要望書・見解等

2008年度


標  題 障害者基本法の改正に関する要望について
日  付 2009年3月5日
発翰番号 JAPSW発第08−299号
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 公明党 障害者基本法改正検討ワーキンググループ 座長 福島 豊 様

 平素より精神障害者をはじめとして障害者施策の発展充実にご尽力を賜り、厚くお礼申しあげます。また、本日の会議におきまして、意見陳述の機会を賜り、誠にありがとうございます。
 平成16年に改正された障害者基本法の附則にある5年後の見直し規定により改正に関する検討が行われていることに関しまして、本協会の意見を下記のとおり述べさせていただきますので、ご高配の程、何卒よろしくお願い申しあげます。


 本協会は平成20年9月17日に障害者施策推進本部・障害者施策推進課長会議に提出されたJDF(日本障害フォーラム)の「障害者基本法改正にあたっての共通意見書」にある5項目の実現について要望いたします。

 また、各種実定法およびそれらに基づく制度施策等の確かな実施が障害のある人の暮らしの保障に結びつくためには、国民の関心を高めるとともにわが国の障害者施策に関する予算財源を確保することが必要です。特にすべての障害者が個人の尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有し、社会を構成する一員としてあらゆる分野の活動への参加機会を保障されるという基本的理念に照らし、最重度の障害者が自立して暮らせるための施策が欠かせません。そうした根拠となる障害者基本法の改正を求めます。

 本協会は、特に施策の立ち遅れた精神障害者の社会的復権と福祉の向上を目指し支援する専門職団体の立場から、主に次のような観点で要望をいたします。

1.障害者基本法改正の基本骨子について
 障害者基本法の改正に当たっては、障害者権利条約との整合性が担保された内容となることを基本骨子として、障害者の定義の見直しや障害を理由とした差別規定の見直しを行ってください。

2.障害の範囲について(法第2条関連)
 現在は、身体障害、知的障害、精神障害となっていますが、支援法が施行された発達障害をはじめ、高次脳機能障害など障害は他にもあり、障害の範囲の見直しを求めます。その際「谷間の障害」を生まないよう、支援ニーズのある人が障害者施策の対象となるように障害者権利条約の障害の捉え方を踏襲した見直しを求めます。

3.定義の追加について(法第2条関連)
 障害者自立支援法の施行と相まって障害者の自立に関する捉え方が、これまでの障害者の自立運動等で獲得された概念と乖離していることが危惧されます。このため、法第2条の定義に「障害者の自立」を追加して規定すべきと考えます。

4.年次報告について(法第11条関連)
 法第11条には、政府に対する国会への障害者施策概況に報告書の提出義務が課せられていますが、雇用や教育、司法・刑法などの政策領域別および障害種別の施策の格差を無くすためにも、この報告書には、あらゆる省庁を横断する形で障害者の実態が明らかとなるような調査報告を盛り込むことを義務付けてください。

5.障害者の医療、介護等について(法第12条第4項関連)
 法第12条第4項では、障害者の医療、介護、生活支援等の諸施策を講ずるために必要な専門的技術職員等の育成に関する国及び地方公共団体の努力義務が規定されていますが、障害者支援に従事する職員の育成は公的な責任において行われるべきであり、努力義務規定から義務規定に変更してください。

6.地方障害者施策推進協議会について(法第26条関連)
 地方障害者施策推進協議会については、自治体における各種の計画策定が義務付けられてきた中、類似する審議会等が設置されることにより、協議会自体の機能の形骸化が危惧されます。都道府県(指定都市を含む)の協議会については、中央協議会に倣った委員規定を設けるとともに、市町村協議会の設置義務についても規定してください。
以上
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標  題 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく指定医療機関等に関する省令の一部を改正する省令(案)及び心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく指定医療機関等に関する省令附則第二条第三項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準の一部を改正する告示(案)に関する意見募集(案件番号495080398)について
日  付 2009年2月19日
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 精神・障害保健課

 標記の件について、下記のとおり本協会としての意見を述べますのでお取り計らいのほどよろしくお願い申しあげます。


第1 意見の趣旨

 標記意見募集に係る省令等改正案は、心神喪失者等医療観察制度の運用面において、法が目的とする対象者の社会復帰の促進に支障をきたす恐れがあることを懸念いたします。

第2 意見の理由

 標記の省令については、特に指定入院医療機関の病床整備が進んでいないことから、病床が不足し、入院医療が必要と決定された者への適切な処遇の確保に支障を来たしかねない状況となっているため、将来的に病床に不足が生じた場合における「臨時応急的な対応」として、2008年8月1日に改正されたと理解しております。

 前回の改正時に、特定医療施設等に入院決定を受けた対象者を3
か月とはいえ入院による医療を行うことができるとした附則第2条第1項の規定については、医療法等に規定された精神病床との比較において圧倒的なマンパワーを配置した「手厚い医療」を前提として策定された入院処遇ガイドライン(以下、ガイドライン)で示されているところの、入院処遇の目標・理念の実現を阻害することが強く懸念されているところです。

 然るに、当該措置をさらに6ヶ月まで延長することができるとする今回の改正案は、ガイドラインで目標としている急性期治療の3ヶ月を超えて、回復期に至ってもマンパワーの不十分な特定医療施設等に治療を委ねることを意味しており、継続的な評価に基づく医療の提供が、質的にも量的にも担保されるとはとても思えません。結果として、当該措置を受けた対象者の社会復帰が進まなくなり、対象者に不利益をもたらす可能性が高いと考えます。

 また、医療観察診療報酬は「指定医療機関が提供する医療は、一般の精神医療とは異なり、公共性及び専門性が極めて高いことに加え、継続的かつ適切な医療を実施するためにも、その設置主体において安定した病院運営が行われるよう定め」られていることから、当該診療報酬が「一般の精神科医療」を提供する特定医療機関等に支払われることに、国民の納得が得られるとは思えません。

 さらに、標記告示案は、特定医療施設等の対象範囲をいたずらに拡大するもので、法が謳うところの理念や精神を形骸化することにほかなりません
以上
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標  題 障害者基本法の改正に関する要望について
日  付 2009年1月28日
発翰番号 JAPSW発第08−265号
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 自由民主党 政務調査会 障害者特別委員長 衛藤晟一 様

 平素より精神障害者をはじめとして障害者施策の発展充実にご尽力を賜り、厚くお礼申しあげます。また、本日の会議におきまして、意見陳述の機会を賜り、誠にありがとうございます。
 平成16年に改正された障害者基本法の附則にある5年後の見直し規定により改正に関する検討が行われていることに関しまして、本協会の意見を下記のとおり述べさせていただきますので、ご高配の程、何卒よろしくお願い申しあげます。


 本協会は平成20年9月17日に障害者施策推進本部・障害者施策推進課長会議に提出されたJDF(日本障害フォーラム)の「障害者基本法改正にあたっての共通意見書」にある5項目の実現について要望いたします。

 また、各種実定法およびそれらに基づく制度施策等の確かな実施が障害のある人の暮らしの保障に結びつくためには、国民の関心を高めるとともにわが国の障害者施策に関する予算財源を確保することが必要です。特にすべての障害者が個人の尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有し、社会を構成する一員としてあらゆる分野の活動への参加機会を保障されるという基本的理念に照らし、最重度の障害者が自立して暮らせるための施策が欠かせません。そうした根拠となる障害者基本法の改正を求めます。

 本協会は、特に施策の立ち遅れた精神障害者の社会的復権と福祉の向上を目指し支援する専門職団体の立場から、主に次のような観点で要望をいたします。

1.障害者基本法改正の基本骨子について
 障害者基本法の改正に当たっては、障害者権利条約との整合性が担保された内容となることを基本骨子として、障害者の定義の見直しや障害を理由とした差別規定の見直しを行ってください。

2.障害の範囲について(法第2条関連)
 現在は、身体障害、知的障害、精神障害となっていますが、支援法が施行された発達障害をはじめ、高次脳機能障害など障害は他にもあり、障害の範囲の見直しを求めます。その際「谷間の障害」を生まないよう、支援ニーズのある人が障害者施策の対象となるように障害者権利条約の障害の捉え方を踏襲した見直しを求めます。

3.定義の追加について(法第2条関連)
 障害者自立支援法の施行と相まって障害者の自立に関する捉え方が、これまでの障害者の自立運動等で獲得された概念と乖離していることが危惧されます。このため、法第2条の定義に「障害者の自立」を追加して規定すべきと考えます。

4.年次報告について(法第11条関連)
 法第11条には、政府に対する国会への障害者施策概況に報告書の提出義務が課せられていますが、雇用や教育、司法・刑法などの政策領域別および障害種別の施策の格差を無くすためにも、この報告書には、あらゆる省庁を横断する形で障害者の実態が明らかとなるような調査報告を盛り込むことを義務付けてください。

5.障害者の医療、介護等について(法第12条第4項関連)
 法第12条第4項では、障害者の医療、介護、生活支援等の諸施策を講ずるために必要な専門的技術職員等の育成に関する国及び地方公共団体の努力義務が規定されていますが、障害者支援に従事する職員の育成は公的な責任において行われるべきであり、努力義務規定から義務規定に変更してください。

6.地方障害者施策推進協議会について(法第26条関連)
 地方障害者施策推進協議会については、自治体における各種の計画策定が義務付けられてきた中、類似する審議会等が設置されることにより、協議会自体の機能の形骸化が危惧されます。都道府県(指定都市を含む)の協議会については、中央協議会に倣った委員規定を設けるとともに、市町村協議会の設置義務についても規定してください。
以上
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標  題 精神保健福祉士の受験手数料等の見直しについて(お願い)
日  付 2008年6月20日
発翰番号 JAPSW発第08−75号
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 精神・障害保健課長 福島靖正 様

