2008/3/10作成、2025/6/27最新改訂
委託研修の実施について
- 1. 基幹研修Tを都道府県協会に委託する理由を教えてください。
- 全構成員に研修受講の機会を提供することは、本協会の現状では容易ではありません。一方、都道府県精神保健福祉士協会等(以下、都道府県協会)では、これまでに研修を実施している実績があります。そこで、この力を借りて、本協会が提供したいと考える研修プログラムを全国各地で開催できるのではないかと考えました。過去の本協会研修の受講者からも「地元で開催してほしい」「全国各地で研修の機会を作ってほしい」という要望がありました。
- 2008年度に開始した基幹研修T委託事業により、2024年度までに約8,500人の構成員が基幹研修Tを修了するなど、都道府県協会への委託を通じて本協会と都道府県協会の連携体制を強化し、各地の構成員が受講しやすい環境を整えています。
- 2. 費用負担について教えてください。
2-1. 受講者からは参加費を徴収するのでしょうか。徴収するとすればいくらですか。 - はい、参加費を徴収します。原則として、開催地の都道府県協会において参加費の金額設定をお願いすることになります。その際、「生涯研修制度共通テキスト(改訂第2版)」(以下、共通テキスト)の費用がかかることを勘案して参加費を設定してください。
開催にあたり、都道府県協会の会員と非会員で異なる参加費設定とされる場合もあるかと思います。受講対象者には、本協会構成員で都道府県協会は非会員という方もいらっしゃると思います。本協会としては、都道府県協会へ委託実施していることから、都道府県協会の非会員であっても本協会構成員であるならば、会員と同じ金額設定でお願いします。
- 2. 費用負担について教えてください。
- 2-2. 共通テキストの販売はどうしたらいいのでしょうか。
- 本協会より事前にご提供します。生涯研修制度共通テキスト(第1版/全3巻)は、2013年度より全1冊とする第2版に改訂し、2021年度には文言整理を中心に見直しを行った「改訂第2版」を発行しました。第2版・改訂第2版のどちらかを所持していない受講者は購入いただく必要があります。共通テキストは職場内や他者間で1冊を貸借することなく、1人ひとりが手元に置いて研鑽に役立てていただくため、本協会からの個人購入を原則としています。従って、本協会以外からの借与、譲渡または購入した共通テキストを持っての受講はお断りください。また、共通テキストのコピー配布は厳禁です。
受講申込書において、第1版、第2版・改訂第2版いずれかの共通テキストを所持しているかを把握し、必要部数をお知らせください。なお、改訂第2版の販売価格について、第1版を構成員として購入後、改訂第2版(第2版を含む)を初めて購入する構成員には、定価2,500円(税込)のところ1,500円(税込)にて販売いたします。構成員でない方への1,500円での販売はございません。
- 2-3. 日本協会から都道府県協会への研修事業委託に係る費用の支給はありますか。あればその金額と使途を教えてください。
- 本協会と都道府県協会との契約締結により、都道府県協会から提出された「研修事業実施計画書」(以下、計画書)に基づいて、一定の「研修事業委託費」(以下、委託費)をお支払いします。委託費は、会場借料や講師への謝金、資料印刷、その他研修実施のために必要な経費に充当してください。委託費の額は、「研修事業委託契約書」の別表をご参照ください。
なお、本協会の事業委託という性質上、事業委託費対象となる受講決定者数は、本協会構成員の人数となります(受講後、非構成員が入会した場合についてはQ7−3を参照。
- 2-4. 収支差額が生じた際、その取り扱いはどうなるのでしょうか。
- 収支差額の取り扱いは、都道府県協会で処理してください。
- 3. 講師は誰が担うのでしょうか。必要条件を教えてください。また、講師を確保できない場合、日本協会から援助はあるのでしょうか。
- 基幹研修Tの講師要件は、@認定精神保健福祉士または研修認定精神保健福祉士(以下、認定者)である者、Aこれに準ずる者、です。原則として、基幹研修Tの講師は本協会の構成員かつ認定者が望ましいと考えています。ご要望がございましたら、本協会より各都道府県支部に所属する認定者リストをお送りいたします。
各都道府県協会の状況により、認定者の講師確保が困難な場合、近隣の都道府県協会や本協会にご相談ください。また、本協会のWEBサイト(会員ページ等)に、過去の研修案内や認定スーパーバイザーを掲載しております。講師選定にお役立てください。
