報告

第26回基幹研修23&第25回更新研修

「第26回基幹研修(23)」と「第25回更新研修」を九州ルーテル学院大学(熊本県)にて開催しました(開催案内)。日程は、基幹研修2が2015年5月16日(日)、基幹研修3および更新研修が2015年5月16日(土)、17日(日)でした。ここでは、それぞれの修了者から報告記事を掲載します。


<第26回基幹研修3・第25回更新研修>
今野講師による講義1 演習の様子 基幹研修3代表者による修了証書授与
更新研修演習の様子 全体会の様子 更新研修代表者による修了証書授与

・ 出会いに感謝

公益社団法人熊本県精神科協会 指定就労継続支援B型事業所 熊本県あかねワークセンター(熊本県)/経験年数13年 田上雄一朗
(第25回更新研修修了者)

 生活訓練施設からB型事業所に異動して3年目。
 業務での悩みや課題がある中、講義で学びや研鑽を深め、全国の皆様との新たな出会いを楽しみに参加させていただきました。

 講義1『精神保健福祉士の専門性3』の今野えり子先生の講義では、“自分の経験に基づく判断から失敗しないように導き、あえてチャレンジしない。”という言葉が胸に響きました。経験を積み、結果が予想できたり、失敗できない立場になるとクライアントに支援する場合に支援者側の枠にあてはめがちです。そうならずに“その人らしい、その人が望む生活”の実現を目指し、失敗から共に学んでいきたいと思います。

 講義2『精神保健福祉制度・政策論2』の岩永靖先生の講義では、制度施策が目まぐるしく移り変わる中、一早く制度を理解し、クライアントに障壁が生じた時、制度や社会資源をうまく活用し、ソーシャルアクションをすることの意味を教えていただきました。

 講義3『精神保健福祉士の実践論3』の多賀浩一先生の講義では、“自分の役割とは何か”を自問自答するきっかけをいただきました。講義の中で改めて多賀先生の活動の幅の広さを知り、“自分はこんなに多くの役割を果たせない。もっと技術・知識・経験を積み、自身の器を磨かないといけない!!”と研鑽の必要性を強く感じました。

 講師の先生方の講義を受け、熊本県の諸先輩方が築いてこられた功績や歴史の大きさを改めて感じ、今の自分達があるのも諸先輩方が様々なことを乗り越えて、今の地位を確立されてきた歴史があることを理解・継承し、そこに感謝しながら今後も自分の役割をしっかり果たしていきたいと思います。

 懇親会では、熊本県の今野会長(当時、現顧問)が大事にされている“飲みにケーション”で全国の皆様と繋がり、情報を共有することができました。素敵な時間をありがとうございました。

 2日目の演習3、ピアスーパービジョンでは、班の皆様の温かさ、共感する姿勢、課題に対して何とかヒントが見つかればと相手を想う気持ちに触れ、これぞ、まさに“精神保健福祉士の真骨頂!!”と嬉しい気持ちを抱きながら、自分自身が癒しを感じられる空間でした。また、個人的に奇跡的な出会いもあり、有意義な時間を過ごすことが出来ました。
 ピアスーパービジョンでも連携というキーワードが出ましたが、普段クライアントの支援をする場合も自分の仕事をする上でも何気ないところで連携しています。小さな仕事も大きな仕事もこの連携の積み重ねが大事で、ソーシャルアクションをするにも重要な事だと改めて実感しました。
 今後も熊本県、そして全国のより多くの皆様との繋がりを大事にし、業務に活かしていきたいと思います。今後とも宜しくお願い致します。
 2日間、運営スタッフの皆様、講師の皆様にも大変お世話になりました。


・ まだまだ、これから!!

