要望書・見解等

2023年度


標題 「医療保護入院者の退院促進に関する措置について」の改正に関する意見
日付 2023年9月13日
発翰番号  JAMHSW発第23-252号
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村綾子
提出先  厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 精神・障害保健課 課長 小林秀幸 様
 
 平素より本協会事業に格別のご理解、ご協力を賜り、深く感謝申しあげます。

 さて、精神保健福祉法の改正により、措置入院者に対する退院後生活環境相談員の選任の義務付け等の退院促進措置が規定されるとともに、医療保護入院の入院期間が法律上定められたこと等により医療保護入院者退院支援委員会の位置づけが変わることとなります。

 つきましては、2024年4月の施行に向けた「医療保護入院者の退院促進に関する措置について」(2014年1月24日発出、障害保健福祉部長通知)の改正に関して、退院後生活環境相談員の多数を占める精神保健福祉士の職能団体としての意見を下記の通り提出いたします。本協会としましては、より一層の退院促進に向けて支援の質向上に尽力する所存ですので、ご高配のほどよろしくお願い申しあげます。
 

 
1.「退院後生活環境相談員の選任」について
  • 退院後生活環境相談員の資質向上には研修が欠かせないことから、都道府県等において研修を実施できるよう体制整備を行っていただきたいこと
  • なお、多職種を対象とした退院後生活環境相談員の役割及び業務に関する研修の開催にあたっては、本協会及び都道府県精神保健福祉士協会において当該研修の企画・運営等に積極的に協力・参画する意向があること
  • 配置の目安として示されている「退院後生活環境相談員1人につき、概ね50人以下の医療保護入院者を担当すること」については、担当数を「概ね30人以下」としていただきたいこと

2.「資格」について
  • 退院後生活環境相談員として有するべき資格については、退院後生活環境相談員としての質の均てん化を図るためにも、精神保健福祉士及び精神障害者に関する業務に従事した経験を有する保健師、看護師、准看護師、作業療法士又は社会福祉士としていただきたいこと

3.「業務内容」について
  • 退院後生活環境相談員は、常に多職種による支援チームの一員であることを念頭に置いてその業務にあたることを明記していただきたいこと
  • 「入院時の業務」である「退院後生活環境相談員が選任された場合の、当該医療保護入院者及びその家族等に対する説明」については、口頭及び書面等により行うことを明記していただきたいこと
  • 「退院に向けた相談支援業務」のうち「退院に向けた意欲の喚起」については、本人の意向を尊重しつつ行うことが重要であることから、その旨を明記していただきたいこと
  • 「退院に向けた相談支援業務」として、措置入院者においては、保健所による「退院後支援に関する計画」の策定に協力し、円滑な退院に向けて連携を図ることを追記していただきたいこと
  • 「地域援助事業者等の紹介に関する業務」の遂行にあたっては、日常的な地域援助事業者との連携が効果的な取り組みにつながることから、そのことを明記していただきたいこと
  • また、市町村長同意による医療保護入院の場合は、当該患者の家族による支援が希薄であることを鑑み、退院に向けて、入院者訪問支援事業の利用や地域援助事業者、市長村長同意自治体等との連携を図り、退院支援の環境整備に努めることを追記していただきたいこと

4.「地域援助事業者の紹介及び地域援助事業者による相談援助」について
  • 「地域援助事業者による相談援助」として、措置入院者においては、都道府県が主催する精神障害者支援地域協議会(個別ケース検討会議)への出席の要請があった場合には、できる限り出席し、退院に向けた情報共有に努めることを追記していただきたいこと

