2008/3/10作成、2023/4/1最新改訂

委託研修の実施に関するQ&A

  1. 1. 都道府県協会に委託する理由を教えてください。
     全国に毎年多数の新人精神保健福祉士が誕生し、本協会にも多数の入会がありますが、全構成員に研修受講の機会を提供することは、本協会の現状では容易ではありません。一方、都道府県精神保健福祉士協会等(以下、都道府県協会)では、これまでに研修を実施している実績があります。そこで、この力を借りて、本協会が提供したいと考えるプログラムを活用した研修を全国各地で開催できるのではないかと考えました。過去の本協会研修の受講者からも「地元で開催してほしい」、「全国各地で研修の機会を作ってほしい」という要望がありました。
      2008年度に開始した基幹研修T委託事業により、2022年度までに約7,800人の構成員が基幹研修Tを修了するなど、都道府県協会への委託を通じて本協会と都道府県協会の連携体制も強化しつつ、各地の構成員が受講しやすい環境が整いつつあります。
  2. 2. 費用負担について教えてください。
    2-1. 受講者からは参加費を徴収するのでしょうか。徴収するとすればいくらですか。
     原則として、開催地の都道府県協会において参加費の金額設定をお願いすることになります。その際、「生涯研修制度共通テキスト(改訂第2版)」(以下、共通テキスト)の費用がかかることを勘案して参加費を設定してください。
     開催にあたり、都道府県協会の会員と非会員で異なる参加費設定とされる場合もあるかと思います。受講対象者には、本協会構成員で都道府県協会は非会員という方もいらっしゃると思います。本協会としては、都道府県協会へ委託実施していることから、都道府県協会の非会員であっても本協会構成員であるならば、会員と同じ金額設定でお願いします。


    <共通テキスト販売について>生涯研修制度共通テキスト(第1版/全3巻)は、2013年度より全1冊とする第2版に改訂し、2021年度には文言整理を中心に見直しを行った「改訂第2版」を発行いたしました。共通テキストは受講者全員に購入していただくようにお願いいたします(コピー配布はお控えください)。販売価格は2,500円です。本協会生涯研修制度に乗った形(研修修了履歴がある方)で、過去に構成員として第1版を購入済の方は、割引価格1,500円での販売です。なお、第2版を購入済の方につきましては、改訂第2版の購入は任意です。研修申込書で共通テキスト所持の有無が把握できるようにしてください。本協会に入会されていない都道府県協会会員の方への、1,500円での販売はございません。
  3. 2-2. 日本協会から都道府県協会への研修事業委託に係る費用の支給はありますか。あればその金額と使途を教えてください。
     本協会と都道府県協会との契約締結により、都道府県協会から提出された「研修事業実施計画書」(以下、計画書)に基づいて、一定の「研修事業委託費」(以下、委託費)をお支払いいたします。委託費は、会場借料や講師への謝金、資料印刷、その他研修実施のために必要な経費に充当してください。委託費の額は、「研修事業委託契約書」の別表をご参照ください。
     なお、本協会の事業委託という性質上、事業委託費対象となる受講決定者数は、本協会構成員の人数となります(受講後、非構成員が入会した場合についてはQ7-3を参照)。
  4. 2-3. 日収支差額が生じた際、その取り扱いはどうなるのでしょうか。
     収支差額の取り扱いは、都道府県協会で処理してください。
  5. 3. 講師は誰が担うのでしょうか。必要条件を教えてください。また、講師を確保できない場合、日本協会から援助はあるのでしょうか。
     基幹研修Tの講師は本協会の構成員かつ認定者が望ましいと考えています。原則として講師を担う方の基準については、@認定精神保健福祉士または研修認定精神保健福祉士(以下、認定者)である者、Aこれに準ずる者、という考え方です。ご要望がございましたら、本協会より各都道府県支部に所属する認定者リストをお送りすることも可能です。
     各都道府県協会の状況により、認定者の講師確保が困難な場合、近隣の都道府県協会や本協会にご相談ください。また、本協会のWEBサイト(会員ページ等)に、過去の研修案内や認定スーパーバイザーを掲載しておりますので、講師選定にお役立てください。
     本協会では、講師選定の難しさや講師養成の必要性等を鑑み、2016年1月に開催した講師説明会の講義録画DVDを各都道府県協会に3枚配布しました。また、同内容を本協会のWEBサイト(研修センター:委託専用ページ「講師の皆様」)に掲載しておりますので、講師を担う方はぜひご視聴ください。今後も、講師講習会が開催された場合はぜひご参加いただき、講師養成や他の都道府県協会との意見交換の場としてご活用ください。
     なお、本協会で実施するその他の研修では、講義内容により構成員以外に人材を求めることもあります。
  6. 4. 使用するテキストや資料はどうしたら良いですか。
     生涯研修制度における基幹研修全体を網羅する「生涯研修制度共通テキスト(改訂第2版)」を発行しております。基幹研修は、本協会に所属する全国の精神保健福祉士が共通のシラバスとテキストを使って研修を積み上げ、専門職団体である協会がその質を保証していることから、必ず共通テキストを活用してください。ただし、各講師が共通テキストに加えて独自の資料を使用しても結構です。
     なお、パワーポイント等で講義資料を作成する際に使用いただく目的で、共通テキストの基幹研修Tに関わる図画像を、本協会のWEBサイト(研修センター:委託専用ページ「講師の皆様」※)に掲載しています。
     共通テキストはQ2-1の回答のとおり、2021年度に改訂第2版を発行しました。これは法制度の改変など、精神保健福祉士を取り巻く情勢が刻々と変化することを受けての改訂です。今後も、情勢に応じて改訂される場合がありますので、随時改正や変更に柔軟に対応してください。

