報告

第19回基幹研修23&第18回更新研修

「第19回基幹研修(23)」と「第18回更新研修」を貸会議室AAホール本館(大阪府)にて開催しました(開催案内)。日程は、基幹研修2が2013年7月27日(土)、基幹研修3および更新研修が2013年7月27日(土)、28日(日)でした。ここでは、まず、基幹研修23の修了者から報告記事を掲載します。


<第18回更新研修・第19回基幹研修3
       
小出講師による講義1 演習の様子(基幹研修3 全体発表(更新研修) 更新研修代表者の修了証書授与

・ つながり実感!

医療社団法人翠会こころのクリニック高島平(東京都)/経験年数11年 小林香織
(第18回更新研修修了者)

 「小林さん、7年前の研修も一緒でしたよね」隣の席に座った方からの第一声でした。

 私は今回の更新研修を東京地区ではなく、大阪地区に参加しました。知っている人はいないだろうと思い込んでいましたし、参加者名簿を見ても関東圏の参加者はほとんどいなかったので思いがけない言葉にびっくりして、また嬉しい気持ちになって一気に緊張がほぐれました。

 隣の席の方とは実習指導者養成研修で同じグループだった方です。その後も基幹研修3で一緒だった方にもお会いすることができました。何年かぶりに会う方々と話をして、お互い当時とは少し立場や職場が変わっても、それぞれの場所で、PSWとしての仕事をしてきたからこそ、分かり合える感覚があり、その感覚を味わうことができるのは、やはり全国規模の研修だからこそだな、と改めて感じました。

 講義では小出先生、齋藤先生、上村先生の熱い講義を聞いて、ぐんぐんとその話に引き込まれてしまいました。こんなに想いをこめて精神保健福祉の流れや、制度、専門性について自分の体験をからめて語れる精神保健福祉士になれるだろうかと今の自分自身を振り考えさせられました。それには日常の業務に携わっているだけでなく日々の実践と理論、政策と歴史、全てをつなげて捉える視点、俯瞰的に精神保健福祉分野の全体を見ていく視点が非常に大事なのだと感じ、今後の自分自身の課題になりました。

 2日目午後のピアスーパービジョンではグループで私のテーマを取り上げていただき、日ごろ仕事をしている上での葛藤についてお話させていただく機会に恵まれました。これも職場圏内を離れての場所であったからこそ、のびのびと話しができたのではないかと思います。グループの皆さんが私のモヤモヤの言語化できていないでいた部分にヒントを下さいました。私よりも経験が豊富なグループの皆さんが「共感」的に聞いてくださって、話を受け止めて下さったことが何より嬉しく、ありがたい気持ちになりました。そこから冷静に自分自身を振り返ることができ「大丈夫。もう少し肩の力を抜いてやっていこう」と、とても清々しい気持ちで2日目を終えることができました。

 毎回研修に参加すると、その研修内容の濃さに思っていた以上に得られたものが大きかったと感じることが多いのですが、今回の更新研修では再会という素敵なおまけもプラスされていました。日本精神保健福祉士協会の研修が全国規模での研修であることや基幹・更新研修以外にも様々な企画を用意して下さっているので、このような出会いが生まれてくるのだと思います。ともに成長していける仲間がいる、専門職としてのつながりを感じられた2日間になりました。
 研修に携わって下さった講師の方々、協会のスタッフに心より感謝します。


・ もっと頑張らないと

米子病院(鳥取県)/経験年数7年 コ田 裕一
(第19回基幹研修V修了者)

 「もっと頑張らないと」という焦りと希望が入り混じった気持ちというのがこの研修を終えた率直な感想でした。

 精神保健福祉士の専門性では、小出先生の熱いお話から出てくる「加害者性」「ロイヤリティ」「パターナリズム」等の言葉を聴きながら、自分はどうだろうかと普段のかかわりを思い返し身の引きしまる思いでした。また、障がい者としての枠で抱え込むのではなく、一市民としてとらえるという考え方は大きく影響を受けました。PSWとしての基盤となる部分を見つめ直す良い機会となりました。

 精神保健福祉制度・政策論や実践論では、実際の事例を通して分かりやすく教えていただきました。現在の国の政策レベルから個人レベルまで幅広い視点を持つことが大切だと思いました。クライエントとのかかわりの背景には現在使っている社会資源だけではなく、歴史や法律、国の政策、住んでいる都道府県や市区町村の特性等が深く絡み合っており、それらを全体として関連づけて理解しておくことが必要だと気づきました。また、同時にそれこそが自分自身の苦手としている点であり課題でもあると感じました。

