報告

第12回基幹研修23&第5回更新研修

「第12回基幹研修(23)」と「第5回更新研修」を秋田市民交流プラザALVE(アルヴェ)(秋田県)にて開催しました(開催案内)。日程は、基幹研修2が2011年9月18日(土)、基幹研修3および更新研修が2011年9月18日(土)、19日(日)でした。ここでは、それぞれの修了者から報告記事を掲載します。


<更新研修>
演習の様子1 演習の様子2 代表者による修了証書授与

・ 涼しさを求めた東北で熱い想いを新たに・・・

ケアホームきずな(愛知県)/経験年数14年 竹内希代子

 正直なところ、初めはブロック会で担当理事さんから「更新研修を来年度までに受講しないと、研修認定精神保健福祉士が更新できなくなりますよ!」という説明を聞き(心の中では「今年自立支援法に移行したばかりのケアホーム運営について、情報収集も全国規模でできるかも…」とほくそ笑みながら)、「受講しないといけないと思います」と上司に申し出て、申し込みが可能だった秋田の更新研修を受講させてもらうことになりました(決済が出た時点で秋田の美味しいものをチェックしたのは私だけではないはずです)。

 当日の早朝から空港に向かい、「きっと、愛知から受講するなんて私独りだろうな…」と思いながら搭乗口に向かうと、見覚えのある後姿。飛行機を降りるときには後ろの席から声をかけられ、秋田駅のコンコースを会場に向かって歩いていると知っているお顔が・・・。受付を済ませて受講者名簿を見てみると33名中7名が愛知県からの参加。驚きです。

 研修のカリキュラムは精神保健福祉士の専門性、精神保健福祉制度・政策論、精神保健福祉士の実践論、演習というベーシックな内容でしたが、私が一番驚いたのは、各講義の講師が受講生の席から演台に出て行って講義を行い、終わると自分の席に戻って受講生として話を聞く、ということです。会場である東北の現場の最前線で活躍している講師の先生の熱い想いを込めた講義は、“日々の業務を振り返り、深く考察せずに判断したり動いたりしていないか”“歴史や情勢・制度等をきちんと踏まえて業務を組み立てられているか”“目の前にいる利用者の方、そして家族に対してきちんと向き合い、考え合いながら仕事ができているか”など、精神保健福祉の職人であるべき自分に改めて問いかけ、考えることを確認させてくれました。

 初めての東北上陸だったので、きっと涼しく過ごしやすい場所だろうと思い込んで臨んだのですが、そうは思うようにいきませんでした。最後の演習では、経験年数も所属も業務内容も見事なほどにバラバラの面々で、同じテーマについて話し合い、聴き合い、考え合う。そしてどれだけバラバラなようでも、同じ専門職の仲間として、同じ目線で物事を捉え分かり合えるんだ、ということを確認できた、とても充実した時間を積み重ねることができました。

 本を読めば分かること、とは全く違う活きた研修を、涼しいはずの秋田で熱く実感できた2日間でした。


<基幹研修3
佐藤講師による講義3 会場の様子 演習の様子 代表者による修了証書授与

・ 基幹研修3を受講して

医療法人立青会 なるかわ病院(北海道)/経験年数9年 山村哲

 この度なかなか機会を逃していた、基幹研修3を受講することができました。

 講義「精神保健福祉士の専門性3」では講師である藤林先生の体験談を交え、学術的に精神保健福祉士としての専門性について、「精神保健福祉制度・政策論2」では講師の長谷川先生が役所での体験談や現場でのジレンマ、窓口での支援の視点などを交え制度・政策の意味合いについて、「精神保健福祉士の実践論3」では講師の佐藤先生が病院での実践について経験談から深い視点や、自分の実践を人に説明することの大切さについて、それぞれの講義を通してテキストと共に日々を振り返り、考えることができました。

 後半には5で演習を行いました。研修企画運営委員会の計らいにて、とても話しやすいグループになっており、比較的年代の近いメンバーでした。一宮市のメンタルクリニックのPSW、秋田市内の精神科病院のPSW、援護寮のPSW、北海道苫小牧市のメンタルクリニックのPSW、七飯町の精神科病院のPSWというメンバーです。それぞれ立場や地域は違いますが、同じような視点の中で業務を行っていることで、お互いに深い関心を持ってグループワークに取り組むことができました。

