報告

第34回基幹研修3&第40回更新研修

第34回基幹研修V第40回更新研修を日本福祉大学 東海キャンパス(愛知県)にて開催しました。日程は、基幹研修3が11月18日(土)・19日(日)、更新研修が11月19日(日)でした。ここでは、各修了者からの報告記事を掲載します。


<第40回更新研修>
     
SVの様子 全体発表の様子 代表者による修了証書授与

・ 精神保健福祉士としてのアイデンティティ

西脇病院(長崎県)/経験年数:13年 海老原 勇二
(第40回更新研修修了者)

  2017年11月19日に愛知県で開催された「第40回更新研修」に参加させていただきました。私自身、認定精神保健福祉士の更新研修としては初参加でした。今思うと正直、確固たる信念の下に応募したものでもなく、どちらかというと「受講しておこうかな」という受け身的なスタンスであったかのように思います。

 午前中は岩尾 貴先生の「ソーシャルワーク論」の講義でした。その中でも、精神保健福祉士としてのアイデンティティやかかわり論、そしてスーパービジョンの必要性について、改めて私自身を振り返る機会となりました。そのどれもがW今、自分はどのように有るのかWと、自分自身に目を向けること、先ずはこの意識が自己研鑽への大前提のような気がします。日々の業務や対象者の方々や関連機関とのかかわり、そして自分は何のためにソーシャルワークを展開しているのか等々、自己理解・自己点検が深まっていた方が、クライエントとのかかわりも客観的に見ることができるのではないかと感じました。そのためには定期的にスーパービジョンを受けることが望ましいことは言うまでもありません。

 午後のスーパービジョン・演題はグループワーク形式で実施され、私のグループでは行政機関や精神科医療機関、相談支援事業所等、様々な領域・職制の方々で構成されました。各々が所属する機関での活動領域の限界や、組織の一員として求められるものと、組織一員であれ追い求めたい理想像との葛藤等、私も含め色々な悩みが語られました。我々精神保健福祉士も生活者です。業務活動内外でそれぞれを取り巻く環境が目まぐるしく変化することもあれば、経験年数を重ねる毎に生活者としての我々自身の環境も変わっていくことも決して珍しいことではありません。その中で自分の生活と業務の両立、業務の中でも日々の業務と自身が描くソーシャルワーク像の両立の困難さを共有できたのではないかと思います。

 最後の全体会で「認定精神保健福祉士の更新研修を受講するメリットは?」という意見がいくつかのグループから出されていました。これについて、研修企画運営委員会委員長の渡邉さんからのコメントで私の中の靄(モヤ)が晴れたような感じがしました。「資格取得後、経験年数を経て認定精神保健福祉士を取得。この段階で初めてW精神保健福祉士としての一般的な業務が可能なレベルに達したWと言える」という内容であったように記憶しています。確かに資格を取得してもその活動領域等にバラつきがある実情で、今回のような更新研修(生涯研修)を受講することは、我々の職業アイデンティティの確立につながることと思います。職能団体の一員としての帰属意識と自己研鑽の継続、この5年もこれらを大切に日々の業務に取り組んでいきたいと感じました。

 「私は、ソーシャルワーカーです!」


<第34回基幹研修3
     
青木講師による講義2 演習の様子 代表者による修了証書授与

・ 精神保健福祉士について改めて考えさせられた研修

楠メンタルホスピタル(名古屋市)/経験年数10年 喜多 靖浩
(第34回基幹研修3修了者)

 平成29年11月18日、19日と2日間に渡り、基幹研修Vが日本福祉大学東海キャンパスで行われました。100名近くの参加があり、東海三県はもちろん、遠くは山形や鹿児島等からも参加されていました。

 1日目の講義1「精神保健福祉士の専門性V」、2日目の講義3「精神保健福祉士の実践論V」では講師の方の豊富な経験から、具体的なケースを例にテキストの内容を補完しながら分かりやすく講義をしていただきました。しかし何といっても1日目の講義2「精神保健福祉制度・政策論」の青木先生の講義が非常に勉強になりました。先生ご自身もおっしゃってみえましたが、900回を超える講演回数から醸し出される洗練された講義テクニックを拝見させて頂いけたことは、とても良い体験となりました。もちろん、生涯研修制度共通テキストの編纂者が、ご自身の書いた内容の説明をして下さる訳ですから、非常に奥深い講義の内容となっていました。ソーシャルアクションの事例を説明して下さった際に、ソーシャルアクションそのものの重要性だけでなく、PSWがソーシャルアクションを行う姿勢がクライアントの間接支援になっているという内容に共感を覚え、最も印象に残りました。

 演習では7人のグループでスクールソーシャルワーカー1名、グループホーム職員1名、支援センター職員1名、デイケア職員1名、病院相談員3名という内訳でした。テーマ「精神保健福祉士の専門性とは?」について議論をしました。専門性=独自性もしくは独占性という観点でいえば、業務独占資格ではないPSWはとても説明がしづらいという意見。権利擁護などマクロなレベルでのこととなると、どの士業でも必要とされている内容であり、“世界平和”的なボヤっとしたものなのではないか、という意見。現場でのミクロなレベルであれば専門性の高いスキルはたくさんあるが、PSWの専門性というよりは、その職種の専門性でありPSWの専門性というのとは少し違うという意見等がでました。活発な話し合いが行われましたが、結論に到達する前に時間切れとなってしまいました。

 最後にピアスーパービジョンを同じ7名で行いました。スクールソーシャルワーカーの方のレポートを題材に、ピアスーパービジョンを進めていきましたが、いかんせん皆、スクールソーシャルワーカーに興味深々で、業務内容の質問ばかりになってしまっていたように思います。しかし、個人的にはスクールソーシャルワーカーの業務特性を知ることが出来て非常に勉強になりました。

 今回の研修に参加し、様々な刺激を受けることが出来ました。ありがとうございました。


※ご報告いただいた方のご所属名と経験年数は、研修受講時の情報で掲載しています。


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