 時下、ますますご清祥のこととお慶び申しあげます。
 日頃より、本協会事業に格別のご支援ご協力を賜り、厚くお礼申しあげます。

 さて、精神保健福祉士の資格取得及び取得後の事務手続きに関しては、「精神保健福祉士法施行令」(平成10年政令第5号)により受験手数料、変更登録等の手数料、登録手数料が規定され、指定試験機関及び指定登録機関である財団法人社会福祉振興・試験センター(以下「センター」という。)において、試験及び登録の実施に関する事務が行われています。

 一方、センターを指定試験機関及び指定登録機関とする社会福祉士についても、「社会福祉士及び介護福祉士法施行令」(昭和62年政令第402号)により受験手数料、変更登録等の手数料、登録手数料が規定され、精神保健福祉士と同様の事務が行われているところです。

 しかしながら、精神保健福祉士と社会福祉士との受験手数料等には差異があり、同じセンターを指定試験機関及び指定登録機関とする両福祉士の受験手数料等については、整合性を図る必要があると考えます。

 つきましては、下記の見直しにつきまして、ご高配のほど、何卒よろしくお願い申しあげます。


1.精神保健福祉士国家試験の受験手数料、精神保健福祉士の変更登録等の手数料、精神保健福祉士の登録手数料について、社会福祉士の各手数料と同額にしてください。
精神保健福祉士と社会福祉士の各手数料
区   分 精神保健福祉士(A) 社会福祉士(B) 差  異(A−B)
受験手数料 11,500円 11,100円 400円
変更登録手数料 4,800円 1,200円 3,600円
登録手数料 5,300円 4,050円 1,250円
以上
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標  題 障害者自立支援法の見直しに関する要望について
日  付 2008年12月8日
発翰番号 JAPSW発第08−228号
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 精神障害者社会復帰促進議員懇話会 会長 尾辻秀久 様

 平素より精神障害者の福祉政策の充実にご尽力いただき、感謝申しあげます。また、本日のヒアリングに参加の機会をいただき、誠にありがとうございます。
 障害者自立支援法の見直しに関する本協会の意見を述べさせていただきますので、ご高配のほど、よろしくお願い申しあげます。


1.相談支援事業体制の充実強化について
○相談支援事業の拠点設置の義務化〜「障害者総合(または包括)相談支援センター(仮称)」の創設を
 現状では、なんらかの事情により、必要な情報や支援へのアクセス権が十分に保障されていない障害のある人が多数おります。質の高い相談支援を提供することや引きこもりがちな精神障害者等に社会参加の機会やサービス支援を維持するため、アウトリーチ(訪問型)を主体とした柔軟な相談支援事業の運営が望まれます。人口10万人に1か所の「障害者総合相談支援センター(仮称)」の創設を求めます。

○「障害者相談支援専門員(仮称)」の創設を
 現在、相談支援専門員は、低賃金や業務内容の不明確さなどにより、質の高い人材が増えにくく、相談支援事業の重要性に対する市町村の認識の温度差により当該事業の地域格差は広がるばかりです。一方、障害者の地域生活を多面的に支援していくうえで、質の高い人材の確保は今後ますます重要となります。このため、質の担保と地域格差を解消すべく基準の見直しが必要であると考えます。
 上記、「障害者総合相談支援センター(仮称)」には、精神保健福祉士等の専門職を複数必置としたうえで、そのうち1人以上は新たに創設する「障害者相談支援専門員(仮称)」とすることにより、ケアマネジメントが実践できる体制を図ってください。

○地域移行支援事業および居住サポート事業の個別給付化を
 政策的に重要視されている地域移行支援および居住支援については、相談支援事業の中に位置づけ、より強力に推進できるように個別給付事業とすることを求めます。

○地域生活および地域移行支援のための居住資源整備の充実を
 地域生活の具体的な支援を推進するために、最も欠かせないのは住居の確保です。グループホームやケアホームの整備拡充および公営住宅の優先的入居枠の拡大等、資源整備の拡充強化および財源の確保を求めます。


2.人材育成と人材確保についての対策を
○権利擁護を担える人材を
 自立支援法においては、問題解決のためのサービス利用が優先されがちで、利用者が望む生活を主体的に選択していくことを尊重する視点の軽視が危惧されます。サービスの利用者である当事者の固有のニーズに焦点を当て、権利擁護や生活者としての暮らしの支援ができる人材が求められます。

○福祉労働現場の改善を
 自立支援法が基盤整備のないまま性急に施行されたことにより、事業運営の厳しさと相まって、常勤から非常勤への転換など福祉労働者の不安定な雇用状態を招くこととなり、専門職の充分な配置ができず、必要なかかわりを保障できないなど、福祉の現場がますます貧困なものとなる悪循環も生じています。基準・報酬等の見直しによる労働環境の改善を図ってください。

○質の担保と適材適所の配置を
 真に障害のある人たちの自立支援や地域生活を可能にするためには、スタッフの専門性の向上は重要かつ喫緊の課題です。単なる当てはめだけのサービス管理ではなく、利用者の地域生活を中心に据えた支援を展開できる専門職の各事業所、市町村など各自治体への必置とともに、効果的な研修制度の実施が求められます。
 また、サービスの質の担保を図るために、障害特性に対応できる人材として、以前、必置となっていた精神保健福祉士等の配置を改めて明記してください。地域移行支援をスムーズに進めるためにも、精神障害者の地域の受け皿への精神保健福祉士の配置は不可欠です。

○精神保健福祉士法に関する見直しを
 自立支援法によって、精神障害者の地域生活支援のためのサービス提供体制も市町村で整備されることとなりました。今後、精神障害者の相談支援や地域移行支援、そして地域生活支援、就労支援などを展開、推進していくには、精神疾患や精神障害の特性を理解し、さまざまな支援に専門性を発揮することができる専門職が必要不可欠であります。その専門職として精神保健福祉士が認められております。しかし、現状では、支援ニーズに比して質的・量的な体制整備の不足があります。
 精神保健福祉士法が制定された10年前と比べますと、介護保険法や自立支援法の制定施行、医療観察法の施行など、大きな状況変化があり、精神障害者への支援のありようも「入院中心から地域生活支援へ」と大きく転換してきています。また、関連施策も視野に入れ、精神保健福祉士の役割や業務規定、配置可能な職域に関して、必要な見直しを規定法や政省令等において行う必要があると考えます。
 厚生労働省においては、昨年12月から「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」が設置され検討が進められていますが、自立支援法や関連施策における相談、調整、連携などの支援に関わる専門職として、現状に適した資格や養成に関する見直しがなされますようにご高配をいただきたくお願いいたします。


3.障害者の所得保障を
○障害ゆえにかかる生活の経済保障施策を
 精神障害者には障害基礎年金が受給できない無年金者も多く、また、現在の雇用政策や、医療と福祉のサービスを利用するという点からも、生活を成り立たせる経済状況において大変厳しい状況にある者が多く、または、そのために家族からの自立を果たせない場合も多い現状です。他の年金との兼ね合いで障害基礎年金の引き上げが困難であるような議論がありますが、障害ゆえに生活維持に必要な所得保障の手立ての実現を求めます。
以上
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標  題 「これまでの議論の整理と今後の検討の方向性(論点整理)」を受けた本協会の見解
日  付 2008年11月11日
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会

はじめに
  厚生労働省は、精神保健医療福祉計画の見直しに関する具体的方向性を明示すべく、平成16年9月、「精神保健医療福祉の改革ビジョン」(以下「ビジョン」という。)を策定した。平成21年9月その中間年を迎えることから、後期5年間の重点施策群の策定に向け「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」(以下「検討会」という。)を設置し、9月3日の第9回検討会において「これまでの議論の整理と今後の検討の方向性(論点整理)」を公表している。

 本協会は、今日まで精神障害者の社会的復権と福祉のための社会的・専門的活動を推進することを基本方針として、さまざまな活動を展開してきた。精神保健福祉領域のソーシャルワーカーが精神保健福祉士として国家資格化された際の提案理由は、当時すでに精神保健福祉行政の最大の政策課題となっていた、精神障害者の長期入院や社会的入院の解消と、精神障害者の社会復帰支援のための人材の確保と資質の向上を図ることにあった。

 しかしながら、国家資格化から10年余が経過してもなお、政策課題の中心は何ら変わっていない。精神保健福祉士がその専門性を発揮し十分な活動が保証され、ひいては精神障害者の社会復帰および社会参加を促進していくことが可能となる社会システムの整備が遅れてきたことをはじめに指摘しておかなければならない。

 この間、わが国においては、幾度かの精神保健福祉法の改正や関連法制度の施行により精神障害者の社会復帰の推進が図られてきたものの、依然として多くの長期入院患者が存在しているという現状認識については衆目の一致するところである。本協会としては、ビジョンの基本理念である「入院医療中心から地域生活中心へ」の具現化を図るために本検討会において議論が重ねられていることは、極めて意義が大きいとの認識を持っている。

 検討会における焦点の一つとなっている精神障害者の地域生活支援の在り方については、次年度に予定されている障害者自立支援法の改正に係る議論が中心である。かつて本協会は、同法の国会審議に際し、施設制度やサービス提供体制の障害種別を超えた一本化、福祉窓口の市町村移行と「市町村障害者計画」策定の義務化、基幹事業の義務経費化等については一定の評価を示した。しかしながら、障害種別毎の特性への配慮は、なお重視せざるを得ない状況にあること、さらに「応益負担」制度は、障害者の所得保障や雇用促進に関する政策を整備することが最優先課題であることから、現段階では同法は妥当なものとしては認めがたいことを見解として示した(「『障害者自立支援法案』についての見解」2005年5月11日)。我々はこのような認識を保持しつつ、今後の検討会における更なるきめの細かい議論を期待するものである。

 これらを踏まえ現時点での論点整理に関する本協会としての見解と提言を以下に記す。

1.今後の精神保健医療福祉施策の基本的考え方について
  障害者自立支援法が施行され2年7か月が経過した。精神障害を有していようと地域で安心して自立した生活を送ることができる社会の実現のために同法に基づく諸施策は十分に機能していない。自立した地域生活を望む精神障害者の生活水準そのものを後退させかねない状況を打破するためには、制度体系の抜本的な見直しが求められる。