本協会では、講師選定の難しさや講師養成の必要性等を鑑み、2016年1月に開催した講師説明会の講義録画を本協会WEBサイト(研修センター:委託専用ページ「講師の皆様」※)に掲載しておりますので、講師を担う方はぜひご視聴ください。今後も、講師説明会が開催された場合はぜひご参加いただき、講師養成や他の都道府県協会との意見交換の場としてご活用ください。
※委託専用ページのパスワード等は、受託契約時にご案内します。
- 4. 使用するテキストや資料は何ですか。
- 生涯研修制度における基幹研修全体を網羅する「生涯研修制度共通テキスト(以下、「共通テキスト」)を発行しています。基幹研修は、本協会に所属する全国の精神保健福祉士が共通のシラバスとテキストを使って研修を積み上げ、専門職団体である本協会がその質を保障していることから、必ず共通テキスト改訂第2版(B5サイズ全1巻)を使用してください。ただし、各講師が共通テキストに加えて独自の資料を使用しても結構です。
共通テキストの内容をパワーポイントに置き換えて講義される場合も、共通テキストのページ数をお伝えいただき、講義中に共通テキストを必ず開くようにしてください。講師が共通テキストの他に、独自の補足資料を追加していただいてもかまいません。なお、講義資料を作成する際に使用いただく目的で、共通テキストの基幹研修Uに関わる図画像を、本協会のWEBサイト(研修センター:委託専用ページ「講師の皆様」)に掲載しています。
- 5. 受講対象者について教えてください。
- 受講対象者は、概ね入会から3年度未満の構成員を奨励しています。構成員は所属する都道府県支部が属するブロック内での受講が原則となります(ブロック区分は、本協会「ブロック会議開催要項」による)。受講対象者のうち、開催地および共催地の本協会都道府県支部構成員の情報は、開催案内発送用の宛名ラベルの形で提供します。その際、テキスト所持状況等をExcelデータで提供することが可能です。ご希望の場合は、本協会事務局までお問い合わせください。
また、本協会に入会されていない都道府県協会会員等のご受講については、Q7−2、3、4をご参照ください。なお、基幹研修Tを修了した非構成員が開催年度の翌年度2月末までに入会手続きを済ませると、生涯研修制度の履歴として認められます。
参考:「ブロック会議開催要綱」2.ブロックの区分
1) 北海道・東北ブロック 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
2) 関東・甲信越ブロック 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県
3) 東海・北陸ブロック 富山県、石川県、福井県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
4) 近畿ブロック 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
5) 中国ブロック 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
6) 四国ブロック 徳島県、香川県、愛媛県、高知県
7) 九州・沖縄ブロック 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
- 6. 開催しても参加者が集まらない場合も生じます。必ず毎年度開催するのでしょうか。
- いいえ。あくまでも各地域の初任者が受講できる体制作りを最優先の課題としています。隔年度開催など、ブロック内や近隣の都道府県協会との間で相互にスケジュールをご調整いただいた上で、ブロック内で毎年度複数開催が可能な体制をご検討いただければと考えます。
- 7. 都道府県協会では、従来から各種研修を実施しています。それとの関連で教えてください。
7-1 既存の研修ではいけないのでしょうか。 - 都道府県協会がこれまで取り組みを重ねてこられた研修について、本協会が何ら意見をさしはさむ立場ではありません。しかし、本協会の「研修認定精神保健福祉士」および「認定精神保健福祉士」を認定するためには、本協会が必要と考える内容の研修を実施することが必要不可欠です。また、本研修内容は、精神保健福祉士としての必要最低限を担保する程度に過ぎないので、既存の研修を一部加工するなどの工夫をしていただき、都道府県協会の研修との連動を各地で成り立たせることは現実に可能と考えます。
- 7. 都道府県協会では、従来から各種研修を実施しています。それとの関連で教えてください。
- 7-2. この研修を受けた人は、日本協会に入会しなければならないでしょうか。
