標題 | 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(改定案)に係る意見 |
日付 | 2023年1月13日 |
発信者 | 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村綾子 |
提出先 | 内閣府障害者施策担当 |
私たち精神保健福祉士は、個人としての尊厳を尊び、人と環境の関係を捉える視点を持ち、差別のない共生社会の実現をめざすソーシャルワーク専門職です。また、精神障害のある人々の社会的復権と福祉のための専門的・社会的活動を行う立場から、今回の改正案について意見を述べさせていただきます。 記 1.2ページ「2基本的考え方(1)法の考え方」の最後の3行【意見及び理由】 「関係者の建設的対話による協力と合意により、」の後に「長期にわたり施設や病院で過ごさざるを得ない状況におかれている人びとの存在を踏まえて、」を加えてください。 国連の障害者権利委員会が2022年9月に公表した「脱施設化に関するガイドライン」では、「施設入所は障害者権利条約に反する障害者差別である」としていますし、共生社会の実現には、長期入所・入院している障害者の地域社会への移行が欠かせないためです。 2.6ページ下から12行目「(合理的配慮の例)」
【意見及び理由】 「また、ハード面のみならず」を「また、『心のバリアフリー』が重要であることから、ハード面のみならず」としてください。 環境整備には、障害者等の困難を自らの問題として認識し、心のバリアを取り除き、その社会参加に積極的に協力する「心のバリアフリー」が重要であることを強調する必要があるからです。 4.14ページ「2 啓発活動」10行目 【意見及び理由】 「国民各層の障害に関する理解を促進するものとする。」を「国民各層の障害に関する理解について障害種別ごとに差が生じないように促進するものとする。」としてください。 障害種別により国民の理解度に差が生じている実態、とりわけ精神障害や発達障害は「目に見えない障害」であるがゆえに偏見や差別を受けやすい現状にあるためです。 以上、偏見や差別、抑圧、排除などの無い共生社会の実現と、この国に暮らすすべての人々の基本的人権が尊重される公正・公平な社会の実現を希求する専門職団体として意見いたします。 |
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<参考> 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(改定案)に関する意見募集について(内閣府・2022年12月) |
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標題 | 声明 |
日付 | 2022年12月3日 |
発信者 | 精神保健従事者団体懇談会 |
以上 |
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(賛同団体) (公社)全国自治体病院協議会精神科特別部会、全国精神医療労働組合協議会、(特非)全国精神障害者地域生活支援協議会、全国精神保健福祉センター長会、全国精神保健福祉相談員会、全日本自治団体労働組合衛生医療評議会、(一社)日本作業療法士協会、 (一社)日本児童青年精神医学会、(一社)日本集団精神療法学会、(一社)日本精神科看護協会、(一社)日本精神保健看護学会、(公社)日本精神保健福祉士協会、(一社)日本総合病院精神医学会、 日本病院・地域精神医学会、日本臨床心理学会 賛同につき最終確認中の団体を含む |
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標題 | 精神保健福祉法改正案に関する見解 |
日付 | 2022年11月2日 |
発信者 | 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村綾子 |
記 1.法律の目的に「精神障害者の権利擁護」が加わったことについて 「精神障害者の権利の擁護」が精神保健福祉法の目的に加えられることは、実に70年を超える年月を要した画期的な改正であると評価できる。なお、精神衛生法の時代から長らく「精神障害者の医療及び保護」を行うことが目的とされてきたが、本改正を布石として、パターナリズムを象徴する「保護」の文言が今後法律の目的や各規定から削除されること、将来的には、精神医療及び精神障害者福祉のみを特別視せざるを得なかった歴史に終止符が打たれ、本法律の抜本的改正へとつながることに期待したい。 2.医療保護入院の見直しについて 医療保護入院制度は、患者の医療に加えて保護を目的として精神保健指定医1名の診断と家族等のうち1名の同意のみを要件とする非自発的入院制度であり、本協会は引き続き将来的な廃止を求めるものである。今回の改正は、そのための過渡的手段として受け止めたうえで、各事項については以下のように考える。 (1)市町村長同意の要件緩和について市長村長同意の要件の一部緩和は、長年親交のない遠方の家族であっても同意者になることができる事実や、家族が同意・不同意の意思表示を行わないことで必要な入院治療を受けられない患者が一定数いる事態に鑑みて、精神障害者に必要な治療を受けさせる責任の一端を各自治体の長に求めるものである。また、積年の課題である家族同意による負担感の一部軽減になると考えられる。 他方、市町村長同意は今後一定数増えることが想定されるなか、「市町村長同意事務処理要領」に則った実務が必ずしも履行されていない現状において、医療保護入院者の権利擁護の観点から、法改正と並行して入院中の面会等が確実に履行できる手立てを講じるとともに、市町村長においては病院及び地域援助事業者等との積極的な連携など、患者の退院支援に関与するための迅速な体制整備が求められる。 (2)入院手続きの見直しについて (3)退院促進措置の一部見直しについて 3.「入院者訪問支援事業」の創設について 今回の「入院者訪問支援事業」の創設は、「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」が2012年に取りまとめた「入院制度に関する議論の整理」において医療保護入院の見直しとして「権利擁護のため、入院した人は、自分の気持ちを代弁する人を選べることとする」としたことに端を発する。以来、10年の検討を重ねてようやく法定化されることを評価し、実効性のあるものとなることに期待したい。 4.精神科病院における虐待防止に向けた取組の一層の推進について 医療機関の管理者には、これまで「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(障害者虐待防止法)において、障害者に対する虐待の間接的防止措置をとることとされてきた。