 本来、法の掲げる理念を具現化するための必要な財源の確保については、社会保障全般の在り方そのものと併せてあらためて検討しなければならないものであり、理念の実現のために真に必要な費用とその配分の算出について議論されることは極めて重要である。

 わが国における障害者の所得保障は障害年金制度に頼るしかない現状にある。そしてその支給水準は極めて低い。これは家族から独立した生活の確立を阻む大きな要因でもあり、同時に家族の経済的・心理的負担が強化され、家族関係を悪化させる背景ともなっている。本来、人間は生涯にわたる発達が保障されるべきであり、経済的問題に脅かされることなく、安定的な家族関係の保持が約束される必要がある。

 精神障害者とともにその家族にもこうした当事者性が存在し、そこに配慮した心理的・情緒的支援にも着目しなくてはならない。これらの観点から、障害者の所得保障の充実は極めて重要な課題である。具体的には、障害年金の最低生活基準並みの引き上げに加え、年金を受給することができない障害者に対する所得保障を具体的に検討していく必要がある。また、社会経済的活動の一環ともいえる就労への支援について、抜本的強化に資する関係機関の質の向上と連携のためには、労働局とのより一層の連携強化を図ることが求められる。一般企業における精神障害者雇用の更なる推進を図ることも緊急の課題である。

 所得保障及び雇用促進の検討・整備に加え、精神障害者の居住問題の解消に向けた政策の推進もまた喫緊の課題である。居住支援にかかわる社会資源の不備は、未だに地域移行支援等の展開のうえで多大な障壁となっている。資源整備については、都道府県はもとより市町村において具体的な対策を講じることができるよう、質量共に国が公的責任において整備を行うことが必要である。

 また、これらの政策的対応をより実効性のあるものとするために、質の高い相談支援体制を確立させなくてはならない。精神障害者とその家族に対し、社会参加の機会増大やサービス支援の維持を図るために、アウトリーチを主体とした相談支援事業は、地域による格差なく、かつ柔軟に展開されることが望まれる。そもそも生活とは極めて立体的で創造的なものであり、各種相談支援の任には国家資格者が当たることを前提とすべきであると考える。また当該任務につく国家資格者は十分な質を担保されなければならず、そのための研鑽を継続的に行う必要がある。相談支援活動は、精神障害者にとって地域生活支援そのものである、との認識のもとに、ケアマネジメントの全プロセスについて障害者の利益を最優先する理念に基づいて、厳しい政策的及び機能的な見直し、ならびにこれらに従事する国家資格者に対する報酬の改善がなされなければならない。

2.精神保健医療福祉体系の再構築に関する今後の検討の方向性について
 論点整理においては、総体的には患者の入院期間の短期化が見受けられるとはいえ、新たな長期入院患者を生み出さない為の取り組みが求められている。これこそ「入院中心から地域生活中心へ」という目標の中心的課題の一つである。重度の精神障害者に対する適切な入院医療サービスが機能していく方策も併せて講じなければならないことは改めて言うまでもない。しかしながら着手の最も困難かつ必要な入院者層は、現に沈潜する長期入院者である。この層への十分なサービス提供なくして「入院中心から地域生活中心へ」とする精神保健医療福祉課題を達成することはできない。

 ひとつには精神疾患および精神障害の正しい理解のための普及啓発の推進による「国民一人ひとりの意識醸成」の土台作りをする必要がある。その傍ら、今日、国民的課題とされるメンタルヘルスの危機について社会福祉的な介入を包含する総合的、かつ効果的な一次予防・二次予防への取り組み、国民の求めに応じた質の高い医療の提供体制の構築について、様々な精神疾患やメンタルヘルスの課題についても早急に検討される必要がある。

 このような潮流の中にあって、わが国の精神科医療の「質」の向上を図ることはこれまでにも増して急務となっている。長期入院を余儀なくされてきた統合失調症患者等の地域生活への移行・支援を一層促進するためには、わが国の精神科医療の禍根の歴史を十分に認識し、改革ビジョン以来示されてきた理念および精神科医療に対する社会的ニーズに照らし合わせて、さらに明確で具体的なビジョンを描き出されることを痛切に期待するものである。当然のことながら、現状における精神科病床の役割と機能が質・量ともに妥当であるか否かについての検証は早急になされるべきであろう。せめて一般医療と同等の医療の質を確保することを目標にすべきである。また、医師はもとより、精神保健医療福祉の各専門職者、特にコ・メディカルの適切な人員の配置により「本来のあるべき医療」の土台を確かなものとすることが求められている。

 入院患者の高齢化は一層深刻な様相を呈している。その要因として、入院の長期化した統合失調症患者の高齢化と共に、認知症患者の増加と入院の長期化が指摘されている。あらためて「残された生を何処でどのように過ごすか」について、当事者を含め真剣に検討されなければならない。

 いずれにしても、多職種で構成されるチームアプローチにより、合理的かつ本人主体の退院支援ならびに地域での生活支援が必須である。今後ますます地域在宅治療としての外来通院(精神科デイケアを含む)、精神科診療所の機能は重要度を増すものと考える。同時に生活を側面的に支える方法としての精神科訪問看護の更なる充実が求められる。また、精神科デイケアや精神科訪問看護については、医療保険の枠組みで提供されるサービスであり、障害福祉サービスとの機能・役割の棲み分けを明確にしていく必要性がある。むろんその前提として、医療と福祉の役割は車の両輪のごとき関係にあることを認識した上でのことである。

3.当事者および関係する団体間の調整により、実効性のある成果を
 今後の検討会では、当事者及び関係団体間で基本的な課題に関する合意形成を得ることが不可欠である。具体策や個別課題に反映される内容を詰めていく段階においては、更なる丁寧な意見交換を図り、両者間の均衡ある調整が欠かせない。この検討会が本質的でかつ実効性のある議論を深めることをもって、精神障害者やその家族に希望と安心を提供する「わが国の精神保健医療福祉のあり方」となることを切に望みたい。

 そもそも精神保健医療福祉のビジョンは、常に現実を直視し、変革を要するものについては変革し、精神障害者の幸福(ウエルビーイング)を実現するためのものであることをいま一度確認しておきたい。精神保健医療福祉施策が実効性を伴わず、モニタリングも行われないままでは、何年たっても国民の福祉の増進への貢献にはおぼつかない。我々精神保健医療福祉に携わる専門職は、実現のために的確なロードマップが示されるか否かを注視し続けなければならない。

4.国家資格有資格者、とりわけ精神保健福祉士の有効な活用を
 従来から我々精神保健福祉士は精神障害者を病者としてみるのではなく、生活者の視点からかかわりを持って来た。このことが少なからず再発に伴う再入院の予防に寄与していることは今後の施策に反映されなければならないのである。今日の精神保健医療福祉全般を見渡すとき、多くの国家資格者の有効な活用が不可欠であるが、中でもその要(かなめ)に位置づけられる精神保健福祉士の起用は、現時点において取るべき緊要な手だてである。

 一例を挙げれば、就労支援における抜本的強化に資する関係諸機関の質の向上と連携のためには、精神保健福祉士をはじめとした専門職者を配置することが肝要であり、その検討および具体化を強く要望していきたい。さらに地域活動支援センター、保健センター、区市町村ならびにハローワークや地域障害者職業センター等への精神保健福祉士の配置が速やかにすすめられる必要があり、配置促進に関する要望等を重ねてきているところである。

 論点整理では、入院期間が1年を超えると退院者が減少することを指摘している。したがって、入院1年以内に有効な治療と有効な生活支援を行い、いかに入院長期化を防いでいくかが課題となる。個別性に配慮した通院治療への移行を支えつつ、生活環境や家族関係の調整等が必要であり、従来から精神障害者の社会復帰ならびに地域生活支援に当たってきた精神保健福祉士が、引き続き当事者に寄り添った退院後のきめ細かい地域生活支援を実施しうる体制の確立が必要である。精神保健福祉士の病院、診療所等における配置を一層促進させるとともに、その果たす役割についての再定義が必要でもあろう。

 また、精神科医療における二次予防を考えるとき、住民にとってより身近な各種相談機関に精神保健福祉士をはじめとする専門職者を配置することにより、精神疾患の適切な早期発見および早期介入が可能となってくる。その際、相談者及び当事者の人権に配慮することを第一義として業務遂行してきた精神保健福祉士の存在は重要であり、日常生活自立支援事業の実施当事者である社会福祉協議会への配置が不可欠であると考える。

 加えて、認知症患者については、福祉ニーズに即した役割と機能を持つ諸機関との連携によるネットワークを構築し、それぞれの資源の有機的な活用を図るうえで、精神保健福祉士が今以上に大きな役割を果たすことも十分に期待できるところである。

 これら諸課題は一例に過ぎないが、複雑化する現代社会のメンタルヘルス課題にも対応しうる専門職を養成すべく、既に本協会は「生涯研修制度」体系を創設し、ケアマネジメント等の課題別研修事業を確立しており、今後も精神保健福祉士の資質の更なる向上に取り組んでいくことを確認している。

 本協会としても、今回検討されている精神保健医療福祉計画に対し、直接的・積極的に寄与することについてはこれまで以上に努力を傾注していきたいと考える。同時に関係諸施策への精神保健福祉士をはじめとする国家資格者の有効な活用を図るよう要望する所存である。
以上
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標  題 刑務所および更生保護施設への精神保健福祉士の配置について(お願い)
日  付 2008年10月10日
発翰番号 JAPSW発第08−175号
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 法務省 矯正局 成人矯正課長 富山 聡 様
法務省 保護局 総務課長 柿澤正夫 様

 時下、ますますご清祥のこととお慶び申しあげます。
 平素より精神障害者の保健福祉施策の推進にご尽力を賜り、厚くお礼申しあげます。

 さて、平成21年度概算要求に際し、貴省から、刑務所を出所した高齢者および障害者の再犯防止緊急対策として、福祉サービスの利用調整等を担う精神保健福祉士および社会福祉士の配置拡大や増員を想定した予算が計上されております。