    ※委託専用ページのパスワード等は、受託契約時にご案内します。

  7. 5. 受講対象者について教えてください。
     受講対象者は、概ね入会から3年度未満の構成員を奨励しています。本協会に入会されていない都道府県協会会員等のご受講については、Q7-2、3、4をご参照ください。なお、構成員は所属する都道府県支部が属するブロック内での受講が原則となります(ブロック区分は、本協会「ブロック会議開催要項」による)。受講された非構成員が開催年度の翌年度2月末までに入会手続きを済ませると、生涯研修制度の履歴として認められます。

    参考:「ブロック会議開催要綱」2.に基づくブロック区分
    1) 北海道・東北ブロック 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
    2) 関東・甲信越ブロック 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県
    3) 東海・北陸ブロック   富山県、石川県、福井県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
    4) 近畿ブロック      滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
    5) 中国ブロック      鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
    6) 四国ブロック      徳島県、香川県、愛媛県、高知県
    7) 九州・沖縄ブロック  福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

     なお、受講対象者のうち、開催地および共催地の本協会都道府県支部構成員の情報は、開催案内発送用の宛名ラベルの形でご提供します。また、テキスト所持状況等をデータ一覧の形でご提供することが可能です。ご希望の場合は、本協会事務局までお問い合わせください。

