報告

「認定成年後見人養成研修−第8回養成研修・第6回クローバー登録者継続研修」「課題別研修/第8回成年後見に関する研修」を受講して

 2014年度に「養成研修/第8回認定成年後見人養成研修(12月5日(金)〜8日(月))」「課題別研修/第8回成年後見に関する研修(12月5日(金)、6日(土)」「第6回クローバー登録者継続研修(12月7日(日)」を開催しました。ここではご報告いただきました記事を掲載します。

       
斎藤講師による講義2 養成と課題別研修の会場の様子 演習の様子 養成研修の受講者の皆様集合写真
       
養成研修・継続研修の演習の様子 養成研修・継続研修の演習の様子 養成研修・継続研修ミニシンポジウム 継続研修・修了証書授与

・ 養成研修/後見人業務について猛勉強ができました

就労継続支援B型事業所WITH(東京都)/経験年数25年 関原 育

 成年後見人を受任する精神保健福祉士の数が少なく、養成の必要性が都内でも課題となっていること、成年後見の業務にソーシャルワーカーの経験や視点をどのように生かすことができるのかを学びたくて今回の養成研修を受けました。

 成年後見制度の説明から後見人の実務、事例の学習を通して確認できたことは、まず制度や実務について知らなかった内容がたくさんあったということです。後見人のできること、できないことや役割について弁護士や司法書士の方達から法律の観点から説明して頂いた講義は本当に勉強になりました。

 私を含め受講者の多くが気になっていた身上監護ですが、講師の体験した事例や具体的な業務の説明とグループ討議でかなり整理ができました。ネットワークの形成、障害や医療機関へのアプローチ方法について等は、自身の経験を活かした福祉の専門職だからこそできる後見人活動の手掛かりを掴むことができたように思います。

 研修の間「権利擁護を行うはずの後見人が簡単に権利侵害をしてしまう危険性」について何度も説明がありました。後見人に強力な権限があり、被後見人の意思決定に大きな制限がある現行の制度では無自覚に行ってしまうと言う危機感もあります。人権意識に乏しい日本の社会で、そしてそこで育った自分が被後見人の意思を尊重したいと考える時、悩ましい選択を迫られるのではとも思いました。

 心に残ったのは対応が難しい事例を紹介して下さった講師の方のお話です。地域に住む若い年代の被後見人についてだったのですが、こだわりや生活スタイルを尊重しながら後見人の業務を行う様子は悪戦苦闘という言葉がピッタリでした。病状も安定せず、家族関係も複雑な場合は、医療や関係機関、家庭での話し合いも必要となってきます。こうした支援を福祉職ではない後見人が懸命に行っていることは、精神保健福祉士ももっと出来ることは無いのだろうかと考えさせられました。どんなに重い障害があっても本人が選択した生活を送る権利があると改めて認識した時間でした。

 保護者制度との兼ね合い等難しい問題も残っていますが、厳しい状況の中で当事者の意思決定を支える業務は、ソーシャルワーカーの本来の活動に繋がると思います。とりあえず、クローバーには登録しなくてはいけないと考えています。


・ 課題別研修/成年後見人を目指したくなる研修

社会福祉法人皆成会 光の園(埼玉県) 志村 和則

 第8回成年後見に関する研修会が二日間に渡り開催されました。参加者は、東日本の各地域を中心に大勢の方々が集まりました。私は、この研修に初めて参加しましたが、成年後見人に関する講義やグループディスカッションなどを通して、成年後見人に関する理解を深めることができました。また、この研修を通して様々な立場の方々と知り合うことができ、成年後見人に関する意見交換や体験談を聴くことでき、充実した研修となりました。

 この二日間の研修では、成年後見人の経験がある精神保健福祉士、弁護士、司法書士や社会福祉士の方々から、それぞれの専門とする分野の事柄や経験談などを講義してもらい、成年後見人に関する知識を深めることにつなげることができました。それぞれの講義を通して、成年後見人制度についての再確認をしたうえで、成年後見人が担うべき役割としての財産管理や身上監護についても詳しく学ぶことができました。成年後見人としては、財産管理や身上監護が主な役割であり、事実行為はその役割に含まれないことや被後見人の手術の同意などをする行為も成年後見人の役割には当てはまらないなどをわかりやすい講義で一つずつ丁寧に確認することができました。こういった講義の受けていく中で、精神保健福祉士が担う成年後見人は身上監護の部分で大きな力を発揮できると感じました。成年後見人になると被後見人に最期まで寄り添う存在となります。それは、成年後見人になることで、その被後見人にとって必要な医療・福祉のサービスは何か、被後見人が生活していく中で一番大事にしているものは何かなどを深く考え、本人の立場により近付き、本人に成り変わるぐらいの気持ちで成年後見人の職務に当たることになるのではないでしょうか。そこまで、被後見人の立場や気持ちにしっかりと寄り添い、被後見人が望む生活を実現していくには、ソーシャルワーカーとしての経験を積んできた精神保健福祉士が成年後見人として活躍するのが良いと思います。

 私がこの研修を受けるきっかけとなったのも、ソーシャルワーカーが成年後見人になり担うべき役割とは何かということを再度考えたかったからです。皆さんも成年後見人に関しては様々な考えを持っていると思います。少しでも成年後見人について興味があれば仲間と一緒に研修を受け、成年後見人を目指しませんか。今後の研修で多くの成年後見人を目指す仲間と出会えることを期待しています。


※ご報告いただいた方のご所属名は、研修受講時の情報で掲載しています。


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