 事例検討では、それぞれが提出した事例にそれぞれが同じような体験があり、同感しながら、「自分の場合はこんなふうに工夫してみたが、あなたの時はどのような工夫や悩みましたか?」というやりとりが多く、時間が足りない中で充実した討論が繰り広げられました。印象的だったのが他職種とのやり取りに困難さを感じ、「多職種連携」という言葉が独り歩きしていないか?ソーシャルワーカーとして発揮できる得意分野の一つに連携があるはずなのに、というジレンマがグループ内に生じた時に、他職種のことをいかに理解していたのか?他職種の視点を知ることで、互いに専門家として連携が生まれ、結果として対象者に対して有意義な対応を取ることができるのではないか、という気付きができたことです。自分の職場に帰って、他職種に実際にインタビューを取ってみて、日々の業務に活かすことができました。

 秋田という土地で心地よい「なまり」を耳にしながら、日本各地に多くの仲間がいることを知ることができ、自分の実践を振り返り、専門性について深めることができるとても有意義な研修を過ごすことができました。最後になりましたが、このような研修を企画してくれた研修企画運営委員会の皆さん、当日の運営に関わられた秋田県支部のみなさん、ありがとうございました。


<基幹研修2
小沼講師による講義1 佐藤講師による講義2 演習の様子 代表者による修了証書授与

・ これまでの自分を振り返る場

社会福祉法人・花 地域移行型ホーム事業所「さくら」(青森県)・経験年数6年 川村 志穂

 2011年9月18日、秋田県秋田市の秋田市民交流プラザALVEで行われた「基幹研修2」に参加しました。私の今回の研修目的は2つありました。1つ目は想いの言語化、2つ目は一度燃え尽きたモチベーションをあげるためです。

 講義で印象に残っている言葉に「慣れることの怖さ」「悩み続ける力」「想像と創造」の3つがあります。私自身、この6年半の間に法人内の異動が4回あり、そのたびに事業所特性の中における精神保健福祉士の専門性について悩んできました。一方で異動のおかげで慣れから起こる怖さや支援癖は、多少回避することができているように思います。

 施設では生活力を問われる場面が多くあります。その積み重ねがソーシャルな視点につながっていくことになりますが、経験からの気付きの多くは異動後にあります。私の課題は、「悩み方」です。悩み続けるのは性格的に得意だと思っていますが、それを言語化することには迷いがあります。「想いを巡らし創り出す力」が利用者にとって大切な社会資源の一部だと感じ、相手に伝えていくことが改めて自身の課題だと再認識させられました。

 演習では「精神保健福祉士の専門性」について話し合いました。特に「利用者が望まない支援の導入の関わり方について」に的を絞ったわけですが、私自身はこの状況を前向きに捉えるようにしています。困難時からの介入は、関係性を築くまでに時間は要しますが、その時間は利用者にとっては信頼を、支援者にとってはやりがいにつながると思うからです。緊急介入時であっても、その限られた時間の中で何ができるかを考え、その時のベストを尽くすことが大切なのではないかと思います。ベスト=自己満足なのではという問いも出てきますが、それは「誰のための何のための支援なのか」という軸がぶれない限り、意識で変えられると考えています。

 講義の中で、「精神保健福祉士の主張は理想論だと言われることがある。」と話がありましたが、悩んだ時こそ、理想論に戻りケースを考えることが必要だと思います。そこからまた、現場で今できることは何なのかをすり合わせし、伝えていくことが重要なのではないかと考えます。

 基幹研修2を終え、久しぶりに明日へのエネルギーをもらった気がします。「同志」の存在にとても支えられ、自身を振り返るいい機会でした。私の考える精神保健福祉士の専門性は、「人としてどうあるべきかを考え、どんな状況においても利用者の持つ・潜在している可能性を信じ関わること」です。基幹研修3に向けて、日々の業務を通して成長できればと思っています。


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