  8. 6. 地域によっては、毎年度開催しても対象となる参加者が集まらない場合も生じます。必ず毎年度開催するのでしょうか。
     いいえ。あくまでも各地域の初任者が受講できる体制作りを最優先の課題としています。対象者が少ない都道府県協会では隔年度などでの開催を考えていただき、ブロック内や近隣の都道府県協会との間で相互にスケジュールをご調整いただいた上で、ブロック内で毎年度複数開催が可能な体制をご検討いただければと考えます。
  9. 7. 都道府県協会では、従来から各種研修を実施しています。それとの関連で教えてください。
    7-1 既存の研修ではいけないのでしょうか。
     都道府県協会がこれまで取り組みを重ねてこられた研修について、本協会が何ら意見をさしはさむ立場ではありません。しかし、本協会の「研修認定精神保健福祉士」および「認定精神保健福祉士」を認定するためには、本協会が必要と考える内容の研修を実施することが必要不可欠です。また、ここで言う研修内容は、精神保健福祉士としての必要最低限を担保する程度に過ぎないので、既存の研修を一部加工するなどの工夫をしていただき、都道府県協会の研修との連動を各地で成り立たせることは現実に可能と考えます。
  10. 7-2. この研修を受けた人は、日本協会に入会しなければならないでしょうか。
     基幹研修Tのみ、本協会の非構成員であっても「次年度までに入会」を条件として受講することができます。これまでにも本協会が実施してきた研修で、受講したいので入会するという方がおりました。よって、会費等のことも考慮し、次年度の入会であっても、研修受講の門戸を広げるために受講可能とすることにしています。
     なお、都道府県協会では、非構成員の受講申込者に対して、入会促進に関するご協力をいただければ幸いです。本協会からは、修了証書をお送りする際に、非構成員の受講者数に合わせて入会案内を同封いたしますので、可能な範囲で配布をお願いいたします。
  11. 7-3. 都道府県協会の努力によって、基幹研修Tを修了した非構成員が日本協会に入会した場合、都道府県協会にメリットはありますか。
     Q2-2で述べた「委託費」の考え方と連動しています。委託費は構成員のみを対象にして支払いますが、非構成員の受講者が翌年度7月末までに入会した場合は、一定の手続きに基づく都道府県協会からの申請により、1人につき3,000円をお支払いします。
     手続きの詳細書類(請求書、翌年度入会者一覧など)は、本協会より郵送いたします。翌年度の7月末までの入会者を対象として、都道府県協会から該当する方の氏名と構成員番号を明記して申請していただきます。
     日頃の入会者の氏名などの確認については、オンラインで最新の構成員情報を確認できる「支部構成員データ閲覧システム」を支部と都道府県協会との連携によりご活用ください。当該システムは、各支部で「個人情報取扱者」となっている方が閲覧できる仕組みとなっています。
  12. 7-4. 都道府県協会のみの(今後も日本協会に入会する意志のない)会員に対して、この研修はどういう位置づけになりますか。
     できる限り、本協会への入会を促したいと考えていますが、その意志がどうしてもない方には、「都道府県協会の研修を受講した」という実績のみが残ることになります。
     なお、研修の修了証書は発行されます。
  13. 7-5. 都道府県協会の会員には精神保健福祉士の資格を有していないPSWがいます。この方たちも一緒に研修を受講できますか。
     研修の実施主体は都道府県協会ですので、都道府県協会が規定する受講要件を満たすのであれば、参加の可否について本協会は関与しません。
     ただし、基幹研修は精神保健福祉士有資格者を受講対象としているため、本協会から修了証書の発行はいたしません。申込受付時に資格の有無を確認いただくとともに、本協会へ受講者名簿をご提出いただく際は該当者のお名前を必ずお知らせください。
  14. 7-6. 他団体と共催で研修を行っていますが、その研修を基幹研修Tとすることは可能ですか。
     委託事業は、本協会と都道府県協会との契約に基づくため、原則として他団体との共催による研修や事業の再委託は不可としています。ただし、同ブロック内の都道府県協会との共催は可能です。
  15. 8. 都道府県協会が必ず単独で実施しなければなりませんか。近隣の都道府県協会と合同で実施することは可能ですか。
     受講対象者数や、開催規模、参加しやすさなど、諸条件に配慮のうえ、近隣の都道府県協会との共催が適切と判断される場合は、共催となる都道府県協会相互の協働体制に基づき実施してください。従来からの連携を活用し、ブロック単位での開催調整や共同開催、輪番制などとされている地域もあります。
     なお、複数の都道府県協会の共催で実施する場合は共催用の委託契約書をご使用ください。
  16. 9. 都道府県協会の委託開催がない年度は、その地域の構成員の研修はどうなりますか。
     本協会としては、極力、地域の実情に見合った開催地を設定したいと考えています。互いに近隣の構成員のためにも門戸を広げてくださるよう、都道府県協会相互の連絡調整を図りますのでご協力ください。特に、本協会がブロック毎に開催する「ブロック会議」の場などを有効に活用していただき、未開催地の構成員が近隣の都道府県で受講できる体制を確保したいと願っています。
     なお、ブロック内受け入れの是非を確認後、非開催地の構成員へは近隣都道府県の基幹研修T開催案内ハガキが届くよう、非開催地の支部事務局へ調整を図らせていただきます。その際、支部事務局にて開催案内ハガキを発送いただく作業については、支部活動協力費の範疇にてご対応をお願いしております。何とぞご理解ください。
  17. 10. 研修の内容や日程の設定について
    10-1. 研修の中に、県内・県ごとの課題なども盛り込んでいくことは可能ですか。
     シラバスの内容に沿って、都道府県協会独自の内容を追加することは可能です。
