第42回基幹研修V・第50回更新研修

2019年12月7日、8日の2日の間で、YIN京都貸し会議室(京都府)を会場に標記研修を開催しました。ここでは、修了者からの報告記事を掲載します。

第42回基幹研修V

       
講義の様子 演習の様子 代表者による証書授与 

実践を振り返り、様々な「学び」や「気づき」に出会う場

京都府中丹西保健所(京都府)/経験年数5年 丹羽 琢哉

 私は、12月7日、8日に京都で開催された基幹研修Vに参加させていただきました。今回、受講した契機は、日々の実践では、想定外の出来事や緊急対応が求められる場面など、自身の知識や経験のみでは対応が難しい場面に遭遇し、様々な悩みや葛藤が生じていたことが大きかったように思います。そのため、自身の実践を振り返りつつ、他の所属機関で活躍されている精神保健福祉士の実践を学ぶ機会にしたいと思い、受講することを決めました。

 研修では、精神保健福祉士の専門性、制度・政策論、実践論と講義で学び、その後はグループに分かれて演習、ピアスーパービジョンに取り組みました。「専門性」の講義では、精神保健福祉士の価値や倫理について再確認しました。また、「中学生に精神保健福祉士をどのように説明するか」と講師からの問いかけに、改めて「精神保健福祉士とは何か」を考えさせられました。そして、「制度・政策論」の講義では、精神保健福祉士の視点から、制度自体に内包される権利擁護と権利侵害の両側面があることに目を向け、ソーシャルアクションに繋げることも大切な役割であることを学びました。また「実践論」の講義では、目の前のクライエントとのかかわりを通して地域のニーズを把握していく視点、把握したニーズで足りないものは社会資源の開発にも繋げることの重要性を感じました。講義後の演習では、災害支援における精神保健福祉士の専門性に関する話などが挙がり、またピアスーパービジョンでは事例を通して、ご本人・ご家族と精神保健福祉士の関係性などに着目しながら、精神保健福祉士の専門性、関係機関との連携のあり方など話し合う機会となりました。

 私自身、この研修全体を通して、改めて権利擁護について考えさせられました。精神保健福祉士として非常に大切なキーワードでありながら、私自身、その意識が足りていないことに気づかされました。ただ、研修を受ける中で、目の前のクライエントの権利に気づくことができているか、どこまで意識して関わることができているか等を振り返るとともに、クライエントとの関係性、関係機関との連携を含め、精神保健福祉士の関わりが権利擁護に繋がると同時に、権利侵害に繋がってしまうことを改めて実感しました。

 今回の研修で学んだことを活かし、他職種、他機関にも専門性を示しながら、真摯に日々の実践に向き合おうと思いました。最後になりましたが、講師の先生方をはじめ、事務局、受講生の皆様、このような貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

第50回更新研修

       
講義の様子 演習の様子 代表者による証書授与 

「第50回更新研修」を受講して

大阪保健福祉専門学校精神保健福祉科(大阪府)/経験年数16年 松山 剛

 気が付けば、2回目の更新研修。今年度は京都で更新研修があるということで、早い時期から受講を考えていました。一年早めの受講を考えていたため余裕に構えていたこともあり、申し込みを先延ばししていたところ、その油断が大敵となり、気が付けば申し込み締め切り日が過ぎている。幸いなことに追加申し込みのメールをいただき、慌てて申し込みを行いました。その後も、レポートの再提出のご指摘をいただき、くじけそうな心を何とか立て直して、当日の参加までたどり着きました。

 前置きが長くなりましたが、実際のところ、前回の更新時と異なり、現在クライエントに対する実践のフィールドを持たない私は、少し引け目を感じながらの参加でした。しかし、実際に受講してみると、ソーシャルワーカー論、グループスーパービジョン、演習いずれも充実した体験をすることができました。さすがに基幹研修も更新研修というだけのことはあり、職場で管理的立場や、マネジメントに従事していたり、都道府県協会などで、何らかの役割に従事している方々ばかり。グループスーパービジョンや演習の話題も、地域との関係や、後輩の指導といった視点の広がりを感じることの感じる事例が次々と出てくる。しかし、その中でも、個々の事例においては、ソーシャルワーカーとして、経験年数ゆえの「慣れ」によって支援を行うのではなく、常に、現場で感じる違和感を大切にしながら、疑問を持ち続けながら、クライエントと向き合って支援していきたいという思いは、全員に共通していました。最後のプログラムとなる演習では、先達からの、そして次世代への専門性や大切にする価値の継承の話題となり、今の自分が置かれた場で、できること、しなければならないことを再確認する貴重な機会となりました。

 受講を終えてみて、5年という定期的なタイミングで自分を振り返るためにも、更新研修を継続することの大切さを改めて感じるとともに、いろいろありながらも、今回、この京都会場を受講できたことを幸運に思いながら、2019年の年の瀬を迎えるのでした。


※ご報告いただいた方のご所属名と経験年数は、研修受講時の情報で掲載しています。