- いいえ。日本協会への入会は必須ではありません。ただし、基幹研修Tを修了した非構成員は、次年度までに入会すると基幹研修T修了が生涯研修制度の研修履歴として認められます。
そのため、都道府県協会から非構成員の受講申込者に対して、入会促進のご協力をいただけますと幸いです。本協会から修了証書をお送りする際に、非構成員の受講者分の本協会入会案内を同封いたしますので、配付をお願いいたします。
なお、過去の基幹研修Tでは、「次年度までの入会」を条件として非構成員の受講を認めていました。これまでにも本協会が実施してきた研修で、受講したいので入会するという方がおり、会費等のことも考慮し、次年度の入会であっても、研修受講の門戸を広げるために受講可能としていました。
- 7-3. 入会促進の協力によって、基幹研修Tを修了した非構成員が日本協会に入会した場合、都道府県協会にとっても良い点はありますか。
- Q2−3で述べた「委託費」の考え方と連動しています。委託費は構成員のみを対象にして支払いますが、非構成員の受講者が翌年度7月末までに入会した場合は、一定の手続きに基づく都道府県協会からの申請により、1人につき3,000円をお支払いします。
手続きの詳細書類(請求書、翌年度入会者一覧など)は、本協会より郵送いたします。翌年度の7月末までの入会者を対象として、都道府県協会から該当する方の氏名と構成員番号を明記して申請してください。
日頃の入会者の氏名などの確認については、オンラインで最新の構成員情報を確認できる「支部構成員データ閲覧システム」を支部と都道府県協会との連携によりご活用ください。当該システムは、各支部で「個人情報取扱者」となっている方が閲覧できる仕組みとなっています。
- 7-4. 都道府県協会のみの会員に対して、この研修はどういう位置づけになりますか。
- できる限り、本協会への入会を促したいと考えていますが、その意志がどうしてもない方には、「都道府県協会の研修を受講した」という実績のみが残ることになります。
なお、精神保健福祉士有資格者の方には、修了証書を発行します。
- 7-5. 都道府県協会の会員には精神保健福祉士の資格を有していない方がいます。この方たちも一緒に研修を受講できますか。
- 研修の実施主体は都道府県協会ですので、都道府県協会が規定する受講要件を満たすのであれば、参加の可否について本協会は関与しません。参加の可否について本協会は関与しません。
ただし、基幹研修は精神保健福祉士有資格者を受講対象としているため、本協会から修了証書の発行はできかねます。申込受付時に資格の有無を確認いただくとともに、本協会へ受講者名簿をご提出いただく際は該当者のお名前を必ずお知らせください。
- 7-6. 他団体と共催で研修を行っていますが、その研修を基幹研修Tとすることは可能ですか。
- 委託事業は、本協会と都道府県協会との契約に基づくため、原則として他団体との共催による研修や事業の再委託は不可としています。ただし、同ブロック内の都道府県協会との共催は可能です。
- 8. 都道府県協会が必ず単独で実施しなければなりませんか。近隣の都道府県協会と合同で実施することは可能ですか。
- 受講対象者数や開催規模、参加しやすさなど、諸条件に配慮のうえ、近隣の都道府県協会との共催が適切と判断される場合は、共催となる都道府県協会相互の協働体制に基づき実施してください。従来からの連携を活用し、ブロック単位での開催調整や共同開催、輪番制などとされている地域もあります。
なお、複数の都道府県協会の共催で実施する場合は共催用の委託契約書をご使用ください。
- 9. 都道府県協会の委託開催がない年度は、その地域の構成員の研修はどうなりますか。
- 本協会がブロック毎に開催する「ブロック会議」の場などを有効に活用し、非開催地の構成員がブロック内の近隣都道府県で受講できるよう調整をしています。
なお、ブロック内受講の是非を確認後、非開催地の構成員へは近隣都道府県の基幹研修T開催案内ハガキが届くよう、非開催地の支部事務局へ調整を図らせていただきます。その際、支部事務局にて開催案内ハガキを発送いただく作業については、支部活動協力費の範疇にてご対応をお願いしております。何とぞご理解ください。
- 10. 研修の内容や日程の設定について
10-1. 研修の中に、県内・県ごとの課題なども盛り込んでいくことは可能ですか。 - 可能です。ただし、シラバスに基づいたプログラムの実施及び時間数は厳守してください。主催都道府県協会の判断で県内・県ごとの課題等を盛り込んだ追加企画や時間延長を行う場合、企画した開催日程・時間、プログラム案を「研修事業実施計画書」に明記してください。
- 10. 研修の内容や日程の設定について
