報告

「養成研修/第12回認定成年後見人養成研修」「課題別研修/第13回成年後見に関する研修」を受講して

 2017年度に養成研修/第12回認定成年後見人養成研修(2017年11月30日(木)〜12月3日(日))、課題別研修/第13回成年後見に関する研修(11月30日(木)、12/1日(金))をLMJ東京研修センター他(東京都)にて開催しました。ここでは参加者からいただいた感想を掲載します。

     
亀井講師による講義1 演習1の様子 課題別研修:代表者による修了証書授与
     
シンポジウムの様子 演習3の様子 養成研修・代表者による修了証書授与

・ 養成研修(4日間)/第12回 認定成年後見人養成研修を受講して

(社福)上越市社会福祉協議会 障がい者相談支援事業所/経験4年 市川 明美

 今回、認定成年後見人養成研修を受講して、改めて成年後見人の基礎知識や実務及び倫理等について学び直すことが出来てとても良かったと思いました。

 私の場合、日頃より相談支援専門員として業務を行っているため、どうしても本人を目の前にすると、ソーシャルワーカーとしての目線で物事を見て判断するようになっていました。福祉サービスの調整等を行い、本人にとって一番良い支援体制とはどのようなものか等、支援者の立場として対応をつい考えてしまいます。そのような中、実際に成年後見人は本人の法定代理人として関わること、「自己決定」、「意思決定」への支援、人としての平等が担保される必要性等々、精神保健福祉士としての専門性の活用の大切さを今回の研修で改めて感じました。

 弁護士や司法書士等による法律関係における研修内容も充実しており、日頃より疑問に思っていた事案等の解決が出来たことも今回の研修参加の成果であったと思います。また、成年後見人等としての財産管理や身上監護等の具体的な内容も確認でき、障害者の意思決定支援ガイドライン2017.3公表についても、今後の期待が寄せられていると思いました。

 ちまたでは、本人の意思を尊重・確認せずに物事を決定してしまう現状もあり、そのような行為は本当に目に余る行為であると感じています。私にできることとは何か? 今、現場で起こっている課題・問題等の解決には成年後見制度の活用が必要とされていることが多々あります。ただ、困ってしまっているだけで、何の解決策にもなっていない、不当に本人の意思を無視した決定がされるなど、このような現状を打開するためにも、私たち精神保健福祉士の専門性を今一度見直し、活用していくように取り組んで行かなければならないと強く感じました。

 シンポジウムでは、専門職後見人としてのソーシャルワークの大切な視点として、クローバー登録者の方々の貴重な話が聞けました。これからも大切な仲間とともに力を合わせて、専門職後見人としての自覚を持ちながら、認定成年後見人として活動していけるように自己研鑽に励んで行きたいと思います。


・ 課題別研修/第13回成年後見に関する研修を受講して

養南病院(岐阜県)/ 経験年数10年 澤田 真名美

 私がこの研修会への参加を決めたのは、成年後見制度や精神障害者支援についての視点で考えるメリットやデメリットを知りたいという気持ちからでした。

 当院に入院中の患者さんの中にも保佐人がついている方がいます。保佐人へ入院費の連帯保証人をお願いすると「書けません」と言われ、身寄りのない患者さんが当院入院中に急変し、総合病院に搬送した際に連絡をすると「駆けつけることはできませんし、身元引受人にもなれません。ましてや治療の同意もできません。」と言われ困りました。「結局、財産管理しかしてもらえないなら、お金がかかるだけ」というのが私の正直なイメージでした。しかし、今回この研修で成年後見制度を学び、いかに自分自身がこの制度を理解しておらず、後見人へ無理難題をぶつけるだけに終わっていたかを知ることができました。

 もちろん成年後見制度が万能な制度ではなく、まだまだ財産管理のイメージが強いと思います。その為弁護士や司法書士が担当されることも多く、PSWとは被後見人への支援に対する視点の違いを感じることもあります。また、弁護士等は財産管理については問題ありませんが、身上監護を行うにあたり悩むこと多いと聞きます。その身上監護においてはPSWの得意分野だとも感じています。このように専門性は違っても同じ後見人という立場で関わるため、その知識や技術をお互いに共有しながらよりよい支援方法を考えていくこともできると思います。

 そして何より「被後見人にとって最善の利益は何か」という視点のみで支援できることが、私にとって最大の魅力だと感じました。PSWはどうしても関わる人たち(本人、家族、支援者)にとって最大公約数の幸せを考え、調整役を担うことが求められます。ある意味、PSWと後見人は似て非なるもので、後見人にとってPSWはよきパートナーだとも感じました。成年後見制度を知ることで、PSWとしても後見人にできない支援を押し付けるのではなく、それぞれの役割を最大限に生かす調整役になれればと思います。

 2日間という短い期間の研修でしたが、この制度についての知識を獲得するだけでなく今の自分の支援を振り返ることができました。本当にさまざまなことを考えることができる有意義な研修会だと感じています。講師の皆様、運営に携わるスタッフの皆様本当にありがとうございました。


※ご報告いただいた方のご所属名と経験年数は、研修受講時の情報で掲載しています。


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