5.「医療保護入院者退院支援委員会の開催」について
  • 退院支援委員会の出席者については、当該医療保護入院者本人の出席を原則としていただきたいこと
  • 当該医療保護入院者の家族等及び地域援助事業者その他の当該精神障害者の退院後の生活環境に関わる者については、当該医療保護入院者の同意を得られた場合において、ビデオ通話等、情報通信機器の使用による退院支援委員会の出席も可能としていただきたいこと
  • 事務の簡素化の観点から、別添様式3「医療保護入院者退院支援委員会の結果のお知らせ」を廃止し、別添様式2「医療保護入院者退院支援委員会審議記録」の写しを本人等に通知することとしていただきたいこと
   以上
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標題 犯罪被害者支援窓口における支援の充実に向けた要望について
日付 2023年9月5日
発翰番号  JAMHSW発第23-241号
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村綾子
提出先  警察庁 犯罪被害者等施策担当参事官室 御中
 
 平素より本協会事業に格別のご理解、ご協力を賜り、深く感謝申しあげます。
 本協会は、精神障害やメンタルヘルス不調を来たした方の権利擁護と地域生活支援を担うソーシャルワーク専門職の全国組織です。近年は、広く国民の精神保健保持に資するべく、医療、保健、そして福祉の領域における精神保健福祉士の果たす役割はますます重要となっており、医療・生活支援サービス機関はもとより、地方公共団体や学校のほか、保護観察所や矯正施設等刑事司法分野においても、その活動の幅を広げております。

 さて、犯罪被害を受けた方に対しては、様々な支援が求められていることは言うまでもありません。もちろん、刑事司法手続における支援やカウンセリングも大変重要ですが、犯罪被害によって受ける経済的困窮、就労、家事や育児・介護の問題、学校教育の問題など、生活の支援も欠かせません。

 地方公共団体の「犯罪被害者等のための総合的対応窓口」(以下、「総合的対応窓口」という。)、民間被害者支援センター(性被害・性暴力ワンストップ支援センターを含む)や配偶者暴力相談支援センターなどの被害者支援を専門に行う機関のうち、一部ではソーシャルワーク専門職が従事していますが、専門的見地から組織内で意見を上げることに困難さを抱えていたり、ソーシャルワーカーとしての活動に制約があったり、不安定な雇用により定着しなかったりなどの傾向がみられます。

 犯罪被害者等への支援については、生活支援のための制度・サービスの不備に加え、支援に携わるソーシャルワーク専門職の位置づけが不明瞭で活用される場が極めて限定的であるために、本来必要とされる専門的な支援を十分行うことができていない現状にあります。具体的には、犯罪被害者等の相談支援として、犯罪被害者等が本来活用できる制度やサービスのコーディネート(ケアマネジメント)やアドボケイト等の支援が十分提供できておりません。

 実際、2016年に実施された地方公共団体の窓口に関する調査や、その6年後の2022年に実施された同様の調査においても、窓口の稼働率は2割前後にとどまっているなど、いまだに支援自体が十分でない地域が存在しています(資料1)。

 以上のとおり、犯罪被害者等の置かれた困難等に対し、精神保健福祉士等のソーシャルワーク専門職が有効に活用されないことで、多くの犯罪被害者等の生活再建が進まない状況を遺憾に思っております。本協会としましては、犯罪被害者等の権利回復、精神的回復と生活再建に向けての支援体制の強化や促進のために、精神科医療機関、地方公共団体、その他関連機関が行う支援に精神保健福祉士が果たす役割は大きいと強く認識しているところです。

 この問題意識の下、本協会は2022年度に全国の犯罪被害者支援にかかわる地方公共団体や民間被害者支援センターの専門職に対するアンケート及びヒアリングによる支援実態の調査を実施しました(資料2、資料3)。

 その結果を踏まえ、犯罪被害者等の生活の回復に資する犯罪被害者支援窓口の充実に向けて、下記の通り要望いたしますので、ご高配のほどよろしくお願い申しあげます。
 

 
1.犯罪被害者等の生活の問題は、保健、医療、福祉と密接に絡んでおり、様々な社会資源を熟知しコーディネートしていく必要があるため、犯罪被害者支援においてケアマネジメントが可能となる体制を整備していただきたい。