  18. 10-2. 研修開催日程は、数ヶ月コース等として日を分けて実施することは可能ですか。
     可能です。例えば、年度内で第1回・第2回と分割し、両日出席することで修了などです。
     また、オンライン開催の場合、講義はeラーニングによる事前視聴とし、演習のみ研修当日に実施するなども可能です。
  19. 10-3. 「精神保健福祉士の実践論T」はこれまでシンポジウム形式で行っていましたが、共通テキストに沿った講義形式に変更しなければならないでしょうか。
     実践論Tは、シラバスに沿った内容で所定時間数を超えていれば、これまで同様、シンポジウム形式で実施することは可能です。
  20. 11. 修了要件はありますか?
     基幹研修は、各科目とも15分以上の遅刻・早退がある場合は修了となりません。また、居眠り、共通テキストを開いていない、携帯電話をいじっているなど、明らかに受講していない場合や受講態度の悪い受講者には注意を促してください。本協会主催研修では、開催案内や受講決定通知、当日資料等を通じて下記の案内にて注意を促しています。
    ・15分の遅刻・早退・欠席がある場合や受講態度が著しく悪い場合は、修了証書を発行できません。
    ・研修中は、携帯電話の電源をお切りになるかマナーモードに設定をしてください。また、講義中の通話はお控えください。
    ・オンライン研修において、研修当日における受講者側のオンラインツール(Zoom等)接続不具合や通信トラブル等について、事務局では対応できません。受講者側の通信状況等により受講継続ができない状態となった場合、修了とならない場合があります。
    ・オンライン研修当日は、時間に余裕をもってご入室ください。万が一、入室できない場合は、当日連絡先まで必ずご連絡ください。
  21. 12. 当日キャンセルが多く、運営に支障をきたすことがあります。対策はありますか。
     本協会主催研修では、受講決定通知を送付し、下記の案内にて注意を促しています。
    ・原則として、研修に係る費用をご送金いただいた後の参加取り消し並びに費用のご返金はいたしません。費用送金後の取り消しの場合には、研修終了後に資料をお送りいたします。
    やむを得ないご事情により欠席となる場合は、演習の班分け等の人数調整を行いますため、できる限り早くご一報ください。
    研修当日、連絡をしない欠席は、絶対になさらないでください。特に、演習の班分けがありますので、他の受講者の方の迷惑となります。
     ただし、研修に係る費用を当日支払としている都道府県協会も多いかと思います。開催案内や受講決定通知で「貴殿の受講のために、班分けなどの準備や資料作成を行っているため、連絡をしない欠席の場合は受講料をお支払いただきます」などの文言追加や、当日問合せ可能な連絡先情報等を事前に案内しておくなどで当日キャンセルや無断キャンセルの防止にお努めください。
  22. 13. 当日は避難経路の案内等が必要でしょうか。
     はい。使用施設での非常時対応がどのようになっているかをご確認いただき、避難経路や避難場所を把握してください。また、当日のオリエンテーションでは、避難経路の確認を入れてください。
     なお、オンライン研修の場合、本協会では下記の案内を受講者にお伝えしています。
    ・はじめに、緊急時の対応についてお知らせいたします。本日何らかの災害が起こった場合は、やむを得ず中止する場合がございます。予めご了承ください。また、ご自宅、ご職場や各施設等からご参加頂いていると思いますが、避難経路の確認は各自でお済ませください。
  23. 14. 悪天候等その他やむを得ない事情が発生し、研修を開催するかどうかの判断に迷った場合、どうすればよいでしょうか。
     希望する都道府県協会には、災害発生や荒天時の開催可否判断、その他不備不足の事態における対応が必要となった場合等に備え、本協会からスマートフォンを貸し出します。本協会事務局開局時間の平日9時30分から17時30分(コロナ禍感染防止対策期間:平日10時から18時)を除く時間帯は、各ブロックの研修企画運営委員等がご相談に応じます。連絡が取れない場合や切迫した状況である場合は、気象庁発表情報や交通機関運行情報等も判断材料として、主催都道府県協会でご判断をお願いいたします。ただし、大規模災害等により現地で情報が得られないことが想定される場合は、主催都道府県協会と本協会で情報共有しながら判断していきます。
     なお、当日問合せ可能な連絡先情報等を受講者に事前に案内いただきますよう可能な範囲でお願いいたします(本スマートフォンは非常時専用のため、この用途には活用いただけません)。
     また、開催日以前に悪天候等その他やむを得ない事情が発生しうることが考えられる場合は、本協会に情報共有をお願いいたします。
  24. 15. ややむを得ない事情により開催を取り止めた場合、準備に要した費用や(事前に徴収していた場合の)参加費の取り扱いについて、教えてください。
     費用の支払は委託費から充当いただき、差額があれば本協会にご相談の上で請求または返金ください。参加費を事前に徴収していた場合は、受講者への返金をお願いいたします。
     やむを得ない事情とは、悪天候や災害、研修が成立しないほど申込がない場合等を想定します。
  25. 16. 合理的配慮を希望する受講者から申し込みがあった場合、対応できることは何でしょうか。
     手話通訳のご希望があった場合は、各都道府県にある手話通訳等派遣センターなどに派遣を依頼してください。受講者の手話通訳費用等の情報保障に充てた費用については、シラバスに沿った内容や時間のみ別途お支払いいたします。都道府県協会による独自企画の時間帯に必要となった手話通訳費用は、都道府県協会にてご負担をお願いいたします。
     視覚障害のある受講者からテキストデータを求められた場合、共通テキストのテキストデータをご提供しますので、本協会へお問い合わせください。そのほかのご希望について判断に迷う場合は、本協会へご相談ください。