 このことに関連して、下記の点につきまして要望をいたしますので、何卒ご高配を賜りたくお願い申しあげます。


1.刑務所の新規配置職種として精神保健福祉士を加えてください。
[理由]
 現在、精神保健福祉士は医療刑務所を含む8か所の刑務所に配置されておりますが、貴省の概算要求においては全刑務所への社会福祉士の配置が予定されております。
 しかしながら、医療刑務所以外の一般刑務所にもアルコール依存・薬物依存をはじめとする精神疾患を抱える受刑者が存在すること、発達障害を含む知的障害や認知症を有する高齢者への支援においても精神保健福祉士の専門性が十分に活用され得ることから、ソーシャルワーク機能を充実するためには、配置職種を社会福祉士に限定せず、精神保健福祉士を加えていただく必要があると考えます。


2.更生保護施設に配置する福祉スタッフに精神保健福祉士を含めてください。
[理由]
 直ちに福祉による支援を受けることが困難な高齢者および障害者について、一時的に更生保護施設で受入れ、福祉的支援を行うことが予定されておりますが、上記1と同様の理由で、配置する福祉スタッフに精神保健福祉士を含める必要があると考えます。
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標  題 「障害者自立支援法」における障害福祉サービス等に係る報酬・基準改定に関する追加意見・要望について
日  付 2008年9月17日
発翰番号 JAPSW発第08−148号
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 木倉敬之 様

 先般、社会保障審議会障害者部会のヒアリングの際に本協会の意見を提出いたしましたが、9月3日付事務連絡を受け、あらためて障害福祉サービス等に係る報酬・基準改定に限定した追加意見を提出いたしますので、ご高配のほどよろしくお願い申しあげます。


1.障害福祉サービス等における人員配置基準等について
1)精神保健福祉士の配置について
 精神障害者の地域生活支援体制を推進していくうえで、障害福祉サービス等に携わる人材の質的な担保は欠かせません。このため、主たる対象を精神障害者としている事業所については、精神保健福祉士を1名以上配置することを義務化するとともに、それ以外の事業所においても精神保健福祉士の配置加算を付けることが必要であると考えます。

2)人材研修の在り方について
 現在実施されている支援従事者やサービス管理責任者を対象とした研修については、いわゆる詰め込み研修であり、受講者が十分に内容を咀嚼し、実践に反映できるものとなっていません。研修を基礎編と応用編に分ける等の工夫を凝らすとともに余裕をもったカリキュラムの設定が必要と考えます。

3)共同生活援助の在り方について
 共同生活援助(グループホーム)は、訓練等給付に位置づけられてはいますが、住まいの場の提供としての居住支援という本質に立ち返れば、サービス管理責任者による個別支援計画の策定の義務化等の施設的処遇は見直す必要があると考えます。


2.障害福祉サービス等の報酬について
1)就労支援事業について
 就労継続支援事業については、報酬単価自体が低く設定されていると考えていますが、現行ではA型よりもB型のほうが高く設定されております。しかしながら、実際にはA型においての運営や利用者の支援に、より労力を要する状況にあります。また、一般就労を促進していくという観点からも、まずはA型の報酬単価について見直しが必要と考えます。
 また、就労移行支援事業については、利用標準期間が24か月に設定されています。しかしながら精神障害者の場合、その障害特性から実際の就労に結びつくまでに相当な期間を要することが少なくありません。長期の支援により就労への移行が達成された場合にも報酬が担保されるような見直しが必要と考えます。

2)生活訓練サービス費(U)について
 このサービスは、現行の諸サービスの隙間を埋める役割を果たしています。実際に、市町村が決定するサービス供給量では充足されない支援を補足するものとして活用しされていますが、1時間未満187単位の設定では、事業として取り入れる事業者の半ば持ち出しを前提としています。時間枠を2時間まで認めるとともに単価の引き上げが必要と考えます。

3)相談支援事業について
 相談支援事業は、障害者自立支援制度の根幹ともいえる重要な事業です。障害者ケアマネジメントの推進のためにも、同事業は地域活動支援センターとの組み合わせを前提としない、独立した事業実施を基本とする内容に変更すべきと考えます。また、同事業の継続性を担保するため運営にかかる費用を義務的経費とするとともに、従来の「サービス利用計画作成費」の対象者の範囲と費用の見直しに加え、サービスの利用調整の前段階の相談活動を保障する「初期アセスメント料」と、計画の実施状況のモニタリング活動を担保する「継続モニタリング料」の導入が必要と考えます。


3.その他
1)自己負担軽減措置について
 現在障害者自立支援法では、障害福祉サービスの利用に関する自己負担軽減措置と、障害者自立支援医療の利用に関する同措置とにおいて認定基準が異なっております。同じ法制度においてダブルスタンダードが存在することは、制度矛盾を起こすことになります。このため、自立支援医療の自己負担軽減措置の認定基準についても利用者本人の収入もしくは資産状況に統一することが必要と考えます。

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標  題 「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」における社会復帰調整官の増員について(お願い)
日  付 2008年9月5日
発翰番号 JAPSW発第08−138号
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 法務省 保護局 総務課長 柿澤正夫 様

 平素より精神障害者の保健福祉施策の推進にご尽力を賜り、厚くお礼申しあげます。

 さて、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(以下「法」という。)が施行されて3年が経過し、同法の審判結果に基づき、対象者の入院および地域処遇が実施されておりますが、入院指定医療機関の整備予定の遅れから、法対象者の病床が著しく不足している現状にあることを認識しております。

 本年8月1日付で厚生労働省から「心身喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく指定医療機関等に関する省令の一部を改正する省令」が公布されました。法制定当時に、特別な医療の必要性を根拠として整備方針を立てたことに鑑み、新たな入院処遇施設を容認していくことにならないように厚生労働省の本法への医療体制を注視していきたいと考えております。

 しかしながら、法施行より対象者の増加、特に地域処遇の増加に対し、広域で生活環境調整等にあたる社会復帰調整官の負担は多大なるものがあります。地域によっては短期間の人事交替により知識や技術の継承が困難と聞き及んでおります。

 また、対象者数の多寡等を事由として他都道府県県への協力に派遣される事例も少なくないとのことですが、このような対応は必要に応じた人員増によって対処すべきと考えます。

 対象者数の多寡にかかわらず、未だに基盤が脆弱な精神保健福祉における地域関係者や医療機関関係者とのネットワーク形成のための準備は不可欠の取り組みです。また、研修という形で対象者数の多い地域の実情を学ぶことも可能と考えます。広域である都道府県に一人の配置は、休みや相談等もままならず、社会復帰調整官の質の向上や勤務の継続において課題であると考えます。

 つきましては、下記の点につきまして要望をいたしますので、何卒ご高配を賜りたくお願い申しあげます。


1.社会復帰調整官の人員配置について、各地に複数(最低2人以上)の配置が可能となるような積極的な増員計画と予算措置をお願いしたいこと。
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標  題 9月8日の口頭弁論に向けた緊急要望について
日  付 2008年8月27日
発翰番号 JAPSW発第08−131号
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 最高裁判所 第二小法廷 裁判官 様

 時下、ますますご清祥のこととお慶び申しあげます。

 さて、皆年金制度を目指して国民年金法(以下「法」という。)が制定された際に、強制適用から除外され、「任意加入制度」となっていた学生から、多数の学生無年金障害者が生み出されました。法の主旨に反して、立法上の不備から生じた「無年金障害者」の象徴として、2001年7月に30人の学生無年金障害者が、全国9地方裁判所に提訴し、無年金者を生じさせ、放置してきた立法府と行政府の責任を問い、救済(障害基礎年金の支給)を求める取り組みが始まりました。東京地方裁判所(原告:身体障害3人)、新潟地方裁判所(原告:身体障害2人)、広島地方裁判所(原告:身体障害2人)では、違憲判決が言い渡されましたが、地裁判決を覆した東京・広島高裁の判決を支持し、最高裁判所ではこの7人の原告に対して2007年に棄却判決が下されました。

 下級審を終えた残る20人の原告は、現在、最高裁判所での公正な判決を求めているところです。

 この学生無年金障害者の裁判では、無年金の原因となったもう一つの「初診日問題」が精神障害の原告により明らかになりました。統合失調症は本人にとっても発病を自覚しにくい疾患であり、乏しい社会資源の中で家族や関係者が本人を受診に結びつけるのは至難の業であり、一般に精神障害者が受診する時期は発病からかなり経過して病状が相当に悪化してしまってからであるのが実際です。「発病した」時期を「初診日」で確認しようとする立法当時の制度設計では、発病や受傷があれば程なく受診する通常の場合が想定され、統合失調症のように、発病から医療にかかるまで長期間を要する疾患は想定されていませんでした。

 この「初診日問題」が、学生無年金障害者の裁判における重大な争点の一つになっています。

 以上のように、初診日を法の条文どおりに形式的(初めて医師の診察を受けた日)にのみ認定すれば、法の主旨に反して、多くの無年金障害者を生み出し続けることになります。東京地裁裁判所の判決(2005年10月27日原告:精神障害2人)や東京高等裁判所の判決(2006年11月29日原告:精神障害1人)等では、統合失調症の特性を考慮して、『発病し専門医にかかるべきであった時期を事後的に主治医等が判断できれば、「初診日」と認定する』という、柔軟な法解釈を認める判決が出されています。

 つきましては、9月8日の口頭弁論では、統合失調症の「初診日問題」を争点としていることにあたり、下記のことを緊急に要望いたしますので、ご高配の程、何卒よろしくお願い申しあげます。


1.9月8日の口頭弁論では、「初診日問題」について、原告と代理人が十分な意見陳述ができるように、時間の確保等、進行について配慮してください。

2.「初診日問題」で無年金障害者が生じないよう、国民年金法の主旨と歴史にてらして、柔軟な法解釈と認定を認める「公正な判決」をしてください。
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標  題 「障害者自立支援法」の見直しに関する意見について
日  付 2008年8月20日/社会保障審議会障害者部会(第37回)資料
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 社会保障審議会障害者部会 部会長 潮谷義子 様