- 10-2. 研修開催日程は、数ヶ月コース等として日を分けて実施することは可能ですか。
- 可能です。例えば、年度内で第1回・第2回と分割し、両日出席することで修了などです。
また、オンライン開催の場合、講義はeラーニングによる事前視聴とし、演習のみ研修当日に実施するなども可能です。
- 10-3. 「精神保健福祉士の実践論T」はこれまでシンポジウム形式で行っていましたが、共通テキストに沿った講義形式に変更しなければならないでしょうか。
- 実践論Tは、シラバスに沿った内容で所定時間数を超えていれば、これまで同様、シンポジウム形式で実施することは可能です。
- 11. 修了要件を満たさない例を教えてください。
- 基幹研修は、各科目において15分以上の遅刻・早退がある場合、修了とみなしません。また、居眠り、共通テキストを開いていない、携帯電話をいじっているなど、明らかに受講していない場合や受講態度の悪い受講者には注意を促してください。本協会主催研修では、開催案内や受講決定通知、当日資料等を通じて下記の案内にて注意を促しています。
- ・遅刻・早退・欠席がある場合や受講態度が著しく悪い場合は、修了証書を発行できません。
・研修中は、携帯電話の電源をお切りになるかマナーモードに設定をしてください。また、講義中の通話はお控えください。
・オンライン研修において、研修当日における受講者側のオンラインツール(Zoom等)接続不具合や通信トラブル等について、事務局では対応できません。受講者側の通信状況等により受講継続ができない状態となった場合、修了とならない場合があります。
・オンライン研修当日は、時間に余裕をもってご入室ください。万が一、入室できない場合は、当日連絡先まで必ずご連絡ください。
- 12. 当日キャンセルが多く、運営に支障をきたすことがあります。対策はありますか。
- 本協会主催研修では、受講決定通知を送付し、下記の案内にて注意を促しています。
- ・やむを得ないご事情により受講キャンセルされる場合は、演習の班分け等の人数調整を行いますため、お早めに本協会事務局へご連絡ください。
・当日を含め、無断キャンセルは絶対になさらないでください。- 研修に係る費用を当日支払としている都道府県協会も多いかと思います。開催案内や受講決定通知で「貴殿の受講のために、班分けなどの準備や資料作成を行っているため、連絡をしない欠席の場合は受講料をお支払いただきます」などの文言追加や、当日問合せ可能な連絡先情報等を事前に案内しておくなどで当日キャンセルや無断キャンセルの防止にお努めください。
- ・やむを得ないご事情により受講キャンセルされる場合は、演習の班分け等の人数調整を行いますため、お早めに本協会事務局へご連絡ください。
- 13. 当日は避難経路の案内等が必要でしょうか。
- 必要です。使用施設での非常時対応をご確認いただき、避難経路や避難場所を把握してください。また、当日のオリエンテーションでは、避難経路の確認の説明を入れてください。
なお、オンライン研修の場合、本協会では下記の案内を受講者にお伝えしています。
・はじめに、緊急時の対応についてお知らせいたします。本日何らかの災害が起こった場合は、やむを得ず中止する場合がございます。予めご了承ください。また、ご自宅、ご職場や各施設等からご参加いただいていると思いますが、避難経路の確認は各自でお済ませください。
- 14. 悪天候等その他やむを得ない事情が発生し、研修を開催するかどうかの判断に迷った場合、どうすればよいでしょうか。
- 希望する都道府県協会には、災害発生や荒天時の開催可否判断、その他不備不足の事態における対応が必要となった場合等に備え、本協会からスマートフォンを貸し出します。本協会事務局開局時間の平日9時30分から17時30分を除く時間帯は、各ブロックの研修企画運営委員等がご相談に応じます。連絡が取れない場合や切迫した状況である場合は、気象庁発表情報や交通機関運行情報等も判断材料として、主催都道府県協会でご判断をお願いいたします。ただし、大規模災害等により現地で情報が得られないことが想定される場合は、主催都道府県協会と本協会で情報共有しながら判断していきます。
なお、当日問合せ可能な連絡先情報等を受講者に事前に案内いただきますよう可能な範囲でお願いいたします(本スマートフォンは非常時専用のため、この用途には活用いただけません)。
また、開催日以前に悪天候等その他やむを得ない事情が発生しうることが考えられる場合は、本協会に情報共有をお願いいたします。
- 15. やむを得ない事情により開催を取り止めた場合、準備に要した費用や(事前に徴収していた場合の)参加費の取り扱いについて、教えてください。