2.1.を実現するために、地方公共団体の総合的対応窓口について、保健や福祉を担う部署に設置し、正規職員である専門職が対応できる体制とするとともに、対人援助の専門職である精神保健福祉士、社会福祉士及び保健師等の専門職を配置することを推進いただきたい。なお、都道府県においては、市町村の総合的対応窓口のサポートを行うことを前提とし、2名以上の専門職の配置を必須としていただきたい。

3.地方公共団体の総合的対応窓口の担当者が非専門職である場合には、保健、医療、福祉に関する学識経験者や職能団体等の活用により、社会福祉士、精神保健福祉士及び保健師等の専門職のスーパービジョン及びコンサルテーションを受けながら、実際の支援を拡充していくことができるような体制を構築していただきたい。

4.2018年に地方公共団体の総合的対応窓口が全市町村に設置されたにも関わらず、窓口の利用実態が明らかになっていないことから、国の責任において相談内容、相談件数の集計及び統計情報の開示をしていただきたい。

5.相談窓口の利用がまだ十分に進んでいない実態から、引き続き、犯罪被害者等が相談窓口を適時適切に利用できるように、積極的な広報をしていただきたい。


(資料1)地方公共団体総合的対応窓口に関する調査結果(概要)[PDF:78KB]
(資料2)被害者支援に絡む課題アンケート調査結果[PDF:97KB]
(資料3)被害者支援ヒアリング調査結果[PDF:81KB]
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標題 北海道江差町の社会福祉法人あすなろ福祉会における「不妊処置」に関する声明
日付 2023年8月8日
発信者 日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)/公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島善久、公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村綾子、公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会 会長 野口百香、特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 保良昌徳
 
https://jfsw.org/2023/08/08/3187/
 
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標題 出入国管理及び難民認定法の改正に対する声明
日付 2023年8月7日
発信者 日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)/公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島善久、公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村綾子、公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会 会長 野口百香、特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 保良昌徳
 
https://jfsw.org/2023/08/07/3181/
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標題 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に対する意見
日付 2023年7月31日
発翰番号  JAMHSW発第23-191号
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村綾子
提出先  厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 部長 辺見 聡 様
 
 障害福祉の向上に向けてご尽力いただいておりますことに感謝申しあげます。
 私たち公益社団法人日本精神保健福祉士協会は、すべての人が「自分らしい生活」を実現し、その生活を安心して継続することができるよう、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に向け、下記の通り意見を提出いたします。
 

 

1.精神科病院からの地域移行と地域生活の定着の着実な推進に向けて
 令和2年患者調査では、精神病床における1年以上の長期入院者が未だに約17万人いる状況が分かっています。入院中の地域移行支援と地域移行後の自立生活援助の連続的・一体的な利用が促進され、長期入院等の解消がさらに進むよう、以下の通り提案いたします。

1)自立生活援助のサービス管理責任者配置要件の緩和について
<意見>
 相談支援事業所が自立生活援助の指定を受けやすくなるように、相談支援専門員の資格を以てサービス管理責任者としてみなすことを提案いたします。
<理由>
 地域移行を促進し、障害者がより安心して地域生活を送ることができるようにするために、自立生活援助のさらなる充実が必要と考えますが、現状では相談支援事業所が自立生活援助の指定を受けるためには、サービス管理責任者をさらに配置する必要があり、指定事業所が増加しにくいひとつの理由となっています。サービス管理責任者と同等の研修を受講している相談支援専門員がサービス管理責任者とみなされることによって、相談支援事業所が自立生活援助の指定を受けやすくなり、体制整備のさらなる充実につながると考えます。