はじめに
 障害者自立支援法(以下「自立支援法」という。)施行後2年4か月が経過し、全国的な障害者の支援システムが整備されつつある一方で、地域における自立生活を望む多くの障害者とその家族および関係者の間では、生活水準そのものを後退させ社会参加の障壁となりかねない自立支援法のありようについて見直しを求める声や動きが、今も継続しております。
 つきましては、今回の見直しにあたり、自立支援法が真に障害者の自立を支援し、共生社会の実現を果たしうる法として機能するよう、障害者および関係団体との協議のもとに改善を図っていただきますようにお願いする次第であり、ここに本協会の意見を申しあげます。

見直しにあたって
 自立支援法は、障害者基本法に規定されている「すべて障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有し」「すべて障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他のあらゆる分野の活動に参加する機会が与えられる」とともに、「何人とも、障害に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」という基本的理念に則るとされたことを、まず今一度確認したく存じます。
 2008年5月に国際連合の障害者権利条約が発効し、世界各国の障害者の権利が未だ保障されていない状況に鑑みて「合理的配慮」および「汎人デザイン」について定義づけがなされました。今回の自立支援法の見直しと、今後の条約批准に向けた国内法整備の取り組みとが、国際的規準に照らしてわが国の障害者の支援策を推進していく作業となりますように切望いたします。

見直しの前提として
当事者参加の原則を
 「Nothing About Us Without Us!(私たちのことは、私たち抜きで決めないで)」をスローガンとした当事者主体の障害者福祉制度にするため、地域自立支援協議会の設置義務化と当事者参加の原則を盛り込んでください。

見直しの内容に関する意見(1〜11)

1.障害者の範囲について

1)「障害者手帳所持」という申請要件の見直しを
 わが国の「障害の範囲」は、環境要因との相互作用で生じる生活上の困難やしづらさを含んでいません。
 しかし、実際に地域から相談支援事業者に寄せられる期待は障害者手帳の有無や年齢を問わず、社会的にその人にニーズがある場合は多岐にわたる内容の相談が寄せられています。したがって「障害者手帳所持」という申請要件を見直し、サービスを必要とする人に、迅速に支援が届くようなシステムを新たに構築する必要があると考えます。

2.障害程度区分について

1)環境も含めた生活課題を中心に据えた支援ニーズの評価の必要性
(1) 二次判定による変更率の高さに鑑み、一次判定においては障害の特性に合った調査項目および判定基準とするための改善、信頼性の高い判定方法の検討が必要です。
 また、障害の重さを主眼においたサービス提供の評価ではなく、環境も含めた生活課題を中心に据えた支援ニーズの評価が必要です。そのためにも、生活の一連の流れの中で測定できる評価基準や障害特性に応じた指標を示す必要があります。
(2) 介護の手間を基準にした現行の評価では、かかわりの時間の保障にはなりません。障害程度区分を参考にサービス量を決定している自治体が多くありますが、いかにすれば生活が成立するかに視点を置くべきです。

2)申し立て書や意見書の添付を可能に
本人や家族の申立書、または、現在本人を支援している精神保健福祉士等の国家資格を有する支援者からの意見書についても定義し、最低でも、「申請時に添付することができる」等の規定を盛り込んでください。

3.障害福祉施策の財源保障についての見直しを

 障害は環境要因も大きく、社会構造的課題であると認識される現代において、“サービスを利用するのだから一定の利用料の支払いを”とする定率負担(「応益負担」とも称される)の原則は、障害のある人々の社会生活保障のための事業の利用料について、本人への負担が重く課せられる考え方です。この間に負担軽減策がとられましたが、依然、生活水準を後退させざる得ない実態もあります。障害があるが故に、生活するうえで必要となるサービスを有料で利用しなければならないというのは、障害を理由とした差別と考えます。現行の利用者負担の在り方に関する見直しを引き続き行うとともに、障害福祉施策に必要な財源の保障について、社会保障全般の在り方とあわせてしっかり検討してください。

4.所得保障に関する早急な検討と対策を

 障害者が一人の生活者として社会生活を送れるような所得保障が必要です。早急にその検討と対策を講じることを求めます。

5.サービス体系と報酬について

1)個別給付に規定されたサービス以外にも報酬の仕組みを
 グループホームからアパートに移った方への訪問や相談、日中活動に登録後の利用が定着しない方への相談や支援など、設定事業以外の支援が多くあります。利用日数と連動しないと評価されないため、目に見えない支援に力が注ぎにくくなります。個別給付に規定されない支援への報酬の仕組みを求めます。

2)サービス管理責任者について
(1) サービス管理責任者は、精神保健福祉士や社会福祉士といった社会福祉の価値・倫理・知識および技能を有する者に規定することが望ましいと考えます。さらに事業所について許認可と監査の機関を別にし、第三者評価を取り入れ、開かれたシステムとして市民にもみえる運用体制を作る必要があると考えます。
(2) 新事業体系への移行が進まない状況を踏まえ、適正なサービス間の移行を促進するために、利用者負担増につながることのないようにしつつ、サービス全般にわたる基本的な報酬の改善が必要です。施設における利用者支援の充実を図るため、適切な職員配置の見直し、専門的知識や経験を有する人材の確保が不可欠です。

3)地域に応じて小規模作業所の機能の再検討を
 小規模作業所は、新事業体系には馴染まないものの、独自の支援に努めているところが多くあります。歴史的に小規模作業所の果たしてきた機能を再認識し、小規模作業所の良さを活かせる体系の検討を求めます。

4)給付申請事務の問題
 給付申請事務に大変な労力を施設側に課していますが、これによる支援人員の損失は極めて深刻です。少ない人数の施設においては、さらに人員が割かれ、当然支援を受ける利用者に不利益が生じます。負担軽減のための対策を講じてください。

6.就労支援について

1)本格的な就労支援移行の事業実施が可能な体制を
 現行では、就労移行支援と就労継続支援において、利用者が受ける支援内容が同じでも多機能型として同一施設内での運用が認められています。同じ支援内容で利用料の差があるのは利用者にとっての不利益です。「就労支援の抜本的強化」は、自立支援法の柱の一つに据えられており、就労移行支援事業の推進には、特別プログラムの実施、または専門職として精神保健福祉士や作業療法士等の配置を要件にすることが必要と考えます。

2)労働行政との更なる連携強化を
 ハローワークにおける障害者相談や障害者職業相談センターなどへの精神保健福祉士等専門職を必置することとあわせ、労働局の施策との更なる連携強化を図ることを求めます。

7.自立支援医療について

 精神障害者にとって医療の利用は不可欠です。医療を受ける権利の保障のため、自立支援医療の利用手続きの簡素化を図ってください。

8.基盤整備について

1)時限的基盤整備の施策化を
(1) 地域生活支援事業に関しては、地域性を重視し,市町村が独自性を持った取り組みが可能となることは重要です。しかし、各市町村によって地域生活支援事業への理解や協力のバラツキも大きく、統合補助金上の積算根拠が示されていないため委託額にも大きな格差がみられ、地域によっては不安定な財源等の下での事業運営が強いられています。国として障害者の社会参加の促進への責任を示す意味から、明確な目的を記した指針を打ち出すとともに、基盤整備を進める一定期間は、地域生活支援事業における財政的な責任を明確に示すべきと考えます。
(2) 現在は、利用者の主体的選択が可能な資源状況にはありません。特に、地域移行が政策的に重視されながら、居住支援にかかわる社会資源の不備は致命的です。資源の量的整備について、市場として期待できない中山間地域や島嶼部において民間事業者の参入が望めず、民間活力の活用が困難な現状や、居住サポート事業の実施率の低さも踏まえ、国や都道府県が公的責任において目標値を決めて有期限で整備を行うことを求めます。

2)地域自立支援協議会の設置義務化を
 「市町村を中心とする一元的なサービス提供体制の確立」の着実な実現のために、市町村が策定する障害者基本計画・障害福祉計画は最も重要と考えます。各市町村が障害者基本計画・障害福祉計画を着実に実施するよう国・都道府県には指導・助言を行うことを求めます。また、地域自立支援協議会の設置と障害福祉計画の実施状況を毎年評価することの義務化を求めます。

9.地域活動支援センターに専門職配置を

 地域住民や当事者同士が気軽に立ち寄れ、仲間作りができ、集う人たちがお互いの関係の中で地域での生活に自信や安心感が持てる場を確保することが必要です。地域活動支援センターの役割に期待されるものは大きく、コミュニティーワークを行える専門職の配置を保障してください。

10.相談支援事業について

1)相談支援事業の拠点設置義務化の必要性〜「障害者総合(もしくは包括)相談支援センター(仮称)」および「障害者相談支援専門員(仮称)」の創設を〜
(1) 現状では、なんらかの事情により、自ら必要な情報や支援を求めることが困難な者には、情報や支援を受ける手段が不十分です。質の高い相談支援を提供することや引きこもりがちな精神障害者等に社会参加の機会やサービス支援を維持するため、アウトリーチを主体とした柔軟な相談支援事業の運営が望まれます。
 しかし、相談支援専門員は、賃金や業務内容の不明確さなどにより、質の高い人材の担い手が増えにくく、市町村の捉え方により相談支援事業の地域格差は広がるばかりです。障害者自立支援法の核である相談支援事業における質の担保と地域格差を解消すべく基準の見直しが必要であると考えます。
(2) 人口10万人に1か所の「障害者総合(もしくは包括)相談支援センター(仮称)」を創設し、精神保健福祉士、社会福祉士、保健師を必置してください。そのうち1名以上は新たに創設する「障害者相談支援専門員(仮称)」とし、ケアマネジメントが実践できる体制を図ってください。

2)地域移行支援事業の個別給付化を
 政策的に重要視されている地域移行支援については、相談支援事業の中に位置づけ、より強力に推進できるように個別給付事業としてください。

