課題別研修/第16回成年後見に関する研修

2019年10月5日(土)、6日(日)の期間で、仙都会館(宮城県)を会場に標記研修を開催しました。ここでは、修了者からの報告記事を掲載します。

       
講義の様子  演習の様子 代表者による修了証書授与

第16回成年後見に関する研修(2日間)に参加して〜精神保健福祉士としての成年後見の視点〜

医療法人板倉病院(福島県)/経験年数11年目 佐藤 純一

 今回の研修の1週間後に東日本に甚大な影響をもたらす台風災害が起きました。このたびの台風により被害を受けられた皆様に、心よりお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復旧とご健康を心からお祈り申し上げます。
 会場となった仙台駅前も冠水となり、雨の降り方が変わってきている今日、いつどこにいるかで誰しもが災害に遭遇する時となったと感じている今日この頃です。

<受講動機>
 病院勤務をする中で、成年後見制度の検討をしなければならない関わりやすでに被後見人となっている方の入院が増えてきていること、また、法改正やソーシャルワーカーとしての視点を再考すること、会場が隣接県であったことで受講がしやすかったことが、今回の参加に至った経緯です。

<講義について>
 弁護士や家庭裁判所の主任書記官といった専門職の方から、成年後見制度の概要に始まり基礎知識・現況について詳しく講義され、とても分かりやすい内容でした。成年後見制度の総論から各論、関連法、民法についての詳細、演習という流れです。紙面から得られる情報とは違った、実際に関わっている方々からの話はとても貴重なものでした。

<成年後見制度の基本理念>
 成年後見制度というと、財産管理のイメージが前面に出て、支援者側の基本理念が見失われがちです。本研修では、3つの理念が強調されていました。(1)自己決定の尊重、(2)残存能力の活用、(3)ノーマライゼーション、です。ややもすると、支援者の意思によってことが運びそうになりがちですが、この3つを頭に入れながら支援を行うことによって、被後見人の意思を尊重する原則、最善の利益は何か、だれにとっての最善なのか、自覚しながら行動できます。根底におかなければならない大切な理念を認識させられました。

<精神保健福祉士(ソーシャルワーカー)の視点>
 ソーシャルワークで培った「その人なりの生活のあり方」を支援する経験を生かせるといった、他の専門職の後見人とは違った関わり・支援ができることを再考させられました。紙面の字数の関係で詳細は書けませんが、代理権をどう活用しないかも考える大切さが、意思決定を支援することにつながることも学習できました。あらたな気づきを日々に活かすこと、また、さらに理解を深めていきたいと感じた充実した研修でした。


※ご報告いただいた方のご所属名と経験年数は、研修受講時の情報で掲載しています。