- 費用の支払は委託費から充当いただき、差額があれば本協会にご相談の上で請求または返金ください。参加費を事前に徴収していた場合は、受講者への返金をお願いいたします。やむを得ない事情とは、悪天候や災害、研修が成立しないほど申込がない場合を想定します。
- 16. 合理的配慮を希望する受講者から申し込みがあった場合、対応できることは何でしょうか。
- 手話通訳のご希望があった場合は、各都道府県にある手話通訳等派遣センターなどに派遣を依頼してください。受講者の手話通訳費用等の情報保障に充てた費用については、シラバスに沿った内容や時間のみ別途お支払いいたします。都道府県協会による独自企画の時間帯に必要となった手話通訳費用は、都道府県協会にてご負担をお願いいたします。
視覚障害のある受講者からテキストデータを求められた場合、共通テキストのテキストデータをご提供しますので、本協会へお問い合わせください。そのほかのご希望について判断に迷う場合は、本協会へご相談ください。
生涯研修制度体制の創設について
- 1. そもそも何故この制度を作ることになったのですか。
- 精神保健福祉士としての専門的諸活動は、国家資格に基づく最低限の質の担保とともに、専門職としての生涯に渡って続けられる研鑽によるものであるという認識は私たちに共通していると思います。本協会は、専門職団体として、こうした研鑽の機会をより多くの構成員に提供し、職務に関する知識・技術ならびに倫理・資質の向上を図ることを目的として本制度を創設することとしました。
看護・介護の動向からもわかるように、団体認定による国家資格の質の担保を、国も奨励しつつあります。国家資格は原則として更新制ではありませんが、専門職団体として質の向上に努めることは、利用者をはじめとする国民全体への責任を果たすことでもありますし、それが専門職としての信頼を得るためにも必要な自助努力ともいえます。(一社)日本作業療法士協会や、(一社)日本精神科看護協会などでも、同様の制度を整えていますし、(公社)日本社会福祉士会、(公社)日本医療ソーシャルワーカー協会も生涯研修制度を設け、協会の独自規定による認定制度を用いて、会員の資質の高さをアピールしています。
本協会は従来、診療報酬への算定や精神医療審査会や支援機関等への必置についての要望を行っています。これらの裏づけとしても、質の高い精神保健福祉士が全国各地に存在することを要望の根拠としていきたいと考えています。
- 2. この制度に基づく研修の意義は何ですか。受講するメリットを教えてください。
- 本協会に所属する全国各地の精神保健福祉士が、共通のシラバスとテキストを使って研修を積み上げ、専門職団体である本協会が研修の積み上げを保証しているという点です。将来的には、研修認定精神保健福祉士または認定精神保健福祉士(以下、認定者)に依頼される業務や役割が創出されることを目指しています。例を挙げれば、医療機関が病院機能評価を受ける際などアピールポイントの一つとすること、精神保健参与員や都道府県等における精神医療審査会委員、市町村における障害支援区分認定審査会などへの委員推薦の根拠とすることが考えられます。
- 3. この研修を受けないと仕事ができなくなるのでしょうか。
- この制度は本協会内の認定ですので、研修を受けなければ仕事ができなくなるという心配はありません。国家資格で最低限度に担保された専門職として精神保健福祉士の倫理及びの資質を向上させる目的で実施しています。
- 4. 更新制にするのは何故ですか。
- 現在の日本の社会福祉を取り巻く状況や制度はめまぐるしく変化しています。本協会では、認定者が、常に利用者の利益の最優先を考え、「ベテラン」と呼ばれる経験年数を有していても専門職としてたゆまぬ自己研鑽を積むことを誇りとするため、国家資格取得後の研鑽制度として、本協会に更新制の認定制度を創設しました。認定者は「更新研修の受講」と「更新研修修了後の研鑽計画提出」、「必要な単位数の登録」を行うことで、ベテランになるにつれてその機会が得にくくなりがちな日々の実践の振り返りをするとともに、各地域や都道府県協会において様々な役割を担う精神保健福祉士として、後進育成の責任感を持って現場にフィードバックされることを期待しています。
- 5. 研修に参加しやすくするために日本協会が工夫していることはありますか。
- 本協会が生涯研修制度体制を整え、認定者を創出していることを、関係機関・団体などへ積極的に広報し、各種会議や諮問機関への参画にあたり認定者の積極的な活用を求めています。また、所属長に対しては、構成員の研修参加について特段の配慮をいただけるよう理解を呼びかける構成員向け派遣依頼文書の提供などにより、認定者の社会的認知度の向上に繋げ、職場を空けてでも研修の参加を推奨いただけるような環境作りを行っています。