11.人材育成と人材確保についての対策を

(1) わが国の障害保健福祉改革が急がれている背景には、国の財政的な問題が大きく、残念ながら、サービスの利用者である当事者の権利擁護や生活者としての暮らしの支援は次点の課題になっていると感じざるをえません。
自立支援法においては、問題解決のためのサービス利用が優先され、利用者が望む生活を主体的に選択していくことを尊重するかかわりの軽視が危惧されます。財政的問題を背景としたサービス管理の傾向が顕著であり、利用者のニーズをサービスに当てはめていく限定的なサービス提供が起こりやすいシステムである危険性と表裏一体です。
(2) 実際、基盤整備がないまま急がれた自立支援法により、事業運営の厳しさもあり、福祉労働者を不安定な雇用状態におとしめることになり、専門職の充分な配置ができず、必要なかかわりを保障できないなど、福祉の現場がますます貧困なものとなる悪循環も生じています。
(3) 真に障害のある人たちの自立支援や地域生活を可能にするためには、スタッフの専門性の向上は重要かつ喫緊の課題であり、サービス管理ではなく、利用者の地域生活を中心に据えた支援を展開できる専門職の各事業所、市町村など各自治体への必置や効果的な研修制度の実施が求められます。
(4) 自立支援法施行後、専門職が不在、もしくは多くが非常勤職員のみの事業所が生じており、サービスの質の担保が如何になされるのか不明です。以前、必置となっていた精神保健福祉士等の配置を改めて明記してください。地域移行支援をスムーズに進める為にも地域の受け皿への精神保健福祉士の配置は不可欠です。

精神保健福祉士の資格に関する見直しの必要性

 自立支援法によって、精神障害者の地域生活支援のためのサービス提供体制も市町村で整備されることとなりました。今後、精神障害者の相談支援や地域移行支援、そして地域生活支援、就労支援などを展開、推進していくには、精神疾患や精神障害の特性を理解し、さまざまな支援に専門性を発揮することができる専門職が必要不可欠であります。その専門職として精神保健福祉士が認められております。しかし、現状では、支援ニーズに比して質的・量的な体制の不足があります。

 精神保健福祉士法が制定された10年前と比べますと、介護保険法や自立支援法の制定施行、医療観察法の施行など、大きな変化があり、精神障害者への支援のありようも「入院中心から地域生活支援へ」と変更してきています。また、関連施策も視野に入れ、精神保健福祉士の役割や業務規定、配置可能な職域に関して、必要な見直しを規定法や政省令等において行う必要があると考えます。

 厚生労働省においては、昨年12月から「精神保健福祉士の養成等のあり方に関する検討会」が設置され検討が進められていますが、自立支援法や関連施策における相談、調整、連携などの支援に関わる専門職として、現状に適した資格や養成に関する見直しをお願いしたく要望いたします。
以上
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標  題 地域包括支援センターにおける職員配置に関する要望書
日  付 2008年8月15日
発翰番号 JAPSW発第08−120号
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 厚生労働省 老健局 計画課長 菱田 一 様
厚生労働省 老健局 振興課長 土生栄二 様
厚生労働省 老健局 老人保健課長 鈴木康裕 様

 時下、ますますご清祥のこととお慶び申しあげます。

 平素より、わが国の高齢者福祉施策並びに精神保健医療福祉施策の発展充実にご尽力を賜り、厚くお礼を申しあげます。

 さて、2005年の介護保険法の改正にともない、地域包括支援センターが設置され、3年が経過しました。地域包括支援センターにおける相談窓口の設置により権利擁護を必要とする虐待ケースや居宅介護支援事業所からの認知症などの困難事例への包括的対応が大きな課題となっています。これらの対応は主に社会福祉士が担うこととなっておりますが、これらの事例に適切に対応できる実践経験の豊富なソーシャルワーカーの充実強化はこれからの課題であり、まだそのようなソーシャルワーカーの配置がなされていない地域包括支援センターも少なくありません。現在、市町村が求めているのは、実践経験のある優秀なソーシャルワーカーであり、その確保や維持に苦慮している状況にあります。

 これまで精神保健福祉士は、精神科病院や老人性認知症疾患センターにおいて認知症や精神障害をもつ高齢者の生活支援を行ってまいりました。その実践経験は本人の主体性と自己決定を尊重するものであり、高齢者が尊厳を保持し、住みなれた地域で自らの望む暮らしや自己実現を可能としていくために、努力して参りました。同時に多くの負担を抱える家族の支援にも努めてまいりました。

 また、今後増加が予測される若年性認知症者の対応など精神科病院とのネットワークを用いて早期受診体制の構築にも資することが求められています。そこには、認知症や虐待等の適切な対応が不可欠であり、精神保健福祉士のいままでの実践に基づく援助技術が必須であると考えます。精神保健福祉士が培ってきたソーシャルワーク実践は、利用者本人との信頼関係を重視しながら、本人の持つ能力や可能性を見出し、取り巻く社会環境や状況を総合的に捉えることにあります。

 つきましては、下記のとおり要望いたしますので、ご高配の程、何卒よろしくお願い申しあげます。


 現在、地域包括支援センターの職員配置については、ソーシャルワーカーとして「社会福祉士等」の配置を義務付けておりますが、その社会福祉士に加えて「精神保健福祉士」の配置を可能とし、配置基準に明文化して頂きますよう要望いたします。
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標  題 生活保護制度の医療扶助における移送費の取り扱いについて(疑義照会)
日  付 2008年7月24日
発翰番号 JAPSW発第08−108号
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 厚生労働省 社会・援護局 保護課長 古都賢一 様

 時下、ますますご清祥のこととお慶び申しあげます。

 日頃より、精神保健福祉医療施策の発展充実にご尽力を賜り、厚くお礼申しあげます。

 さて、生活保護制度の医療扶助における移送費の取り扱いについては、先般、貴省から「医療扶助における移送の給付決定に関する留意点(周知徹底依頼)」(平成20年6月10日社援保発第0610001号)が発出され、医療扶助の移送費の支給基準の明確化を図られているところではありますが、各自治体や福祉事務所等への周知徹底は未だ十分とはいえず、現在通院治療を受けている生活保護受給の精神障害者の中には、必要な治療が受けられない者も生じているところです。

 私たち精神保健福祉士は、精神科病院等において精神障害者の相談援助を業とする専門職であり、精神障害者の生活支援のために適切な情報提供が求められております。

 つきましては、下記事項について疑義照会させていただきますので、ご回答くださいますよう、よろしくお願い申しあげます。


1.通院先の医療機関が患者の居住地を管轄する福祉事務所管外であっても、患者が安心して治療関係を結べている医療機関へは、今までどおり通院し通院移送費の請求を別に行ってもよいか。

2.精神障害者の社会生活機能の回復を目的とする精神科専門療法として認められている精神科病院及び診療所のデイケアのための通院についても、上記1と同様に考えてよいか。

3.上記1、2については、福祉事務所内で支給の要否を判断する根拠の一つとして、主治医が必要とみなす旨の診断書もしくは意見書が有効と解釈してよいか。

4.通院移送費は生活扶助に含まれると示された解釈を画一的なものとすることなく、あくまでも被保護者にとってより適切で必要な医療を受けることができるよう、その生活実態に照らし合わせ、かつ上記3も考慮した上で現場の福祉事務所担当ケースワーカーが個々の事案ごとに審査する裁量権を持つものと解釈してよいか。

5.自立支援医療は、自立した日常生活を営むために通院が必要な者に対して認められる医療費助成制度であり、自立支援医療を利用している被保護者の通院移送費の支給は認められると考えて差し支えないか。

6.中毒性精神障害(アルコール・薬物依存症等)、児童・思春期精神疾患など、専門的な医療機関における継続的な通院治療を要する場合、福祉事務所の管轄か否かを問わずその必要性に基づく通院の移送費は認められると考えてよいか。

7.夜間休日等及び緊急事態が生じた際の電車・バス等の公共交通機関が使用できない場合でもその医療機関への通院が必要な場合の移送費は、別に認められると考えてよいか。

8.患者の居住地によっては、管轄する福祉事務所の管外の医療機関に通院したほうが経済的にも利便性が高い場合があるが、そのような場合今までどおり通院を継続し通院にかかる移送費は別に請求できると考えてよいか。
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標  題 決議文
日  付 2008年7月24日
発 信 者 国民医療推進協議会・地域医療崩壊阻止のための総決起大会

 長年にわたる社会保障費の伸びの抑制が、医療崩壊を顕在化させたことは明らかである。国民が安全で安心な医療を受けられるための確固たる医療提供体制の再構築には、適正な社会保障費の確保が必要不可欠である。
 よって、本大会参加者全員の総意として、次のとおり決議する。

一、社会保障費の年2,200億円削減撤廃
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標  題 北京五輪組織委員会による「五輪期間における外国人出入国・中国滞在期間に関する法律指針」に対する是正要望への取り組みについて(お願い)
日  付 2008年6月23日
発翰番号 JAPSW発第08−72号
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 日本障害フォーラム(JDF) 代表者会議

 時下、貴職におかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申しあげます。

 平素は、本協会事業に格別のご理解、ご協力を賜り、誠にありがとうございます。

 さて、北京五輪組織委員会が6月2日に、「五輪期間における外国人出入国・中国滞在期間に関する法律指針(五輪開催期間の外国人出入国およびその滞在期間に関する法律指南)」(以下、指針)を発表したことを、「人民中国」「北京週報」「チャイナネット」等々のインターネット報道で確認をしました。

 報道によると「指針」は、オリンピック開催期間中に中国を訪れる外国人は、中国の法律を守ることを求められており、開催国が各期のオリンピック開催前に自国の法律に基づき入国外国人に対して法律上の保護と制限を与えることは、オリンピック史上の慣例となっているということです。