しかし、精神科病院における虐待事件が現に発生している事態に鑑み、本改正案では精神科病院の管理者に、精神障害者に対する虐待の防止措置をとること、及び虐待を発見した者には都道府県等への通報義務が課せられることになる。さらに、精神科病院の業務従事者による虐待状況等が毎年度公表されることは、大きな抑止力になることが期待される。 5.医療の主体的な選択を支援するために 改正法案には附則として、「政府は、非自発的入院制度の在り方等に関し、精神疾患の特性等を勘案するとともに、障害者権利条約の実施について精神障害者等の意見を聴きつつ、必要な措置を講ずることについて検討するものとする」規定が設けられた。精神医療が「医療」であるからには、社会からの要請に応じて提供されるのではなく、当事者が自身の健康回復や増進のために主体的に選択し利用し得るものとなるよう、さらに望ましい法制度のあり方を追求しなくてはならない。 本協会としては、精神障害者の権利の擁護のために今回の改正法を賢く活用しつつ、非自発的入院制度下における患者の権利擁護をはじめ、入院患者の意思決定の保障、身体的拘束をゼロとするための仕組みなど、次の法改正に向けて精神障害者やその家族等の意見を聞き、精神保健医療福祉に携わる多職種による議論を継続していきたい。 以上 [PDF版はこちら(179KB)] |
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<参考> 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案を国会に提出いたしました(厚生労働省・10/26) <関係団体の見解等(日付順)> ・精神保健福祉法改正案に対する見解(精神医療国家賠償請求訴訟研究会・12/05) ・障害関連法改正「束ね法案」に対する緊急声明(日本障害者協議会・12/03) ・声明(精神保健従事者団体懇談会・12/03) ・障害関連法改正「束ね法案」に対する緊急声明(日本障害者協議会・11/10) ・精神保健福祉法改正案の見直しを求める会長声明(日本弁護士連合会・11/09) ・精神保健福祉法改正に関する学会見解(日本精神神経学会・09/28) ・障害者関連法案の審議について(DPI日本会議・09/26) |
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標題 | 若者を対象にした「サケビバ!日本産酒類の発展・振興を考えるビジネスコンテスト」の中止を求める緊急要望書 |
日付 | 2022年8月26日 |
発信者 | 特定非営利活動法人ASK、公益社団法人全日本断酒連盟、日本アディクション看護学会、一般社団法人日本アルコール関連問題ソーシャルワーカー協会、公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会、公益社団法人日本社会福祉士会、公益社団法人日本精神保健福祉士協会、イッキ飲み防止連絡協議会、主婦連合会 |
提出先 | 国税庁長官 阪田 渉 様、厚生労働大臣 加藤勝信 様 |
[PDF版はこちら(373KB)] |
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標題 | 熊本地裁「生活保護基準引下げ行政処分取消請求事件」判決に対する声明 |
日付 | 2022年6月1日 |
発信者 | 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村綾子 |
2022年5月25日、熊本地方裁判所は、2013年8月から3回に分けて実施された生活保護引下げ処分(以下、「本件引下げ」という。)の取り消しを求めた原告の請求を認容する判決(以下、「本判決」という。)を言い渡しました。 本訴訟は、熊本県内の生活保護利用者49名(提訴時)が、熊本県内の4市を被告として、本件引下げの取り消しを求めた裁判です。全国29地裁で30の原告団が同種訴訟を提起していますが、これまでに言い渡された10の地裁判決のうち、原告の請求を認容したのは、2021年2月22日の大阪地裁判決に続き2件目となります。 大阪地裁判決は、本件引下げの根拠とされた「デフレ調整」(削減額580億円)について、特異な物価上昇が起こった2008年を起点としたこと、被保護世帯の消費の実態とはかけ離れた物価下落率を算定したことについて、本件引下げが違法であると判断しました。 熊本地裁判決は、これに加えて、専門家からなる生活保護基準部会が検証した「ゆがみ調整」(削減額90億円)による数値を増額分も含めて2分の1とした点と、そもそも「ゆがみ調整」と「デフレ調整」を併せて行った点についても違法であると判断しました。そして上記の諸点がいずれも生活保護基準部会等の専門的知見に基づく分析や検証を経ずに行われたことに対し、厚生労働大臣の判断過程及び手続に過誤欠落があると判断しています。裁判所が厚生労働大臣の裁量の逸脱・濫用があると認定したことは、裁判所が行政裁量の拡大解釈、恣意的判断を許さないという態度表明と考えられ、大阪地裁判決よりもさらに踏み込んだ内容としてきわめて重要な意味を持つといえます。 3年近くにも及ぶ新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、日本の社会保障制度の脆弱さを浮き彫りにし、特に元々経済的に脆弱な人々を直撃し、さらには、自死を含むメンタルヘルス課題の深刻化を招きました。精神保健医療福祉の現場で働くソーシャルワーカーとして、わたしたちも最後のセーフティネットである生活保護の重要性を再認識しています。今回の勝訴判決は生活保護の利用者である多くの精神障害者とその人たちに伴走する私たち精神保健福祉士にとっても大きな励ましとなりました。 日本精神保健福祉士協会は、被告である4市に対し、本判決の意義を重く受け止め、控訴せずに本判決を確定させることを強く求めます。また、国に対しては、早急に現在の生活保護基準を見直し、違法に保護費を下げられ、長年にわたり憲法25条で保障された健康で文化的な最低限度の生活から遠ざけられた生活保護利用者に対して真摯に謝罪し、2013年引き下げ前の生活保護基準に戻すことを求めます。 本判決が現在同種訴訟を審理中の大阪高裁を含む他の裁判所の判断に影響を与え、保護費引き下げで様々な権利を失い、心身ともに苦しみの中にある各地の原告の方々の権利回復が一刻も早くなされることを切に願います。 |
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[PDF版はこちら(153KB)] |
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