養成することは、国民の多様なニーズに応える上でこれまで以上に重要な課題である、と位置づけられた。

 養成校教員と現場指導者の協働によって次世代の専門職を養成することの意義は、殊に実習教育という側面において、双方から重視されて久しい。とりわけ、実践現場における実習教育は不可欠な要素の一つとして、そのあり方にも種々検討が施されているところである。

 現在、「精神保健福祉援助実習」は、精神保健福祉士法の定める要件を満たす施設機関において、法の定める資格を有する指導者の下で行われている。また、社団法人日本精神保健福祉士協会(以下「本協会」という)は、これまで7年間連続して実習指導者養成研修を実施しており、300人を超える修了者を数えるに至っている。

 しかしながら従来の実習指導体制では、今日多様な広がりを見せる国民のニーズや期待に応じることのできる精神保健福祉士の養成としては、不十分であるとも指摘されている。

 そこで、実習施設における実習教育の必要性と重要性を再検証し、指導力のある実習指導者を養成するために望ましい研修プログラム(実習指導者養成研修プログラム)の開発及び、それら実習生を養成する教員の指導力向上のための研修プログラム(精神保健福祉援助実習・演習指導教員講習会)の開発を目的として本事業を実施する。
 本事業の実施手順と方法は以下の通りである。

  1. 基礎研究1として、過去に本協会が実施した実習指導者養成研修報告書や受講者アンケート回答等から考察を行う。
  2. 基礎研究2として、平成16年度に本協会が実施した「精神保健福祉士教育養成課程における実習の指標に関する調査研究」を概観する。
  3. 基礎調査1として、精神保健福祉士の養成課程を有する大学及び養成施設等における現場実習の実施方法や実習施設における実習指導者に期待すること等を調査し、大学・養成施設等から見た望ましい実習指導方法を明確にする。
    また、当該大学及び養成施設等の実習担当教員の研修受講状況や現状の研修内容、求められる研修内容等を調査し、実習担当教員に必要な研修内容等を明確にする。
  4. 基礎調査2として、実習施設の実習指導者の指導内容を調査し、現状分析を行う。
  5. 基礎調査3として、現任精神保健福祉士に、体験した実習指導の効果と実効性をアンケート調査する。
  6. 実習指導者養成研修のプログラム開発調査として、基礎研究及び基礎調査を基に、本協会構成員を対象とした認定実習指導者の養成について、試行プログラムによる研修会(2か所、各50人定員)を開催し、モニタリングを行って望ましい研修プログラム案(受講要件、科目、シラバス、講師要件等)を作成する。
    モニタリング方法は、@受講者へのアンケート(全数調査)、A受講者へのグループインタビュー(抽出調査)、B講師・演習グループリーダーへのアンケートにより総合的に評価する。
  7. 実習担当教員養成研修のプログラム開発調査として、基礎調査等を基に、日本精神保健福祉士養成校協会の会員関係者を対象とした実習担当教員養成に係る試行プログラムによる研修(1か所、約20人程度)を開催し、@受講者へのアンケート(全数調査)、Aフォーカス・グループインタビュー(抽出調査)から、望ましい研修プログラム案(受講要件、科目、シラバス、講師要件等)を作成する。

 なお、上記のうち、1〜2、4〜6を本協会で実施し、3及び7の実務展開においては、一般社団法人日本精神保健福祉士養成校協会(以下「精養協」という)に委託実施し、本報告書では第2部に掲載している。

 本協会では、上記の企画運営のために研修企画運営委員会(12人)を設置し(年2回開催)、調査集計分析と研修プログラム開発のために企画検討小委員会(5人)を設置した(年5回開催)。精養協では、研究委員会を設置して本事業を展開した。

2010年3月
社団法人日本精神保健福祉士協会


一括ダウンロード用データ(A4判・219頁/PDF:8.1MB)

表紙・目次・はじめに(PDF:632KB)、3〜8ページ(PDF:536KB)、9〜27ページ(PDF:615KB)、28〜40ページ(PDF:618KB)、41〜74ページ(PDF:688KB)、75〜84ページ(PDF:575KB)、85〜111ページ(PDF:644KB)、112〜158ページ(PDF:737KB)、159〜164ページ(PDF:956KB)、165〜170ページ(PDF:644KB)、171〜178ページ(PDF:KB)、179〜182ページ(PDF:1.2MB)、183〜190ページ(PDF:706KB)、191〜194ページ(PDF:2.4MB)、195〜198ページ(PDF:1.4MB)、199〜208ページ(PDF:942KB)、209〜214ページ(PDF:575KB)、215〜219ページ(PDF:430KB)


