報告

「認定成年後見人養成研修−第6回養成研修・第5回クローバー登録者継続研修」「課題別研修/第6回成年後見に関する研修」を受講して

 2013年度に「養成研修/第6回認定成年後見人養成研修(12月6日(金)〜9日(月))」「課題別研修/第6回成年後見に関する研修(12月6日(金)、7日(土)」「第5回クローバー登録者継続研修(12月8日(日)」を開催しました。ここではご報告いただきました記事を掲載します。

       
講義3の様子 齋藤講師による講義7 養成と課題別研修の演習の様子 課題別研修・修了証書授与
       
養成研修・継続研修の演習の様子 全体会 継続研修・修了証書授与 養成研修・演習の様子

・ 養成研修/成年後見人養成研修に参加して

医療法人 川口会病院(静岡県)/経験年数7年 鈴木 真由巳

 12月9日から4日間、東京で行われた第6回認定成年後見人養成研修に参加しました。

 今回の養成研修の参加者は26名ということでしたが、最初の二日間は課題別研修の方達、3日目は継続研修の方達と一緒に講義を受け、グループワークも行いました。私はソーシャルワーカーの経験が浅く、やっと基幹研修Vを終了した所ですが、参加された方の中には、長年ソーシャルワーカーとして経験を積んできた方、社会福祉士として既に成年後見制度に関わっている方も多く、研修の中で、「後見人は本人の立場になって代理行為を行う。」「ソーシャルワーカーは代理行為をせずに本人の力を引き出そうとする。」といったソーシャルワーカーと成年後見人の違いに着目した意見や、司法書士・弁護士などが数多く後見人を引き受けている中でソーシャルワーカーが後見人を受ける意味、身上監護の重視といった点に着目した意見が多くありました。ソーシャルワーカーだからこそ、本人の力を図りつつ、寄り添おうとしながら後見業務をしてゆくのだとわかりました。

 私にとって法律の話は覚えにくい苦手分野ですが、今回の研修は、実際に後見業務をされている法律家の方が、分野を分け、実例を交えながら話して下さり、とてもわかりやすかったです。「契約」のことも、「相続」のことも、興味を持って聞くことができました。

 成年後見人の業務は、一人で選任されて後見業務に就くことが多いうえに、財産を管理したり、契約を代行したりと、他人の代行をしなければならず、法的な責任も問われる仕事だということがわかりました。わからないことがあると不安ですし、わかったつもりで間違ったことをしてしまうことも怖いです。でも、わからないことはいつでもクローバーに質問できるそうですし、毎年、業務内容を報告してチェックしていただけ、更新研修もあると聞いて、一人で抱え込まなくてよいように整えられているので安心しました。それに、法律の専門家が必要なら弁護士に、土地等の処分や書類作成がわからなければ司法書士に、といったように他の専門家に依頼して、協力しながら業務を行えば良いという事も安心しました。

 契約で様々な制度やサービスを利用する世の中で、障害者権利条約も批准され、ますます当事者の立場に立った後見人としての働きが求められると思います。今後も研修に参加し、自分の実践を振り返り、学びながら、一人で抱え込んだりせず周囲の協力を求めて関わっていきたいと思いました。


・ 課題別研修/後見業務とソーシャルワーク

障害福祉サービス事業所 ちばりよ〜(千葉県)/経験年数9年 岩野 順悟

 成年後見制度については、その存在を書籍や人づてで見聞きはしていたものの、実際に自身がケースで関わったことがなく、なぜこの制度の必要性が叫ばれているのか本意がわからない、また、複雑な制度に基づく後見人はソーシャルワーカーには荷が重いだろうと考えていました。

 しかし、今回の研修では制度の基本から学び、複雑難解だと思っていた法律条文も単語の意味から細かく解説していただき、また場合によっては事例や比喩を用いて平易に説明していただいたため、もちろん全てを消化しきれたわけではありませんが、とても吸収効率の良い学習の機会となったと感じています。

 また、これまで自身の中での成年後見人のイメージとしては、“判断能力の低下した方の財産を法律に基づき守る人”という単純なものでしたが、講師の方の体験談や愚行権についての講義等をお聞きする中で、実際には被後見人の生活様式、物事の考え方、場合によっては趣味嗜好までを把握する全人的な視点からの関わりが要求される職務であることを知り、それには我々が普段から行っているソーシャルワークの手法がとても有効なのではないかと感じました。

 もちろん法律の知識も多く必要であり、その点では自身で学習に励まなければなりませんが、講師の方も仰っていた通り、積極的に法律の専門家や諸機関の方々と連携を取っていくことで職務のスムーズな遂行や研鑽を積むことが可能ではないかと考えます。この連携という点でもソーシャルワークの手法や経験が大きく役立つだろうと感じました。

 ただし、すなわちこれらは我々の普段からの支援業務のクオリティが大きく反映されるということなので優れた後見人となる為には、優れた支援者であることが要求されているのだと思われます。そのためには、日頃の業務を改めて点検し、学習を重ね、資質向上へ努力を継続していくことが求められているのだと気づかされました。

 また、グループワークに於いて「自分が被後見人になったとして、どのような後見人に業務をおこなってほしいかという感覚を持ち続けることが大切」という言葉が同班の方からあり、本人主体の関わりの姿勢が必須ということは後見業務においても援助業務においても何よりも根底にあるということを再認識しました。
 今回は後見人研修ではありましたが、また、ソーシャルワーク技術と倫理の研修でもあったと感じています。


※ご報告いただいた方のご所属名は、研修受講時の情報で掲載しています。


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