医療法人大徳会 桜ヶ丘病院(鹿児島県)/経験年数3年 林田 恵子
(第26回基幹研修3修了者)

 平成23年、インターネットで精神保健福祉士の合格者発表で自分の番号を見つけた時は「やったあ」と大喜びしたものでした。40歳を過ぎ5年間の看護学校を経て看護師になった時以来の感動でした。卒業後、働きながら放送大学に通い『精神保健福祉士』になるという夢を追い続けました。看護師職に就きながら、鹿児島での研修にも時間の許す限り出席し、精神保健福祉士の方々に交じり基幹研修T・2を終えて、晴れて今は精神保健福祉士として基幹研修3に参加することができました。

 今野えり子先生の講義では、「本人に寄り添う、本人があきらめない限りはワーカーもあきらめない。」「経験が積み重なると、枠にはめてしまうことがある『誰のために、何のためにするか』が大事である」という言葉が強く印象に残りました。また、その人ひとりひとりのケースから制度を変えていく必要性については、精神保健福祉士であれば、誰もが願うところであり実践していかなければならないと痛感しているところであり、精神障がい者のバス運賃割引に尽力されたことはずばらしいと思いました。

 岩永靖先生の障害年金や生活保護についての講義も興味深いものでした。若年性認知症は働いているうちに認知症になることで障害年金の遅れが生じていること、大阪では生活保護の支給がプリベイド方式になっていて、使い道の把握ができるメリットがある反面、プライバシーの侵害というデメリットがあるということなどでした。

 多賀浩一先生の実践論の講義では、ネットワークの重要性、社会資源についてのたくさんの学びがありました。精神保健福祉士としてなにができるかを考えつつ、常に挑戦すること、そのためには、移り変わる制度や地域のニーズ、行政とのかかわり、そして何よりクライエントとの信頼関係が大事であることを学ぶことができました。多くの具体例とたくさんの資料を作り講義してくださったことに深く感謝いたします。

 最終の演習では精神保健福祉士として長い経験を持った方達とのセッションで楽しかったです。また今回懇親会に初めて参加させていただきました。精神保健福祉士としていろいろな場面で活躍されている方々と話す機会が持てたことに感謝したいと思います。お世話になった皆様ありがとうございました。


<第26回基幹研修2
岩永講師による講義2 会場の様子 演習の様子

・ 基幹研修Uに参加して、私の気づき

医療法人信和会 地域生活支援センターふれあい(熊本県)/経験年数3年 西村 愛
(第26回基幹研修2修了者)

 経験年数がまだ3年の私が受けていいのだろうかという思いを抱きながら、研修会場へ足を運びましたが、「何年たってもここに立ち返りなさい」というメッセージが込められたような、濃い一日を過ごすこととなりました。

 講義中は「私たちが何のために存在しているか」という問いを考えさせられた時間でした。というのも、私自身が「精神保健福祉士の専門性って何?」と尋ねられても、明確には答えられないなあ、というモヤモヤとした思いを最近特に抱いていたのです。どの先生方も自ら経験した失敗や迷いなどの体験談を交えながら、熱く話してくださいました。「時間」「空間」「人間」という「間」を意識した関わりをしていく必要があるという渡邉先生の話では、自分の面接場面やご本人、ご家族との関わりを思い出し、振り返る機会ともなりました。

 「制度・政策論」では、ひとつのケースワークに関わることが、延いてはソーシャルアクションに繋がっていくことを認識し、また、これまでの精神障害者の方々を取り巻いてきた歴史・背景を精神保健福祉士として十分に把握しておくことの必要性を改めて感じました。

 グループワークでは「精神保健福祉士に必要な“ソーシャルな視点”とは?」「精神保健福祉士の専門性とは?」のどちらかで行うとの但し書きがあり、正直なところ「堅苦しいグループワークになりそうだな」という印象しかありませんでした。しかし、和気あいあいとした雰囲気の中、日頃の業務を思い返して話し合い、「当事者の自己決定」や「地域生活者として捉える」、「ご本人の力を信じる」など、それぞれが自分の中で重きを置いていること、実践していることを明確化し、気づき合う作業ができたように思います。勤務地や勤務年数、勤務機関が違う方々とのグループワークはなかなかない経験で、とても勉強になりました。

 どれだけ頭で理解をしていたつもりでも、時間に追われるような毎日の業務の中では、見失いがちでいることが多くありますが、自己覚知の作業の大切さを改めて感じ、また頑張ろうと思わせてくれる1日でした。そういう気持ちで、また明日職場に行ってみようと思います。


※ご報告いただいた方のご所属名と経験年数は、研修受講時の情報で掲載しています。
※障害表記は、ご寄稿のとおりに掲載しています。


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