生涯研修制度体制の創設について

  1. 1. そもそも何故この制度を作ることになったのですか。
     精神保健福祉士としての専門的諸活動は、国家資格に基づく最低限の質の担保とともに、専門職としての生涯に渡って続けられる研鑽によるものであるという認識は私たちに共通していると思います。本協会は、専門職団体として、こうした研鑽の機会をより多くの構成員に提供し、職務に関する知識・技術ならびに倫理・資質の向上を図ることを目的として本制度を創設することとしました。

     看護・介護の動向からもわかるように、団体認定による国家資格の質の担保を、国も奨励しつつあります。国家資格は原則として更新制ではありませんが、専門職団体として質の向上に努めることは、利用者をはじめとする国民全体への責任を果たすことでもありますし、それが専門職としての信頼を得るためにも必要な自助努力ともいえます。(一社)日本作業療法士協会や、(一社)日本精神科看護協会などでも、同様の制度を整えていますし、(公社)日本社会福祉士会、(公社)日本医療ソーシャルワーカー協会も生涯研修制度を設け、協会の独自規定による認定制度を用いて、会員の資質の高さをアピールしています。

     本協会は従来、診療報酬への算定や精神医療審査会や支援機関等への必置についての要望を行っています。これらの裏づけとしても、質の高い精神保健福祉士が全国各地に存在することを要望の根拠としていきたいと考えています。
  2. 2. この制度に基づく研修の意義は何ですか。受講するメリットを教えてください。
     本協会に所属する全国各地の精神保健福祉士が、共通のシラバスとテキストを使って研修を積み上げ、専門職団体である本協会がこれを保証しているという点です。将来的には、認定者に特に依頼される業務や役割が創出されることも目指しています。例を挙げれば、医療機関が病院機能評価を受ける際などアピールポイントの一つとすることへの期待、精神保健参与員や都道府県等における精神医療審査会委員、市町村における障害支援区分認定審査会などへの委員推薦の根拠とすることなども考えられます。
  3. 3. この研修を受けないと仕事ができなくなるのでしょうか。
     精神保健福祉士は、名称独占の国家資格です。また、この制度は本協会内の認定ですので、仕事ができなくなるという心配はありません。国家資格で最低限度に担保された専門職としての質を、さらに向上させる目的で実施します。
  4. 4. 更新制にするのは何故ですか。
     現在の日本の社会福祉を取り巻く状況や制度はめまぐるしく変化しており、情報を更新しなければ、支援を提供する際に、利用者に不利益を与える可能性もあります。本協会の認定者は、常に利用者の利益の最優先を考え、「ベテラン」と呼ばれる経験年数を有していても、専門職としてたゆまぬ自己研鑽を積むことを誇りとしていただきたいと考えます。そのため、国家資格にはない制度として、本協会における更新制度を有する認定制度を創設しました。更新研修では、ベテランになるにつれて、その機会が得にくくなるといわれる、日々の実践の振り返りをしていただくとともに、各地域や都道府県協会において様々な役割を担う精神保健福祉士として、後進育成に対する責任感を持って現場にフィードバックしてくださることを期待しています。
  5. 5. 研修に参加しやすくするために日本協会が工夫していることはありますか。
     本協会が生涯研修制度体制を整え、認定者を創出していることを、関係機関・団体などへ積極的に広報し、各種会議や諮問機関への参画にあたり、認定者の積極的な活用を求めていきます。また、所属長に対しては、構成員の研修参加について特段の配慮をいただけるように理解を呼びかけるといった広報などを図ることで、認定者の社会的認知度が向上することに繋がり、職場を空けてでも研修に参加できることを容易にする環境作りの一助になると思われます。
     継続的な研鑚は専門職としての責務ではありますが、その必要性を雇用者にも理解を深めてもらうように丁寧に説明を行います。また、関係機関・団体との協力体制を作っていくことや、研修の認定を受けることで精神保健福祉士としての業務上のメリットが発生するように政策に働きかけを行っていきます。その他、会場の分散化、研修年度計画の事前通知など具体的に参加しやすいような環境作りを進めていきます。
