報告

第23回基幹研修23&第22回更新研修

「第23回基幹研修(23)」と「第22回更新研修」を名古屋国際会議場(愛知県)にて開催しました(開催案内)。日程は、基幹研修2が2014年5月31日(土)、基幹研修3および更新研修が2014年5月31日(土)、6月1日(日)でした。ここでは、それぞれの修了者から報告記事を掲載します。


<第23回基幹研修3・第22回更新研修>
     
菅原講師による講義1 小川講師による講義3 基幹研修3演習の様子
     
基幹研修3代表者による修了証書授与 更新研修演習の様子 更新研修代表者による修了証書授与

・ 自分が精神保健福祉士である事を強く意識して

蒲郡市障がい者支援センター(愛知県)/経験年数10年 中川 学
(第22回更新研修修了者)

 2014年5月31日、6月1日に開催された第22回更新研修に参加させていただきました。
 精神保健福祉士となり10年、自分の考えや業務を伝える機会が増えてきました。もちろんまだまだ悩んだり迷ったりしながらです。余裕がないせいか、伝える必要が出来てから、なぜ自分がそう考えたのか、どう実践したのか、何を根拠にしていたのか、を必死に考えていました。今回、研修受講前のレポート作成でも、振り返り、思いだし、必死に考え、整理しました。

 開催地が愛知県。地元であり知った顔も多く、研修には緊張せずに参加できました。初日、菅原先生の講義や齊藤先生のソーシャルアクションの話は大変解りやすく、自分の日々の業務や活動あてはめながら話を聞くことが出来ました。相談支援専門員として自立支援協議会の運営に深くかかわっていることなどから、自分自身の日々の実践にもソーシャルアクションがあると気づき、嬉しく、充実感がありました。講義を聞き、意識してソーシャルアクションを展開したい、と強く感じました。「愛知県の地域移行支援の仕組みを創りたい。」と強く思っています。

 初日の締めくくり、懇親会には県外の方も沢山参加していました。席が盛り上がり、他の席を回る余裕がありませんでした。他県の方とも仲間意識が持て、一緒に語り合えたこと。少し羽目を外して大笑い出来たこと。ここのところの業務の疲れが吹き飛び、エネルギーをいただくことが出来ました。精神保健福祉士で良かったと思いました。
 二日目の小川先生の講義は先生ご自身の実践が盛りだくさんでした。クリニックとか事業所ではくくれない、独特の取り組みや、小川先生の苦労の実践が大変興味深く、参考になりました。話が面白かったです。

 演習、ピアスーパービジョンではグループにも恵まれ、気持ちよく発言することが出来ました。また少し憂鬱になりながら作成したレポートも、発表することでさらに気持ちや頭が整理されました。また他の方の報告を聞くことで感じること、勉強になることもたくさんありました。私よりも経験の長い方が多かったので、私もいずれこの方たちのような立場になるのか、と自分の将来を少し想像してしまいました。

 精神保健福祉士であることを強く意識し、精神保健福祉士であることを誇りに思える二日間の研修でした。精神保健福祉士として、相談支援専門員として信念をもち前向きに取り組んでいきたいです。


・ 立ち止まって振り返ることの大切さ

NPO法人地域生活サポートまいんど 地域生活サポートセンターとらいむ(神奈川県)/経験年数11年 佐藤 直子
(第23回基幹研修3修了者)

 5月31日から6月1日の2日間、名古屋国際会議場にて基幹研修3を受講してまいりました。初夏の暑さに見舞われ、研修会場は長野県から沖縄県に至るまで各地からの参加者で賑わっていました。

