第41回基幹研修V・第49回更新研修

2019年10月19日、20日の2日の間で、Imyホール・会議室(愛知県)を会場に標記研修を開催しました。ここでは、修了者からの報告記事を掲載します。

第41回基幹研修V

       
講義の様子 演習の様子 代表者による証書授与 

実践を振り返りその根拠と専門性を問う

鬼木事務所(山口県)/経験年数8年 鬼木 泰子

 名古屋で開催されました第41回基幹研修Vに参加させていただきました。私は「自己の実践における精神保健福祉士としての専門性を考える」という動機を持って受講しました。というのも、私は介護保険でのケアマネージャーと成年後見制度での受任者として精神疾患を有する方の支援に携っていますが、自分の実践が精神保健福祉士としての専門性を果たせているかについては甚だ自信がありません。経験年数8年と書きましたが登録後8年が経過しているだけで、日頃の業務において助けていただいている病院や施設の精神保健福祉士の方々と比べて、私は圧倒的に経験不足だからです。

 しかし2日間の研修を終えて、知識や経験の不足は自分が努力して補い続けていくべきもので、専門職としての専門性はもっと別の所にあると感じています。

 講義では、講師の先生方の精神保健福祉士としての熱い思いに圧倒されました。現在の法制度や政策を理解するだけでなく、問題を社会化して必要な変革を求めていくこと。「社会資源のひとつとして自分自身を捉え、この時代に生きる私に求められた役割を果たす。」「How to workerになるな。」「個人と社会の双方向への視点をもって、他職種にも理解してもらえるような丁寧な説明とプロセスを怠るな。」などなど、多くの言葉が胸に突き刺さりました。

 グループワークでは「精神保健福祉士の専門性」について議論を深めた後、同じメンバーでピアスーパービジョンを行いました。日頃、相談支援専門員や病院のソーシャルワーカーとして現場の最前線で実践を営んでおられるメンバーの皆さまを前に、私は最初自信のなさから気後れして、逆に妙に構えた気持ちで参加していたのですが、そのことが恥ずかしくなるくらい温かく支持的な姿勢で演習が進んでいきました。多くの経験を持つ先輩方も、様々な悩みを抱えて壁に突き当たりながら日々実践していると知り勇気付けられました。そして私も、メンバーの皆さまの温かいまなざしのもとで自分の実践を振り返ることができました。同時に、自分の実践における行動や発言の根拠を言葉にして説明することがとても大切であると気が付きました。

 今回演習や懇親会でお世話になった皆さまに、5年後の更新研修で再会できる日を楽しみにしています。その時に恥ずかしくないように、基幹研修T〜Vを通じて学んだことを心に留めて、日々の実践を精いっぱい誠実に行っていきたいと思います。ありがとうございました。

第49回更新研修

       
講義の様子 演習の様子 代表者による証書授与 

AIに負けない精神保健福祉士になるために

医療法人同愛会相談支援事業所すこやか(岐阜県)/経験年数17年 吉田陽子

 即位の日が数日後に控えた2019年(令和元年)秋。初めての更新研修に参加させていただきました。『これで晴れて憧れの丸いシールいただけるんだ』と嬉しい気持ちと、それに伴う重責に背筋がぴっと伸びます。

 研修は午前中に講義、午後はスーパービジョンと演習でした。『あなたは精神保健福祉士ですか?』『あなたはソーシャルワーカーですか?』講師の先生の問いかけに私は自信を持って手を上げられませんでした。私がイメージしている世界のソーシャルワーカーは、明日の命も保障されない本当の貧困や、未成年性的虐待などの問題に真っ向から立ち上がり、道なき路を創り国や制度と戦い抜く姿。現在の私は日々の業務に追われ定時で帰り、育児家事に翻弄され、寝かしつけ終わってからようやくこどもの寝顔を見ながら残った面談記録やケース会議の準備をする毎日。『ソーシャルワーカー』ではない普通の人だ…愕然とします。そして改めてそれに気づかされた今回の研修。五年後の更新研修に向けて『チカラ』と『ミライ』と『モチベーション』を与えてくれます。もう頑張るしかありません。

 後半グループワークでは『地域移行を地域住民の立場から考える』に取り組みました。地域に住む人の隣に、突然障がいのある人が住むことになると知ったら。その障がいは精神障がいだと聞いたら。そして地域住民さん『地域移行します、よろしく』と何かの専門家らしき人に言われたら…それはびっくりしますよね。人間は未知が怖いです。ただただこちらの信念を押し付ける前に、精神医療や保健福祉についての正しい知識は必要です。それをどう伝えるかも我々精神保健福祉士の大切な役割だと再認識しました。

 講師の先生も言ってみえましたが、今現在AIはスペシャルブーム。仕事も生活もあらゆる所でAI化が進むこの時代に、消えゆく仕事にならないためにAIに負けない質の高い精神保健福祉士を目指して、『負けないように渇れないように笑って咲くソーシャルワーカー』になりたいです。

 最後に毎回P協会研修で楽しみにしている『出会い』。前夜の懇親会や演習にて今回も全国各地のPSWの方と直にお会いし、お話できました。本当に本当に楽しい時間でした。


※ご報告いただいた方のご所属名と経験年数は、研修受講時の情報で掲載しています。