継続的な研鑚は専門職としての責務ですが、その必要性を雇用者にも理解を深めてもらうように丁寧に説明を行います。また、関係機関・団体との協力体制を作っていくことや、認定を受けることで精神保健福祉士としての業務上のメリットが醸成されるように政策への働きかけを行っていきます。その他、研修のオンライン開催や開催地域の分散化、研修年度計画の事前通知など具体的に参加しやすい環境作りを進めています。
また、精神保健福祉士の有資格者数に対する本協会の組織率が20%に満たない現状において、本協会の構成員であることが一定の資質を担保していることとなる仕組みが必要であるとの認識から、認定制度の創設が検討された経緯があります。つまり、生涯研修制度の確立により、本協会の構成員であれば精神保健福祉士として必要な資質を備えていることを内外にアピールできる大きな材料となり得ると考えます。例えば、所属機関・施設の第三者評価の基準に認定者がいることがポイントアップの材料となるような働きかけを日本医療機能評価機構などに行うことで、機関・施設の経営者にとっては、雇用している精神保健福祉士が本協会構成員であることの必要性の認識がかなり高まると考えます。これは、結果的に研修に参加しやすい環境作りにつながると考えています。
- 6. 基幹研修UとVの実施体制を教えてください。
- 基幹研修Uは、2013年度から都道府県協会の協力を得てモデル事業として委託を始め、2024年度までに計61ヶ所で実施いたしました。基幹研修Uは、ブロック単位を想定しており、ブロック内で持ち回りによる実施として、ブロック会議等の場を通じて協議しながら各都道府県協会の実情に応じた委託実施につなげていきたいと考えています。もちろん、実施のご意向をお持ちの都道府県協会の受託を妨げるものではありません。
基幹研修Vは、認定研修であるため、引き続き本協会で年間数回開催することとし、委託する予定はありません。
- 7. 課題別研修とは何ですか。基幹研修との違いを教えてください。
- 課題別研修は、時宜に適った社会的要請の高いテーマの研修を実施します。構成員を主な対象としますが、テーマにより非構成員にも対象を拡大します。
- 8. 養成研修とは何ですか。
- 養成研修は、構成員の本協会各種事業への参画を期待し、特定のテーマに関するエキスパート(認定スーパーバイザー、認定成年後見人)を養成する研修です。受講要件は、認定者であることに加え、各研修に応じた経験年数等の諸要件があります。
研修履歴の積み上げについて
- 1. 構成員全員が基幹研修Tから受講しなければならないのでしょうか?
- はい。基幹研修は必ずTから受講となります。ただし、2008年度に行った、過去の研修履歴の読み替えによる認定を受けた方は、その次のステップの基幹研修からの受講となります。
- 2. 基幹研修には参加しないといけないのでしょうか?したくてもできない構成員はどうしたら良いでしょうか。
- 研修認定精神保健福祉士となるためには、基幹研修TからVまでを受講しなければなりません。どなたにも参加しやすい環境を提供できるように本協会でも努力し、また都道府県協会にも協力をお願いしています。具体的には、様々な地域からアクセスしやすい場所での開催や、年間に複数回の開催を考えています。
諸事情により規定年数を過ぎた場合でも、受講要件を満たしていれば、基幹研修を受講いただけます。
- 3. 基幹研修を受けずに課題別研修だけを受講することはできますか。
- 可能です。ただし、課題別研修は政策的課題に基づき、トピックスを取りあげて実施するものですので、既に精神保健福祉士としての基本的な知識・技術・専門性を保持している前提でのプログラム構成となります。
- 4. 全員が5年度ごとに更新研修を受講しなければなりませんか。
- はい。研修認定を継続する場合は、5年度ごとに「更新研修の受講」が必要です。また、認定を継続する場合は、「更新研修の受講」と「更新研修修了後の研鑽計画提出」、「必要な単位数の登録」が必要です。更新制の意義は生涯研修制度体制の創設についてのQ4をご参照ください。
更新研修を受講期限年度までに受けられない場合は、受講期間を1年度延長できる制度があります。本制度は1年度ごとの申請制で、特別な理由がある場合は最大3年度まで延長できます。本制度の申請は、受講期限年度の2月末までに、所定の申請書を事務局に提出します。詳細は本協会WEBサイト研修センターページの「更新研修の受講期限」をご確認ください。