2)入所・入院中からの地域移行支援と自立生活援助を一体的に行った場合の実績としての評価について
<意見>
 地域移行支援を提供し、利用者の地域移行後に引き続き自立生活援助の支援を行った実績が1人以上の相談支援事業所に対して、自立生活援助の基本報酬を引き上げることを提案いたします。
<理由>
 入所・入院中から地域移行後まで切れ目のない支援を展開する観点からは、地域移行後の自立生活援助による支援の提供が有用です。利用者に、入所・入院中から退所・退院後まで一貫した支援が提供されることで、本人と相談支援専門員との関係性やアセスメント、支援方針等を地域生活へと連続させることができ、より本人の希望する暮らしの実現を促すことに結びつきます。加えて、1)と重複しますが、自立生活援助の指定を受ける事業所が増え、体制整備のさらなる充実につながると考えます。

3)地域定着支援の家族条件にかかる提示について
<意見>
 地域定着支援の家族条件にかかる提示を自立生活援助と同様にすることを提案いたします。
<理由>
 自立生活援助については家族による支援が見込めない例として、「その他、同居している家族の状況等を踏まえ、利用者への支援を行うことが困難であると認められる場合」が示されていますが、地域定着支援では「家族等が高齢であったり就労している場合」等に限定されています。地域定着支援の必要性のある方でも、提示されている条件以外に、支援の担い手である家族が精神保健の課題や身体疾患等を抱える場合や、本人が家族に意志表出等しにくい関係性が伏在している場合等ありますが、家族条件に該当しないため利用できない例が見られます。

4)自立生活援助及び地域定着支援の「日常生活支援情報提供加算」について
<意見>
 自立生活援助及び地域定着支援の「日常生活支援情報提供加算」における情報提供先を訪問看護ステーションへ拡充し、複数機関への情報提供については加算の増額ができるようにすることを提案いたします。
<理由>
 自立生活援助及び地域定着支援における「日常生活支援情報提供加算」は精神科病院等が対象とされています。訪問看護ステーションは当該加算の対象ではありませんが、精神科訪問看護の対象者で、例えば受診頻度が低い(例、1か月に1回等)が生活上の課題が大きい等の場合は福祉との連携が欠かせません。実際、そうした利用者に対しては訪問看護ステーションと自立生活援助及び地域定着支援の提供者間での情報共有を頻回に行なうことで、利用者の地域生活継続を支えています。このような医療と福祉の連携強化の観点から、訪問看護ステーションについても病院等への情報提供を前提に当該加算の対象として拡充し、2か所目以降の情報提供については加算を上乗せできるようにすることを提案いたします。

5)自立生活援助及び地域定着支援におけるICT活用について
<意見>
 自立生活援助及び地域定着支援におけるICT活用として、電話以外のメールやビデオ通話等を活用した支援を報酬上評価することを提案いたします。
<理由>
 自立生活援助及び地域定着支援では、夜間の緊急時における電話による支援が報酬上評価されていますが、場面緘黙や強い対人緊張、聴こえが悪い等本人の状態により電話ではなくメールやビデオ通話等で緊急時の対応をすることもあります。そのため、電話以外にもメールやビデオ通話等ICTを活用した支援も報酬上評価することを提案いたします。

2.共同生活援助(以下、「グループホーム」とする)における一人暮らし等に向けた支援の充実に向けて
 障害があっても、本人が暮らしたい場所で、暮らしたい人と「ごく当たり前の生活」を営むことが保証されるよう、一人暮らし等を希望する利用者に対する地域との連携を基盤とした支援や、退居後の一人暮らし等の定着のための相談等の支援を実施するグループホームの実現に向け、以下の通り提案いたします。

1)グループホームにおける地域協働加算の創設について
<意見>
 グループホームにおける地域協働加算の創設を提案いたします。
<理由>
 グループホームの利用者が単身生活等へ移行し、希望する生活を実現しようとするとき、サービス管理責任者等は地域の様々な社会資源を活用できるようにマネジメントすることが重要です。そのためにはグループホームの職員、利用者が日頃から地域の一員として自治会活動に参加する等し、地域住民等との交流を通じて障害理解を促し、誰もが当たり前に利用する生活資源を障害のある方も誤解や偏見なく利用できるよう関係性を構築しておくことが必要です。一人暮らし等を希望する利用者に対する支援や退居後の一人暮らし等の定着のための相談等の支援を実施するグループホームの職員が、利用者と共に地域との協働に取り組んだ場合、報酬上評価されることを提案いたします。