 演習とピアスーパービジョンでは、事例を振り返りながら自分自身のクライエントへのかかわりを考えることができました。「相手の立場に立って思いや希望を聴くこと」、「信頼関係を築くこと」、「クライエントが希望を持てるような環境調整をすること」等は学校で習った当たり前なことですが、それがなかなかできていない現実もありました。しかし、グループワークを通して色々な意見を聴く中で、多くの気づきや助言をもらい、これからどうかかわればいいのかヒントを得ることができましたし、また頑張ろうと思えました。そして、同じPSWという立場の仲間の温かさも感じることができました。PSWも一人の人間です。時にはスーパービジョンを受ける等の相談する側に立って自分自身のかかわりを振り返ることや相談できる仲間を作ることも大切だと感じました。

 上記のように今回の研修ではとても多くの気づきが生れました。そのため、もっともっと勉強が必要だという焦りを感じましたし、明日からはこうしてみようと新たな可能性を感じるようにもなりました。今後も機会があれば定期的に各研修に参加していきたいと思いました。お世話になった皆様ありがとうございました。


<第19回基幹研修2
       
会場の様子 柏木会長による開講挨拶 演習の様子 代表者による修了証書授与

・ 振り返るということ〜原点に立ち返って〜

相談支援事業所ふあっと(島根県)/経験年数13年 生地 篤子
(第19回基幹研修U修了者)

 日々の業務に追われ、クライエントへのかかわりがその場その場の対応になっているのではないだろうかと疑問を感じていた中、意識的に立ち止まることで自らの実践を振り返り検証してみたいとの思いを持って、今回の研修に参加しました。

 研修では、実践に基づいた講義から制度・政策論と、幅広く学びの機会をいただきました。豊かな実践に基づく講義は、内容が具体的で身近なものとしてイメージしやすく、日ごろの自分自身の仕事に照らし合わせて心の中で振り返ることができ、かかわり方の癖などの気付きを得ることができました。

 クライエントにかかわるとき、どうしても目の前の事象にとらわれやすく、目先の対応に追われるうちに、その根底にあるニーズや背景を探る冷静さを失いがちになってしまうことがあります。結果、支援者側の常識や価値観を押しつけてしまっているようにも思います。「熱い思い」だけではなく、丁寧にクライエントとかかわり(自己決定を促すかかわりを重ね)ながら、幅広い視野で物事をみることのできるバランスが必要だと感じました。

 また、支援者としての安心感を求めるあまり、クライエントに対して保護的になりすぎ、ついクライエントに代わって動いていたり、安易に制度を活用してしまっていることがあると気づきました。クライエントが自分でできる可能性を広げるかかわりをどのように工夫するかが重要であること、また、そのかかわりの過程を重視し、そこから生まれるクライエントとの関係性を大切にしていきたいと改めて感じました。クライエントが気付かない権利侵害を発見する意識を持ち続けたいと思うところです。

 制度・政策論では、個別の相談ケースから浮かび上がってくる現状への疑問や課題を解決するために、何が必要で、どのようにしてシステム化するのかなど、ソーシャルアクションの観点をもって活動すること、それを可能にする仕組みとしての県士会の活動の必要性を再確認することができました。

 演習では、様々なフィールドで活躍されているPSWの方と専門性についての意見交換をすることで、それぞれの所属でのPSWとしての疑問や課題を知る機会となると同時に、活動の場面が違っていても立ちかえるべき処は同じであることを確認し合うことができた有意義な時間となりました。

 対人援助をする者として、人とのかかわりから生まれる関係性、クライエントと向き合う中で積み重ねた経験こそが、自分自身をPSWとして豊かにし、力づけてくれるものだということを、今回の研修で改めて感じました。これからも、そんなかかわりを続けていけるよう、自分自身の振り返りとかかわりの検証だけでなく、様々な立場で活動するPSWの仲間とつながりを持ち、実践における倫理観と専門性を再確認する機会を持ちながら、自己研鑽を重ねていきたいです。
 制度がめまぐるしく変化する状況下で、何となく追い付けていない感じも否定できず、割り切れない思いや疑問を抱えることも多い昨今でしたが、この研修を機会に原点に立ち返ることができ、翌日からのエネルギーとなりました。
 講師先生をはじめ、事務局のご担当者様、研修委員の皆様、有意義な時間を提供していただき、ありがとうございました。


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