 1日目の講義、【精神保健福祉士の専門性3】では、菅原小夜子先生より「精神保健福祉士の価値に基づく実践」を中心にお話頂き、【精神保健福祉制度・政策論2】では、齊藤晋治先生より、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律の施行について、マクロ>メゾ>ミクロそれぞれの定義について改めて整理・確認しながら、個別の問題を一般化、社会化していく道筋の重要性とともに社会に訴えることの重要性ソーシャルアクションの在り方についてご講話頂きました。また、2日目、小川隆司先生による【精神保健福祉士の実践論3】の講義では、精神保健福祉士であるが故の葛藤体験とその意義について触れられ、所属機関の枠を超えて地域の社会資源のひとつとして活動することの必要性についてご自身の実践(地域の商工会への参加を通して普及啓発)をもとにお話頂きました。また、その後の【ピアスーパービジョン】では、「精神保健福祉士の専門性とは?」というテーマを巡って、「時間をかけて失敗を保障しながらクライエントの真のニードを模索する。」「もっとしたたかになる。何でも屋、便利屋→とりまく生活環境すべてが活動領域。」「ケアマネジメントを担えるという強みを活かす。」など大切なキーワードが幾つも語られ、温かくおおらかな雰囲気のなか、メンバーそれぞれの課題に自身の体験をなぞらえて意見交換するなかで、専門職としての価値を分かち合うことができたり、‘繋がっている’ことを実感できたように感じました。

 私自身、経験年数を重ねるにつれ、他(多)職種・他(多)機関からの意向を踏まえつつ、業務の処理速度や問題解決のための着地点を求められるような場面が増えつつあり、今回の研修会の受講を通して、‘クライエントとの協働’を大前提としながらも、(時間をかけてクライエントと向き合う時間を脅かしかねないほどに)他職種・他機関との‘交渉’に多くのエネルギーと時間を費やしている現状を再認識することとなりましたが、同時に精神保健福祉士のして価値とその役割に立ち返りながら現状を俯瞰することができたことで、‘交渉’を‘協働’ へと発展させていくための多くのヒントとエネルギーを頂けたように思います。


<基幹研修2
       
小栗講師による講義1 会場の様子 演習の様子 代表者による修了証書授与

・ ソーシャルな視点とは何か、他機関の方との研修を通して

特定非営利活動法人グリーンハート 就労継続支援B型事業所 ワークセンターメイプル(愛知県名古屋市)/経験年数4年 平田 亜友美
(第23回基幹研修2修了者)

 地域の作業所型地域活動支援事業所、就労継続支援B型事業所に精神保健福祉士として従事して5年目となります。事業所の中でも先輩や後輩に挟まれる中、日々専門性とは、支援とはと自問自答するものの、中々振り返る機会を持っていませんでした。行き詰まりを感じる中、今回、日時と開催地が大変都合の良い名古屋市となり、新たな刺激になればと思い、第23回基幹研修2に参加させていただく事となりました。

 講義では専門性とは何か、法制度はどのように学ぶべきか、実践する力や知識等、普段の自分の仕事をいかに振り返っていないか反省しながらの学びとなりました。
 今回の研修において一番印象に残った点は、演習においてグループでテーマを話し合い、ディスカッションを行った事についてです。グループでは、「ソーシャルな視点とは何か」というテーマで話し合う事となりました。

 ソーシャルな視点は講義でも挙がりましたが、一体どんな視点を持つことなのか、明確な答えを持っていませんでした。私の考える「ソーシャルな視点」とは、日々の実践の中で、利用者と職員、利用者と一事業所の一対一の関係だけになってしまうのではなく、色んな機関、立場から利用者と多角的に、広く関わる事と仮定しましたが、本当にそうなのか疑問に感じ、グループの方と共有させていただきました。
 他の方からも、障害に捉われない事や、地域とのつながり、関係機関との連携、広く普及啓発を行っていく事もソーシャルな視点の一つではないか、とのご意見をいただきました。
 皆さんとのディスカッションをする中で、私自身の行き詰まりとは、目の前の利用者との関係作りにおいて、職員、事業所内で収まらずに他機関と広く繋がり、色んな選択肢がある事に利用者と共に気付く事にあるのではないかと感じました。その選択肢に気づく為には、現場の職員全員で共有する事は勿論、他の関係機関の職員と積極的につながっていく事が重要だと思います。
研修を終えて、自分と同じ立場、経験年数の方と共に講義を受け、演習をする事は、日々の職務とは違う刺激を受け、大変充実した時間となりました。今後は、基幹研修で得た学びを実践し、利用者と共に考え、少しでもサービスの質を高めていきたいと考えています。

 最後になりますが、事務局並びに講師の皆様におかれましては、ご多忙の中、開催準備・ご講演等感謝申し上げます。本当にありがとうございました。


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