 これらについては何ら異論を挟むものではありませんし、中華人民共和国(以下、中国)の内政に干渉するつもりもございません。

 ただ、「指針」の中で、世界の人々に非常に誤解を与えると思われる看過できない記述があることについて、是非、関係各機関に事実の確認及び是正を求めたいと考えています。

  「指針」には、「以下6種類の外国人は、五輪開催期間中の入国が禁止される。」とあります。

1.中国政府により国外追放処分となり、再入国許可期日に達していない
2.入国後にテロ・暴力・転覆活動を行う恐れがある
3.入国後に密輸、麻薬密売、売春行為を行う恐れがある
4.精神病・ハンセン病・性病・開放性肺結核の伝染病に罹患している
5.中国滞在中の滞在費を保障できない
6.入国後、中国国家の安全・利益を脅かすその他活動を行う恐れがある

 我々が遺憾と感じるのは、「4.精神病・ハンセン病・性病・開放性肺結核の伝染病に罹患している」との記述で、精神障害者、ハンセン病者及びその回復者、並びにエイズを含む性感染症患者等々が、平和の祭典であるオリンピックの観戦から、一様に疎外されていると受け取られる部分です。

 短い報道記事からは、多くの中国人民をはじめ、我が国を含む全世界の市民が、精神障害者やハンセン病者、性感染症者並びに結核患者に対し、科学的根拠なしに「危ない人々」との偏見や誤解を招きかねない虞があると感じています。

 例えば、精神障害者の入国について我が国には、その受け入れには一定の条件を課していますが、全ての精神病罹患者を入国させないという規定にはなっていません。我が国の出入国管理及び難民認定法は、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者又はその能力が著しく不十分な者で、本邦におけるその活動又は行動を補助する者として法務省令で定めるものが随伴しないもの」は上陸をすることができないと定めています。

 つまり精神障害の有無ではなく、その状態により、ご本人の利益を考えて定められていると解することができます。

 また、障害のある人の権利に関する条約(障害者権利条約)においても、「障害のある人が、国籍に係る文書若しくは身元に係る他の文書を入手し、所有し及び利用する能力、又は移動の自由についての権利の行使を容易にするために必要とされることのある関連手続(出入国手続等)を行う能力を、障害を理由として奪われないこと。」(川島聡・長瀬修 仮訳 2008年4月19日付)とされ、中国においては未だに批准されていませんが、非常に重要な権利を協定しています。

 更にオリンピックということでは、オリンピック憲章の冒頭、「オリンピズムの根本原則」の中で、「1.(前略)スポーツを文化や教育と融合させるオリンピズムが求めるものは、努力のうちに見出せる喜び、よい手本となる教育的価値、普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重などに基づいた生き方の創造である。」とあり、「5.人種、宗教、政治、性別、その他の理由に基づく国や個人に対する差別はいかなる形であれオリンピック・ムーブメントに属する事とは相容れない。」とされています。

 オリンピックはあらゆる差別を禁じ、倫理的諸原則に基づいて開催されるべきであると全世界の人々が考えているのです。

 この度の中国でのオリンピックが平和裏に開催され、成功するには、こういったオリンピック精神に基づき、精神障害者をはじめとする病者、障害者が、全世界の人々とともにその平和の祭典を観戦する自由を奪われない仕組みが必要であると信じます。

 このためには、中国当局の皆さんには是非ご理解をいただけるように努力するとともに、我が国の関係各機関、並びに広く国民に事実を知っていただく必要があると考えますし、こうした疾病の患者・回復者への差別・偏見をなくすことは、世界的な潮流となっているところです。

 現在、本協会におきましては、この問題に対して、国際ソーシャルワーカー連盟の日本国内調整団体である社会福祉専門職団体協議会(※)において協議することなども含めて、どのように働きかけをしていくことが有効かなど早急に検討しているところです。

 そこで是非、貴職におかれましても、「指針」の内容について、関係各機関に事実の確認及び是正を求める要望を取りまとめていただきたくお願いするものです。


(※)本協会、社団法人日本社会福祉士会、特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会、社団法人日本医療社会事業協会の4団体

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標  題 社会福祉士及び精神保健福祉士国家試験の合格発表日の繰上げについて(要望)
日  付 2008年6月12日
発 信 者 (社)日本社会福祉士会     会長 村尾俊明
(社)日本精神保健福祉士協会  会長 竹中秀彦
(社)日本医療社会事業協会   会長 笹岡真弓
(社)日本社会福祉士養成校協会 会長 白澤政和
(社)日本社会福祉教育学校連盟 会長 大橋謙策
日本精神保健福祉士養成校協会  会長 谷中輝雄
提 出 先 1)(財)社会福祉振興・試験センター 理事長 田中 敏雄 様
2)厚生労働省 社会・援護局 局長 中村 秀一 様

 貴職におかれましては、社会福祉士及び精神保健福祉士国家試験の円滑な実施についてご努力されていることに敬意を表しますとともに厚く御礼を申し上げます。

 このたび、社会福祉士及び精神保健福祉士国家試験合格者を採用している、行政、福祉団体、医療機関、企業等の関係者から、国家試験の合格発表を早めて欲しいとの強い要望がありますので、次によりその実現を図って頂きたくお願い申し上げます。


1.要望事項
 社会福祉士及び精神保健福祉士国家試験が、平成22年1月から新しいカリキュラムで実施されますが、この機会に、次の理由により今後の国家試験の合格発表を現行より1か月程度早めて下さい。


2.要望理由
(1)福祉・医療関係事業を行っている企業等では、福祉等専門教育を受けた新卒業者等を毎年早い時点で採用内定し、4月1日に正式採用してそれぞれの部署に配属をしていますが、内定者が国家試験に不合格となった場合、その者の配属先の決定に苦慮している実態にあります。
 そのようなことから、社会福祉士及び精神保健福祉士国家試験の合格発表を、例年の3月末日頃より早めていただくことで、不合格者についても採用内定取消し等を行うことなく、適性のある配属先の選定が容易となります。

(2)このたびの「社会福祉士及び介護福祉士法」の20年ぶりの改正により、専門性の高い養成教育と職域の拡大が大幅に図られました。その結果、今後において専門性の高い多くの分野の職域に福祉等専門職として採用される可能性が大きくなりますことから、それらに適切に応えられるようになります。


参考1:国立病院、国立療養所及び国立高度専門医療センターに勤務する医療ソーシャルワーカーの任用基準については、社会福祉士及び精神保健福祉士を充てることとされていること。(平成15年3月26日各地方厚生(支)局長、各国立高度専門医療センター総長あて厚生労働省健康局国立病院部長通知)

参考2:第20回社会福祉士国家試験の合格率30.6%(受験45,324名、合格13,865名)、第10回精神保健福祉士国家試験の合格率60.4%(受験7,365名、合格4,456名)。

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標  題 精神保健福祉士法施行規則等の改正に係るパブリックコメントについて
日  付 2008年4月21日
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 精神・障害保健課

 標記の件について、下記のとおり本協会としての意見を述べますのでお取り計らいのほどよろしくお願い申しあげます。


1. 共通科目カリキュラムについて

1)「現代社会と福祉」
 現行のカリキュラムにおいて、精神保健福祉士及び社会福祉士が共通に学ぶべき知識として「社会福祉原論」はその根幹的な科目として位置づけられている。にもかかわらず、今回の見直しでは「社会福祉」という文言がすべて「福祉」に替えられている。社会福祉専門職の養成カリキュラムである以上、「社会福祉」という表現は残すべきである。

2)「低所得者に対する支援と生活保護制度」
 グローバリズムの潮流にあって、「公的扶助・所得保障制度の国際比較」は欠かせない視点であるため、シラバスに盛り込むべきである。

3)「地域福祉の理論と方法」
 想定される教育内容の例の「専門職や地域住民の役割と実際」に精神保健福祉士も含めるべきである。

4)「権利擁護と成年後見制度」
 シラバスの内容「D権利擁護に係る組織、団体の役割と実際」の「社会福祉士の活動の実際」は「社会福祉専門職の活動の実際」に変更するとともに、「障害当事者等による民間の権利擁護活動の実際」も追加すべきである。

5)「保健医療サービス」
 保健医療サービスには当然ながら精神保健医療サービスが含まれることから、シラバスの内容「C保健医療サービスにおける専門職の役割と実際」に対して想定される教育内容の例として「医療ソーシャルワーカーの役割」を「医療分野におけるソーシャルワーカーの役割」に変更すべきである。

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標  題 精神保健福祉士の資格制度に対する現時点での本協会のスタンスについて〜議論のためのたたき台として〜
日  付 2008年4月20日
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 理事会
提 出 先 社団法人日本精神保健福祉士協会 構成員

はじめに

 1997年に精神保健福祉士法が成立し、精神保健福祉分野におけるソーシャルワーカーの国家資格が誕生しすでに10年が経過した。厚生労働省は、精神保健福祉士の高い専門性を担保するため、養成及び人材育成の在り方を検討する必要があるとして、2007年12月に有識者等からなる「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」を設置し、2008年7月を目処としてとりまとめを行うこととしている。

 第2回までの検討会においては、国家資格試験制度における社会福祉士資格との共通科目を有する仕組みの維持を前提に検討作業を終え、共通科目設定に関する省令改正に取り掛かっている。今後は、精神保健福祉士の専門性において必要な見直しに関する検討を進める予定となっている。

 先行して法改正された社会福祉士資格と精神保健福祉士資格の関係性をみると、職域の一部重複や診療報酬に社会福祉士の配置が単独で組み込まれたことと相まって、今後も「横並びの資格」としてあり続けるのか、様々な方向性が考えられる。

 このような状況を踏まえ、精神保健福祉士の資格制度の在り方について一定の方向性を議論するべき時期であるという認識に至った。そこで、本協会が取るべきスタンス(立ち位置)について、現時点における理事会の議論過程を構成員にオープンにしていく必要があると考え、ここに提示するものである。なお、これは構成員諸氏の多様な意見を求めるための素材であることをおことわりしておきたい。



