連載:新たな更新制度

 第3回 ‘さくらセット’を活用した研鑽計画

研修センター 認定制度推進委員会 委員 長島 由季  

 これまで新たな更新制度の目的と認定更新に必要な4つの工程を説明してきました。新たな更新制度には、更新研修受講後1年間の自身の研鑽計画を立てるプロセスが含まれることになります。本号では、その研鑽計画の作成について取り上げます。
 なお、現在検討中であるため、内容が一部変更となる可能性があります。

Q1 5年間の研鑚の積み上げ(単位化)のイメージがわきません。

A1 これまでの更新研修でも、5年間の実践や活動をレポートにまとめて振り返りをしてきました。ただ、いざまとめてみると、研鑚方法に研修受講が多かったり、活動の内容が関心のあるテーマのみに偏っていることに気がついたり、ともすると、何をどのように積み上げてきたか忘れてしまい、実感が持ちにくいといった経験をされた方もいるのではないでしょうか?
 新制度では、現時点での自分自身を見つめなおし、専門職業人として整えていくべき力量を5年間で総合的に積み上げていけることを目指します。そのためにはやみくもに研鑽を積み上げるのではく、自分に必要な研鑽計画を立てることによって、バランスよく研鑽できる仕組みを考えています。

Q2 バランスよく研鑽するとは、どういうことでしょうか?

A2 精神保健福祉士の資質向上のために必要な研鑽機会を、(1)スーパービジョン、(2)研修、(3)地域活動・社会貢献の3類型に整理し、ソーシャルワーカーが実践している活動を単位化します(図1)。それぞれに必要取得単位数を設定する予定です。

図1 精神保健福祉士の資質向上に必要な3類型

 この3類型にまんべんなく取り組んでもらうことでバランスの良い研鑽になると考えています。単位化することで、研鑽や実践等を可視化して自分の力量を測りやすくすること、目標と手段を明確にして偏りなく研鑚することを目的としています。ここで推奨したいのが‘さくらセット’です。さくらセットは、自分がなりたいソーシャルワーカー像にむけて、どのように研鑚をしていくか、計画を立てて進行するためのツールです。

Q3 さくらセットについて教えてください。

A3 さくらセットは、本協会が公認している自己研鑽支援ツールです。(1)精神保健福祉士の高い実践を展開していくために必要な力量と実践経験に伴ったレベルを整理した表である「キャリアラダー」と、(2)目標に向けて進んでいくための進行管理表である「ワークシート」から構成されています。
 キャリアラダーには、資質向上を図る6つの要素(1.仕事と暮らしの調和、2.社会人・組織人としての力、3.専門職・実践者としての力、4.自己研鑽、5.専門職教育と研修、6.ソーシャルワーカー意識)を縦軸に、それぞれの経験年数に応じた力量の目安が示されています(図2)。こちらを参考に、自分の力量を見定めてワークシートに記載していきます。目標とするなりたい自分を記入し、目標に向けてどの力量を強化していくか、そのための手段、研鑚方法と達成時期も記載します。大きな特長は、個人で取り組むのではなく、ペア(振り返り担当者)で行えることです。振り返り担当者が伴走者として存在することで、一人だと後回しになりがちな自己研鑽に一緒に取り組むことができます。

図2 「精神保健福祉士のキャリアラダー」の枠組み

 本協会のホームページの「キャリアラダーとワークシート(さくらセット)」にマニュアルと各種シート、以前協会紙に連載した記事等が掲載してありますのでご参照ください。

Q4 具体的にはどのように研鑚計画をたてればいいですか?

A4 2023年度から始まる更新研修では、さくらセットを活用して自身の1年間の研鑽計画を具体的に立てていただきます。具体的な流れとしては、

【更新研修受講前】さくらセットを使って、ワークシートに研鑽計画を作成する。

【更新研修時】ペアワークを体験し、研鑽計画について内容を深めていく。

【更新研修終了後】研修で得た気づき等をもとに、1年間の研鑚計画をあらためて作成する。

 必要な単位の取得に加え、これらの工程を踏むことで、認定精神保健福祉士の更新となります。ワークシートで作成した研鑽計画は構成員マイページで保管、修正・追記ができ、実際の研鑽計画として活用できるようにする予定です。認定更新のための工程としてはここで終了となりますが、振り返り担当者をみつけていただき、引き続きさくらセットを利用していただくと、5年間の研鑚がより充実したものになると期待しています。
 

(研修センターだより「Start Line No.81」(2022年9月15日発行)より抜粋)