第62回基幹研修3・第99回更新研修
2025年10月5日に、金沢商工会議所会館(石川県)を会場に標記研修を開催しました。
ここでは、修了者からの報告記事を掲載します。
第62回基幹研修3
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| 演習3の進め方の説明 | 演習の様子 | 代表者による証書授与 |
見えないものを大切に
魚津市社会福祉協議会(富山県)/ 経験年数20年 堀川綾香
第62回基幹研修3を受講しました。私は、現在は、介護支援専門員として高齢・介護保険制度上の分野で働いており、(1)権利侵害が起こりやすく見過ごされやすい、(2)家族(主介護者)をどう捉え支援するか、(3)代行意思決定の備えと連携の必要、(4)ケアマネジメントに頼りがちなのではないか、といった点で、漠然とした課題感を感じるものの、精神保健福祉士の視点でそれをどう整理し、実践に結びつけられるのか、何かを得たく参加しました。
講義は事前に視聴し、日頃うまく言葉にできないことを、理論や実践論で振り返ることができました。
演習は集合形式を選択し、金沢市において、終日、23名の全国の精神保健福祉士と過ごしました。5班に分かれ、午前は、専門性をテーマにした討議、午後は、事前課題を元にしたピア・スーパービジョンを行い、実践を考察する中で学びを得ました。いずれも、班員で主体的に進めることが求められ、SVやコーディネーションの訓練の場にもなっていたのだと振り返ります。
私達の班は、就労支援・医療機関・保健所といった現場からの参加でした。皆が、所属機関において「精神保健福祉士」で在れているだろうかと、立ち止まっていました。現場で葛藤を感じているからなのですが、周囲にも同業がおり、協会もあるのに、同じ課題や、“面白さ”を共有できる仲間を見つけることは案外難しいものだと感じます。講義では「その繋がりや地域活動が、研鑽になるだけでなく、地域内の理念の共有と活性化、全体の専門性の向上、社会資源開発、地域住民の理解やメンタルヘルス向上に繋がる」とありました。仲間の心強さを実感すると共に、ソーシャルワーカーとしての実践であると意識し、留まらず、求めていこうと気持ちを新たにしました。
ピア・スーパービジョンとして、保健所勤務のメンバーの事前課題「普及啓発活動において私達が伝えたい、伝えるべきこと」を取り上げました。市民講座等でメンタルヘルスの視点の普及を求められるが、現に精神疾患と付き合う方達の現状や理解を伝えなくてよいのか、との課題感です。精神科の敷居の高さと早期受診の大切さ、関連施設を地域に受け入れて貰う難しさ、広報を行う際の工夫、など、それぞれの立場で発言し、「地域・相手が何を思うのかを知った上で、根拠と当事者の声を伝えること、伝える工夫が大切ではないか」と共有もしました。SVと話し合いの違いが難しかったですが、日々の業務でひっかかりを感じた時、その背景を考えることがソーシャルワーカーの実践になること、私達がMHSWになってもPSWが原点であること、を再認識する機会になりました。
講義で「精神保健福祉士としての視点や価値があって行われる実践を、精神保健福祉士の業務と呼ぶ」とありましたが、翻ると、それのない実践は精神保健福祉士の業務ではないと言えます。また、「行為は目に見えるが、価値・知識・技術は目に見えない」。だから、在れているかと悩むのですが、ご本人の気持ちを起点にすること、実践を振り返ること、揺らぐこと、対話に価値を置くこと、専門性とはを考え続けられることが、この仕事の専門性、強みであり、有難いところだと感じます。ひっかかりも専門性も目に見えませんが、見えないものを大切に、実践と研鑽を続けていこうと思います。
第99回更新研修
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| スーパービジョンの進め方の説明 | 発表の様子 | 代表者による証書授与 |
学ぶ姿勢を持ち続けるために
社会医療法人財団松原愛育会ピアサポートはくさん/経験年数12年 倉元晴香
2025年10月5日、対面で開催された更新研修に参加しました。
研修の事前課題として、講義の視聴と「研鑽計画(さくらセット)」のフェイスシート・実践報告を作成しました。
研修当日は、グループでの演習です。
演習1では、共通事例を用いて、『スーパービジョン』を学びました。スーパービジョンはSVEの専門職としての成長を目的としているため、事例検討やOJTとは異なる視点・思考が必要です。グループ討議では、その違いを意識しながら、留意点や、どのようにかかわりのあり方に焦点をあてていくか理解を深めました。
演習2は、『実践・活動の振り返り』です。グループのメンバーは、それぞれ活動する分野や地域が異なっていましたが、実践報告を聞いて、同じような課題を抱えていること、課題解決に取り組む中でぶつかる壁や悩みがあるといった共感できる部分も多く、また所属機関や地域の中で積極的に実践をしている方たちの話を聞けたことは、私自身のモチベーションを高めることができ、とても充実した時間となりました。
演習3は、『研鑽計画(さくらセット)』を活用したペアワークをしました。自分の研鑽計画を発表し、スーパービジョンの視点・思考を意識して、実施者と振り返り担当者がロールプレイを行いました。演習を通して、さくらセットの目的を学び、ロールプレイでは、今の自分の位置、今後高めていく必要のある力量を把握することができました。事前課題で作成した研鑽計画は、実現できるだろうかと感じていた部分もあったのですが、振り返りを受ける事で具体的かつ自分のレベルに合わせた研鑽計画にすることができたと思います。
研修に申込んだ後、忙しい毎日の中での事前課題は根気を込めなくてはいけませんでしたが、日々の業務や生活を振り返る機会となりました。自分一人ではなかなか取り組めずにいた自己研鑽をペアワークで体験したことで、これまでぼんやりとしていた自分の目標設定や達成課題が具体的になり、これからの実践の支えになるものだと実感しました。これを継続していくことができるように、業務や生活のバランスを意識し、研鑽する時間をつくっていこうと思います。
※ご報告いただいた方のご所属名と経験年数は、研修受講時の情報で掲載しています。