1.精神保健福祉士の資格成立までの協会方針に関する経緯
 1987年頃から精神保健福祉士法が制定されるまでの10年、国家資格化の取り組みにおける本協会のスタンスは、将来的にはすべての領域を包含するソーシャルワーカーの統一的な資格制度が作られることが望ましいという認識を持ちつつ、以下の2点の理由から精神保健福祉領域に限定した単独資格化を目指すこととなった。

1) 社会福祉士が医療には踏み込まない資格として誕生し、保健医療領域における国家資格についてはとん挫した状況にあること。

2) 精神障害者の社会復帰・社会参加の促進が喫緊の課題でありながら、その担い手であるソーシャルワーカーの国家資格が存在しないという特殊事情があること。

 その経緯を踏まえて誕生したのが精神保健福祉士の資格である。

 本協会の前身である日本精神医学ソーシャル・ワーカー協会としては、これまでの精神科ソーシャルワーカー(以下「PSW」という。)の専門性を新たに創られた「精神保健福祉士」の資格が包含しているとは言い難いと考えていた。つまり必ずしも精神保健福祉士がそれまで私たちが培ってきたPSWの専門性を十分に担保する資格制度とはなっていないという認識を持った。それゆえに、精神保健福祉士がPSWの専門性を十分発揮できるよう資格を成熟させることを目標として、1999年に本協会は敢えて「精神医学ソーシャル・ワーカー」から「精神保健福祉士」に協会名称を変更することとした。



2.資格制定後10年の状況変化について

1)精神保健福祉士の実践領域の拡大
 精神保健福祉士の資格制度が誕生して10年が経過する中で、精神保健福祉士の行う業務は精神障害者の支援から、被災者支援、労働者のメンタルヘルス、学校ソーシャルワーク、自殺対策などメンタルヘルスの課題を有する国民全体を視野に入れた様々な領域へと拡大し、より専門的な立場からソーシャルワークを実践していくことが社会的要請となりつつある。

2)資格制度統一化の動向
 かつて本協会の社会福祉分野に関する資格への考え方として確認した「すべての領域を包含するソーシャルワーカーの統一的な資格制度」を創ることに関しては、その方向性が消えたわけではないが、この間の社会の変化、多岐に複雑化する福祉課題の増加などを背景に、専門分野ごとに関連団体が増え、その中でソーシャルワークの共通基盤を確認共有する作業の重要性がより顕在化している。

3)法改正に伴う社会福祉士資格制度との関係について
 これまで、2つの資格制度は養成カリキュラム及び国家試験について共通基盤をもつ「横並びの資格」として位置づけられてきた。すなわち異なる資格として、養成カリキュラムにおいては共通部分を堅持しつつ、より専門的・実践的な精神保健福祉士の養成を図る必要性から、専門科目のカリキュラムについては、社会福祉士との差異が鮮明となっている。

 今般、社会福祉士資格制度の見直しが行われ、社会福祉士をベース(基礎資格)として専門分野別の人材(専門社会福祉士(※1))を職能団体が養成する方向性が明確化しつつある。



3.今後のソーシャルワーカーの資格制度について

 検討に際しては、いくつかの方向性が想定される。

 具体的には、前段で提示した状況をふまえ、本協会は、これからも社会福祉専門職団体協議会を構成する4団体(※2)をはじめとしたソーシャルワーク関連諸団体との協調・連携関係を保ち、ソーシャルワーカーの共通基盤の確立を追求しつつ、本協会の目的である「精神障害者の社会的復権と福祉のための専門的・社会的活動を進めることにより、国民の精神保健福祉の増進に寄与する」ためにも、国家資格としての精神保健福祉士制度の維持継続と発展を追求していくことを目指すのが、一つの選択肢である。

 また、精神保健福祉士としての社会的責務を果たしながらも、すべての福祉領域を包含するソーシャルワーカーの統一的な資格制度を国や関係団体とともに模索・追求していくことを目指すのも一つである。

 一方、「専門社会福祉士」構想に引きつけて、社会福祉士資格を社会福祉専門職の基礎資格(ジェネリック)として、精神保健福祉士は精神保健福祉分野における認定資格(スペシフィック)として位置づける考え方も選択肢の一つになるかもしれない。

 さらに、全国医療ソーシャルワーカー協会連絡協議会が「医療福祉士」の国家資格化を目指していること、「日本聴覚障害者ソーシャルワーカー協会」が立ち上がったこと、財団法人全日本ろうあ連盟が「聴覚障害者福祉士(仮称)」の資格化を検討していることなど、まだ新たな資格に関する動きがあることも踏まえておかなければならない。



おわりに

 毎年度、入会者が増え、構成員の年代や職域の構成における変化も大きく、かつての協会の方針を再検討していないままに資格成立後10年を迎えた。我々の業務・実践領域の拡大や資格を取り巻く状況の質的変化の中にあって、国の検討会が開かれている今こそ、新たな方針を議論する時期にある。

 今年度、協会として取り組む重要課題の一つとして、協会内外から多くの意見を集め、方向性を見定めたい。構成員諸氏には、それぞれの立場からこの課題に対しての様々な意見や考えを本協会にお寄せいただけるようにお願いしたい。


[参考]社団法人日本精神保健福祉士協会定款第3条(目的)
第3条 本協会は、精神保健福祉士の資質の向上を図るとともに、精神保健福祉士に関する普及啓発等の事業を行い、精神障害者の社会的復権と福祉のための専門的・社会的活動を進めることにより、国民の精神保健福祉の増進に寄与することを目的とする。



※1 社会福祉士及び介護福祉士法改正の際に、衆参両議院の附帯決議として、「社会的援助を必要とする者が増加していることにかんがみ、重度の認知症や障害を持つ者等への対応、サービス管理等の分野において、より専門的対応が出来る人材を育成するため、専門社会福祉士及び専門介護福祉士の仕組みについて、早急に検討を行なうこと。」が盛り込まれた。

※2 特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会、社団法人日本医療社会事業協会、社団法人日本社会福祉士会、本協会の4団体
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標  題 生活保護費の通院移送費に係る改正内容案の撤回について(要望)
日  付 2008年4月15日
発翰番号 JAPSW発第08−14号の1、2
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 1)厚生労働大臣 舛添要一 様
2)厚生労働省 社会・援護局 保護課長 伊奈川秀和 様

 平素より、わが国の社会福祉施策の推進にご尽力を賜り、厚くお礼申しあげます。

 さて、2008年3月に開催された社会・援護局関係主管課長会議におきまして、生活保護受給者の通院移送費の適正化対策として「移送の給付に係る主な改正内容(案)」(以下「改正内容案」という。)が示され、各地の福祉事務所においては、生活保護受給者に対し、「通院移送費は原則的に福祉事務所管内の医療機関に限る」等の通知送付や口頭での指導がなされております。

 本協会としましては、改正内容案が示された背景となった不正受給や過剰給付の問題については、断固たる姿勢で臨んでいただくことに異存はございません。

 しかしながら、この改正内容案は、精神障害者にとっては通院の継続や地域移行支援にも大きく影響を及ぼすなど、大変深刻な事態を引き起こすものと受け止めております。

 つきましては、下記事項につきまして、本協会から強く要望する次第です。


<要望事項>
生活保護費の通院移送費に係る改正内容案を撤回してください。

<理 由>
1. 国民の「医療を受ける権利」の侵害にあたり、その「生存権を脅かす」ものとなります。

2. 通院移送費の不適切な支給等を契機とした適正化対策は、通院移送費に関する実態調査、マンパワーの慢性的な不足の解消等、多角的な検証の上に実施すべきです。このたびの改正案は、不適切な支給の責任を安易に生活保護受給者全体に転嫁させるものと言わざるを得ません。

3. 今回の改正案によって、現場においては通知及び口頭説明による一方的な指導を招き、行政担当者の合理的説明と生活保護受給者の同意が得られるものとなっておりません。また、通院医療を要する人びとにとって実質的な保護費の切り下げであり、生活保護法の理念としてきた自立支援に反するものであります。

4.とくに精神障害者においては次に示すように多大かつ深刻な影響が考えられます。
1)経済的負担増による受診の抑制と病状悪化
 通院先が管外である場合、経済的負担増により受診中断、受診回数抑制がおこる可能性があり、通院日数の多いデイケアはその可能性が高くなります。通院移送費の支給がないと経済的な負担はさらに大きなものになります。

2)付き添いが不可欠な者の医療の保障困難
 精神障害者においては病識の持ちにくさや、社会の偏見・差別から通院に拒否的な者も存在します。また環境や人間関係の変化等から不安が高まる場合など、受診や入退院・転院等に付き添い者の存在は不可欠です。

3)地域移行への影響
 わが国の政策では、一方で退院促進・地域移行を進めており、体験宿泊に伴う移送費、退院後の通院移送費の支給廃止は、地域生活に移行するうえでの強い妨げとなります。

4)保護受給者の受診勧奨への弊害
 未だ医療に結びつかない者への受診の勧めには、多大な労力を強いられますが、通院移送費が支給されないことは、受診勧奨のさらなる困難を生みます。現業員の指導上の困難が増大することに加え、早期の自立助長の阻害要因となります。

5)医療機関の偏在
 入院設備やデイケアを有する精神科医療機関は郊外に集中していることが多く、また、アルコール・薬物依存症等の専門医療機関は数が少ないため、管外に通院している方は多いはずです。信頼するスタッフ・仲間との関係の中で回復することを併せ考えると、通院先を管内に限定することは現実的ではありません。

6)精神科救急医療体制と入院先との関係
 わが国における精神科救急医療は、広範な地域を受け持つ体制をとる都道府県が多く、また搬送後も同一医療機関において継続治療が実施されることが少なくありません。病院と診療所との連携も未だ不充分であり、したがって遠方にある精神科救急病院に通院を続けている例も多いのです。

7)社会の偏見・差別
 社会における精神疾患や精神障害への偏見・差別は未だ根強いものがあり、近医より遠くの医療機関を希望する精神障害者や家族も多くいます。
 こうした現状に照らして、今回の見直しは結果的に医療機関への足を遠のかせ、治療中断や再発リスクを高めることにつながります。

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