報告

「認定成年後見人養成研修−第9回養成研修・第6回クローバー登録者継続研修」「課題別研修/第9回成年後見に関する研修」を受講して

 2014年度に「養成研修/第9回認定成年後見人養成研修(2015年2月13日(金)〜16日(月))」「課題別研修/第9回成年後見に関する研修(2月13日(金)、14日(土)」「第6回クローバー登録者継続研修(2月15日(日)」を開催しました。ここではご報告いただきました記事を掲載します。

       
開講式:真栄平沖縄県協会会長挨拶 長谷川講師による講義3 養成と課題別研修の演習の様子 演習の様子
       
養成研修・継続研修の会場の様子 養成研修・継続研修ミニシンポジウム 継続研修・演習の様子 継続研修・修了証書授与

・ 課題別研修/「研修に参加する」という自己決定

八重瀬(やえせ)町社会福祉協議会 指定相談支援事業所(沖縄県)/経験年数7年 新垣 安大

 去る2月13日(金)、14日(土)の2日間、「第9回成年後見に関する研修」の課題別研修に参加しました。
 私は一般社団法人沖縄県精神保健福祉士協会の権利擁護委員会に所属しており、平成24年度より法人後見事業が実施されています。毎月の権利擁護委員会において、後見活動を行う委員の皆さんの活動報告などから、法人後見事業の体制作りや業務内容などについて学ばせて頂いております。
 しかしながら私自身、権利擁護委員会に属しながらも「成年後見事業ってそもそも何だろう?」とモヤモヤとした気持ちを抱いていました。それは成年後見事業に対する基礎的な知識の乏しさ故の気持ちでした。
 そんな折、沖縄県内では滅多に行われないという本研修会が開催されると知り、モヤモヤとした気持ちを払拭するため、成年後見事業の基礎知識習得のために、本研修に参加しました。

 研修内容としては、成年後見制度の概要から基礎知識、現況、実務や倫理、ソーシャルワーカーと成年後見人、そして事例研究と有意義で盛り沢山な内容でした。
 講師陣もバライティーに富んでおり、PSWや司法書士、家庭裁判所の書記官、弁護士など、一人ひとりのそれぞれの視点・専門性からの講義を受けることができました。

 成年後見制度の基礎的な知識を身につけられたことはもとより、全体を通して特に印象に残った講師の言葉は『自己決定しないことを自己決定する。』という言葉です。被後見人等の方から「○○さん(後見人等)が決めてよ!」と後見人等に選択を委ねる場面があったそうです。その被後見人等の方は、これまでの人生において自身で選択したことに誤りが多かった、ということを認識していた方だそうです。後見人等は「クヨクヨ悩んで決められないよりは、人にゆだねたい。」という被後見人等の方の心情を汲み取りつつも、最大限にその方の自己決定を尊重するために活動を行っているとのことでした。

 普段の相談支援業務において、相談者の自己決定を尊重したいと考え、業務を行っていますが、相談者の揺れ動く気持ちや、これまでの失敗経験に支援者として目を向け、その気持ちに寄り添っていただろうか?と、これからの業務への新たな視点・気づきも得ることができました。

 本研修への参加は、私自身の「クヨクヨ悩んで委員会に参加するよりは、研修に参加してみよう。」という自己決定を尊重してくれたような研修会でした。


・ 継続研修/成年後見人への第一歩

特定医療法人オリブ山病院 グループホーム ベタニア(沖縄県)/経験年数10年 知名 久江

 私が当法人に勤務するようになったのは20年前です。重度認知症デイケア、精神科デイケア、精神科訪問看護、グループホームと所属は移っても地域で暮らす人の支えになりたいと仕事に打ち込んできました。それぞれの所属部署では幾度も壁にぶつかり、悩みも多くありましたがそのたびに上司・同僚からのアドバイスを頂き支えられてきました。その中で、ワーカーとしての職種を選択することになり、精神保健福祉士としての資格取得も出来ました。「地域での生活のしづらさを支えたい」との思いでしたが、精神保健福祉士としての経験を重ねるごとになお「これでいいのか?」と悩みもつきません。

 2012年3月グループホームの支援員として勤務することになりました。グループホームにおいては身寄りのない人、家族と疎遠の人もあり、日々の生活の「金銭管理・指導」も必要に迫られます。時には「指導」の名のもとに保護的になり過ぎ、本人の自己決定は尊重されているのか、尊厳を傷つけてしまっていないか?そんな悩みの繰り返しでした。

 「2012年度第5回成年後見人養成研修」の案内があり、さっそく受講しました。受講して改めて感じたことは、権利擁護の視点で支援を行うことでした。また、成年後見制度を必要としている人たちに適切な利用を提案していこうと思いました。それでも私自身が、受講後すぐに後見業務を引き受ける自信はありませんでした。

 沖縄県精神保健福祉士協会が法人として後見業務を行っている事を知り、毎月の権利擁護委員会に参加させていただくようになりました。委員会では受任ケースの経過報告や意見交換が行われ、時には個人的に感じた疑問について活発に議論が交わされます。私にとっては大事な学びの場です。後見人養成研修の受講直後は「私に受任する事が出来るのだろうか?」受任することに不安がある中で、様々の事例を通して学ぶ機会はとても貴重でした。

 後見依頼が来た時、不安はありましたが委員会の方々から経験を踏まえての後押しがあり、とても力強く感じ受任する事を決意しました。2014年3月から1件の成年後見がスタートしました。被後見人の財産を管理・保存する事、医療や福祉サービスの関係者との連携など被後見人の希望に沿うような配慮を心がけてきました。後見人を受任して約1年が過ぎました。

 養成研修を受講した後、沖縄県精神保健福祉士協会・権利擁護委員会のフォローがあったからこそ後見人受任の一歩が踏み出せました。今回、クローバー登録者継続研修に参加して自身の活動の振り返りが出来たこと、多くの参加者の情報や意見を聞く機会が得られ、貴重な時間を過ごせたと感じています。これからも自己研鑽していく決意の場になりました。


※ご報告いただいた方のご所属名は、研修受講時の情報で掲載しています。


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