     また、精神保健福祉士の有資格者数に対する本協会の組織率が20%に満たない現状において、本協会の構成員であることが一定の資質を担保していることとなる仕組みが必要であるとの認識から、認定制度の創設が検討された経緯があります。つまり、生涯研修制度の確立により、本協会の構成員であれば精神保健福祉士として必要な資質を備えていることを内外にアピールできる大きな材料となり得ると考えます。例えば、所属機関・施設の第三者評価の基準に認定者がいることがポイントアップの材料となるような働きかけを日本医療機能評価機構などに行うことで、機関・施設の経営者にとっては、雇用している精神保健福祉士が本協会構成員であることの必要性の認識はかなり高まると考えます。これは、結果的に研修に出やすい環境が作られることにつながると考えています。
  6. 6. 基幹研修UとVの実施体制を教えてください。
     基幹研修Uについては、2013年度から都道府県協会の協力を得てモデル事業として委託を始め、2022年度までに計46ヶ所で実施いたしました。基幹研修Uは、ブロック単位を想定しており、ブロック内で持ち回りによる実施として、ブロック会議等の場を通じて協議しながら各都道府県協会の実情に応じた委託実施につなげていきたいと考えています。もちろん、実施のご意向をお持ちの都道府県協会の受託を妨げるものではありません。
     基幹研修Vについては、認定研修であるため、引き続き本協会で年間数回開催することとし、委託する予定はありません。
  7. 7. 課題別研修とは何ですか。基幹研修との違いを教えてください。
     基幹研修とは別の枠組みで、時代・社会の要請や法・制度改正や時代状況などとの兼ね合いから、トピックスを取りあげて実施する研修で、本協会が主催します。研修テーマによっては一定の経験年数などの受講要件を設けますが、基幹研修を受講していなくても、本協会構成員であれば受講できます。また、一部の研修は非構成員や賛助会員も受講対象として考えています。
  8. 8. 養成研修とは何ですか。受講するメリットを教えてください。
     本協会における各種事業への参画を期待し、特定のテーマに関する知識・技能を有するエキスパートを養成するための研修です。認定者であることに加え、研修ごとに実務経験年数を受講要件として設けます。
     なお、認定された方には、別途、各認定資格に基づく独自の更新制をとることがあります。

研修履歴の積み上げについて

  1. 1. 構成員全員が基幹研修Tから受講しなければならないのでしょうか?
     はい。基幹研修は必ずTから受講となります。ただし、2008年度に行った、過去の研修履歴の読み替えによる認定を受けた方は、その次のステップの基幹研修からの受講となります。
  2. 2. 基幹研修には参加しないといけないのでしょうか?したくてもできない構成員はどうしたら良いでしょうか。
     研修認定精神保健福祉士となるためには、基幹研修TからVまでを受講しなければなりません。どなたにも参加しやすい環境を提供できるように本協会でも努力し、また都道府県協会にも協力をお願いしています。具体的には、様々な地域からアクセスしやすい場所での開催や、年間に複数回の開催を考えています。
     やむを得ない理由により、規定の年限以内に受講できなかった方は、年限を越えても受講可能としています。
  3. 3. 基幹研修を受けずに課題別研修だけを受講することはできますか。
     可能です。ただし、課題別研修は政策的課題に基づき、トピックスを取りあげて実施するものですので、既に精神保健福祉士としての基本的な知識・技術・専門性を保持している前提でのプログラム構成となります。
  4. 4. 全員が5年度ごとに更新研修を受講しなければなりませんか。
     はい。認定を継続する場合は、更新研修の修了が必要です。更新制の意義は生涯研修制度体制の創設についてのQ4をご参照ください。
     更新研修の受講期限年度までに個別の事情があり受講できない方は、「更新研修受講期間延長申請」ができる仕組みがあります。理事会での承認を経て、受講期限年度を最長で3年度延長できる制度となっています。それを超える場合については認定失効となります。延長申請書類については、別途本協会にお問い合わせください。