連載:新たな更新制度

 第4回 研鑽や実践の可視化
 新認定精神保健福祉士取得に必要な単位について

研修センター 認定制度推進委員会 委員 横溝 稔・前田 秀和  

 2023年度から始まる新たな更新制度では、構成員それぞれの自己研鑽やソーシャルワーカーとしての実践活動に関する可視化が大きな変更点となります。認定制度推進委員会では、可視化の礎となる「単位化」について検討してきました。第3回(9月15日発行号)では、新たな更新制度に導入される「1年間の研鑽計画」を立てるプロセスについてご紹介しました。本号では、自身が取り組んだ研鑽(スーパービジョン、研修、ソーシャルワーカーの実践活動など)を可視化していくために設定した「単位化」について取り上げます。
 なお、現在検討中であるため、内容が一部変更となる可能性があります。

Q1 なぜ研鑽を可視化(単位化)するのですか?

A1 私たち精神保健福祉士にはクライエントや地域、社会に貢献するため、専門職として精神保健福祉士の価値に基づき理論と実践の向上に努め続けることが不可欠となっています。単位化では、私たちが日々専門職として行っている研鑽や実践を3つに分類し、所定の単位を設けています。それぞれ単位として申請し、可視化することによって、個々の振り返りが目に見える形で分かりやすくなり、達成できている部分や不足している部分を意識化・焦点化し、精神保健福祉士としての質をバランスよく高めていくことが可能となります。

Q2 3つの類型とは、どのように分類するのですか?また単位はどのように表しますか?

A2 自己研鑽や実践を「スーパービジョン」「研修・学会等」「社会的活動」という3つの大きな類型に分けています(図1を参照)。各類型の中に項目を設け、それらを実施することで単位を取得していきます。次回の更新までの期間である5年間で合計100単位以上の取得を目指します。なお、各類型における単位を5年間で最低20単位以上取得することが新認定精神保健福祉士になるための前提条件となります。

Q3 3類型「スーパービジョン」「研修・学会等」「社会的活動」を具体的に教えてください。
A3−1 「スーパービジョン」

3類型の中で最も大きな研鑽の柱として位置付けているのが「スーパービジョン」です。スーパービジョンは精神保健福祉士としての価値や理念、視点を学ぶことができる有効な方法です。実践における日々の迷いや戸惑い等の振り返りを通して、専門職としての気づきを言語化する体験は精神保健福祉士として、なくてはならない研鑽です。

A3−2 「研修・学会等」

研修や学会等はあらゆる場所、様々な形式で開催されています。単位の算定方法は、主催者や研修の時間数によって違いがありますが、専門職としての資質向上に資するものであれば原則、全て単位申請をできるようにする予定です。また、研修受講はもちろんのこと、学会発表や講師等の役割を担うこと、論文を投稿することなど専門的な知見を広める活動、大学院等への進学による学び直しについても対象に含まれます。

A3−3 「社会的活動」

勤務先・所属先以外での地域における「専門職としての活動」や、精神保健福祉士の専門性を活かして社会にコミットした「地域活動」に対しても単位の項目として設定しています。ソーシャルワーカーとして、各都道府県協会等やお住まい、お勤めの地域、社会に対して積極的に寄与することを推進する目的も含めています。

Q4 今回の単位化にあたり、特に気をつけたことは何ですか?

A4 認定精神保健福祉士の「認定」とは「能力」の認定ではなく「研鑽継続」の認定であり、専門職として永続的に研鑽を継続していくことを目的としています。そこで、単位化にあたり、どのような経験年数、職場での立場、ライフステージであったとしても、その人の環境に見合った研鑽が続けられるように、研鑽の内容や範囲、必要単位数等の設定を目指して検討を重ねてきました。今後、実際に運用していく中で生じた課題に関しては、5年後の見直しを視野に入れて検討を重ねていく予定です。

Q5 単位の申請の方法を教えてください

A5 単位の申請については、構成員マイページに紐づけし、WEBサイト上で申請可能な仕組みを考えています。構成員マイページの利用方法については、次号以降でお伝えする予定です。

図1【単位として認定する研鑽方法の例】
『SV20単位以上 +研修・学会等20単位以上+社会的活動20単位以上=5年で100単位以上』

精神保健福祉士の資質向上に必要な3類型を示した図

 

(研修センターだより「Start Line No.82」(2023年1月15日発行)より抜粋)