報告

日本発達障害ネットワーク第5回年次大会・第2回研修会「発達障害者支援と精神保健福祉士」を受講して

2009年12月12日(土)、成蹊大学(東京都武蔵野市)にて、「課題別研修/発達障害者支援と精神保健福祉士」を開催し、96人の皆さんが修了されました。本研修は、日本発達障害ネットワーク(JDDネット)が開催する第5回年次大会・第2回研修会の1プログラムに位置づくもので、2009年度にJDDネットに加盟した本協会としては初めての研修会の場でした。ここでは、研修の様子につきまして、修了者の方からの報告記事を掲載します。

         
会場の様子 柴田講師 緒方講師 千田講師 上田講師

・ 発達障害者支援と精神保健福祉士」研修報告

地域活動支援センターちのくらぶ(大阪府)/経験年数1.5年 内海かおり

 今回の研修に参加させていただいたのは、勤務している地域活動支援センターのスタッフとして発達障害者の方への関わり方に悩んでしまうことが多く、発達障害者の方への理解や、支援について改めて学びたいと思ったためです。

 一つ目の講義は、「発達障害者支援〜支援ニーズと今日的な課題」というテーマで横浜市発達障害者センターの柴田氏にお話いただきました。面接場面だけではご本人のニーズが捉えにくいため、多くの機関の支援者が実際の生活場面に関わりアドバイスすること、そのための支援体制づくりが重要とのことでした。確かに、買い物などに同行すると思わぬところで個性的な行動が見られたりします。たくさんの支援者で見守り支えることが大切だと感じました。

 講義の2つ目は「学齢期の課題と支援」というテーマで福岡市発達障がい者支援センターの緒方氏にお話いただきました。学齢期から周囲が理解し支援すること、それによって二次障害をつくらないことが大切であるとのことでした。緒方氏が話された、「支援よりも理解してほしいのです」という当事者の方の言葉が印象的でした。精神保健福祉士が関わる発達障害者の多くの方は理解されない孤独な状況に苦しみ、へとへとになって精神科や施設にやってくるという状況にあるのではないかと思います。具体的に何かできないか、ということにばかりにこだわってしまう自分を振り返ることができました。

 最後に「発達障害と就労支援〜『働くこと』の課題と支援〜」というテーマでながやまメンタルクリニックの千田氏、八王子市生活支援センターあくせすの上田氏にお話いただきました。「就労支援を通して自己理解が深まったりニーズが見えてくる」との千田氏のお話に、視野を広く持つことやチャレンジすることの大切さを感じました。あくせすの上田氏と協動で関わったケースでご本人が徐々に変化されていったお話には、地域活動支援センターの職員として大変励まされました。柔軟に関わることができる立場であるからこそ、その方が必要とする支援はどのようなものか、改めて見直したいと思いました。

 今回の研修に参加し、精神保健福祉士も発達障害者の方を支える一資源として、当事者の方に積極的に関わっていかなければならないと改めて感じました。私自身はまだまだ知識も経験も少なく未熟ではありますが、当事者の方の個性を尊重し温かい関わりをしていきたいと思います。素晴らしい講義をしていただいた講師の方々、今回の研修を企画していただき、また報告掲載の機会を下さった日本精神保健福祉士協会事務局の方々に感謝いたします。ありがとうございました。


△前のページ戻る