精神保健福祉士養成カリキュラム改正に伴う実習指導者及び実習担当教員養成研修の
プログラム開発事業報告書
目次

表紙表紙・1〜2(PDF:632KB)
はじめに

第1部 精神保健福祉援助実習の認定実習指導者養成研修プログラム3〜8ページ(PDF:536KB)

序章
はじめに−本調査研究及びモデル事業の目的
1.調査内容概要
2.調査結果とプログラム開発の概要
3.講義内容の概要と到達目標
4.「認定実習指導者養成モデル研修」実施状況
5.「認定実習指導者養成研修プログラム」の開発

第1章 精神保健福祉援助実習における実習指導者の指導内容に関する現況調査9〜27ページ(PDF:615KB)
1.調査目的及び方法
2.調査結果
(1)基本属性等
(2)精神保健福祉援助実習指導の現状
(3)実習指導者研修参加の状況
(4)実習マネジメントの現状
(5)実習プログラム及び実習評価の現状
(6)実習スーパービジョンの現状
3.考察
(1)調査対象者の概況
(2)調査対象者と実習受け入れ経験
(3)実習展開における課題

第2章 精神保健福祉援助実習における実習指導の効果及び実効性に関する現況〜調査結果からの分析・考察〜28〜40ページ(PDF:618KB)
1.調査目的及び方法
2.調査結果
(1)基本属性等
(2)分析対象者の現場実習体験
(3)現在の精神保健福祉援助実習の現状
(4)実習満足度と各項目の関連
3.考察
(1)調査対象者の概況
(2)実習体験の実態
(3)実習スーパービジョンの実際
(4)実習と現在の業務との関連

第3章 認定実習指導者養成モデル研修の実施および結果41〜74ページ(PDF:688KB)
1.モデル研修のシラバス及びプログラム
(1)シラバス検討の経緯
(2)実習指導者養成研修における獲得目標
(3)認定実習指導者養成モデル研修
2.モデル研修実施後のモニタリング結果
(1)受講者からの意見聴取結果
(2)受講者の研修事前事後アンケート集計結果
(3)講師・演習ファシリテーター等研修スタッフからの意見聴取結果
3.考察

第4章 認定実習指導者養成研修のあり方に関する提言75〜84ページ(PDF:575KB)
1.認定実習指導者養成研修シラバス及びプログラム
(1)シラバス
(2)プログラム及び要件
2.まとめ
(1)委員会体制
(2)委員会開催経過

第2部 精神保健福祉士養成課程の実習・演習担当教員養成講習プログラム85〜111ページ(PDF:644KB)

はじめに
2.調査の方法及び内容
(1)<調査1>「精神保健福祉士養成課程 実習・演習状況調査」
(2)<調査2>実習・演習教員養成モデル講習会
3.調査結果
<調査1>「精神保健福祉士養成課程 実習・演習状況調査」
(1)精神保健福祉援助実習における配属実習の時間数
(2)一人の学生の実習施設の数
(3)配属実習のうち、精神科病院等の「医療機関」における実習について
(4)精神科病院等の実習に関する項目への教員の認識・実習先での実施頻度、学生の理解
(5)配属実習のうち、社会復帰施設あるいは、障害者自立支援法における福祉サービス事業所(以下、地域の福祉施設とする)における実習について
(6)今回のカリキュラム改訂に際して考える配属実習時間数(学生1人あたり)
(7)精神保健福祉援助実習担当教員一人あたりの履修者数
(8)演習を実施している時間
(9)配属実習以外の学外授業等について実施している内容と科目名
(10)社会福祉士制度と同様に実習・演習科目教員に条件が設けられるという前提における、 実習・演習担当教員講習会の受講が必要になる教員数とその勤務形態別内訳
(11)機関における社会福祉士養成の有無
(12)精神保健福祉士と社会福祉士両方の資格取得が可能か否か
<調査2>実習・演習教員養成モデル講習会/112〜158ページ(PDF:737KB)
(1)精神保健福祉援助演習講習会受講者へのアンケート結果
(2)精神保健福祉援助実習講習会受講者へのアンケート結果
(3)精神保健福祉援助演習のモデル講習に関する講師アンケート結果
(4)精神保健福祉援助実習のモデル講習に関する講師アンケート結果
(5)精神保健福祉援助実習のモデル講習に関する受講者の事前事後アンケート結果
(6)精神保健福祉援助実習のモデル講習に関する受講者へのグループインタビュー結果
4.結論

資料編・おわりに・奥付159〜164ページ(PDF:956KB)、165〜170ページ(PDF:644KB)、171〜178ページ(PDF:KB)、179〜182ページ(PDF:1.2MB)、183〜190ページ(PDF:706KB)、191〜194ページ(PDF:2.4MB)、195〜198ページ(PDF:1.4MB)、199〜208ページ(PDF:942KB)、209〜214ページ(PDF:575KB)、215〜219ページ(PDF:430KB)


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