2)居住支援連携体制加算及び地域居住支援体制強化推進加算対象事業者の拡大について
<意見>
 居住支援連携体制加算及び地域居住支援体制強化推進加算対象事業者のグループホームへの拡大を提案いたします。
<理由>
 障害者の居住先の確保及び居住支援を充実する観点から居住支援連携体制加算が、また住宅の確保及び居住支援にかかる課題への取り組みを促す観点から地域居住支援体制強化推進加算が、自立生活援助、地域移行支援、地域定着支援事業に位置付けられています。一人暮らし等を希望する利用者に対する支援や退居後の一人暮らし等の定着のための相談等の支援を実施するグループホームにおいては、居住先の確保及び居住支援の充実と、それらにかかる課題の把握や解消へ向けた協議等が必要となることから、これらの加算をグループホームに拡大することを提案いたします。

3)個別計画訓練支援加算のグループホームへの拡大について
<意見>
 自立訓練(生活訓練)において算定できる個別計画訓練支援加算について、自治体への届出、精神保健福祉士等専門職による個別訓練実施計画の作成、毎月の計画の評価・見直し、関係者との情報共有等を条件として、一人暮らし等を希望する利用者に対する支援や退居後の一人暮らし等の定着のための相談等の支援を実施するグループホームも加算対象サービスとすることを提案いたします。
<理由>
 一人暮らし等を希望する利用者に対する支援や退居後の一人暮らし等の定着のための相談等の支援を実施するグループホームにおいては、特に地域生活を営む上で必要となる生活能力の獲得(または向上)に焦点を定め、一定期間、重点的に個別の訓練や評価を行う必要があり、その体制が充実することで、本人が希望する暮らしの実現をより促すことができると考えます。

4)地域生活支援拠点等加算について
<意見>
 地域生活支援拠点等加算について、一人暮らし等を希望する利用者に対する支援や退居後の一人暮らし等の定着のための相談等の支援を実施するグループホームへ拡大することを提案いたします。市町村に地域生活支援拠点等として位置付けられた短期入所事業所については、緊急時の受入対応等の当該拠点等の役割の一端を担うことが、短期入所サービス費の算定における利用開始日の加算として評価されていますが、これを、一人暮らし等を希望する利用者に対する支援や退居後の一人暮らし等の定着のための相談等の支援を実施するグループホームのうち、特に地域生活支援拠点等として評価されるべき条件を満たす事業所(例えば前述「2-1)」のような加算等を算定した実績のあるグループホーム等)に拡大することを提案いたします。
<理由>
 グループホームの空室を緊急時の受入対応等に有効活用し、本人の希望する地域生活の実現や、地域支援体制の機能をさらに充実させることができると考えます。

3.就労系障害福祉サービスにおける支援の推進に向けて
 就労を希望する障害者のニーズの多様化や社会経済状況が変化している中で、障害者が働きやすい社会を実現するため、障害者一人一人の 希望や能力に沿った、よりきめ細かい支援を提供することが課題として示されました。そのため、就労系障害福祉サービスにおいて、よりきめ細かい支援を実施し、本人が望む暮らしの実現に向けて、以下を提案いたします。

1)就労継続支援A型事業におけるスコア表の修正について
<意見>
 就労継続支援A型事業におけるスコア表の以下の部分について、質の向上につながるよう修正することを提案いたします。
 ①「多様な働き方」の「②利用者を職員として登用する制度について」の項の2点目について、「前年度の実績がある」を「これまでに実績があり、雇用が継続している」とすること
 ②「多様な働き方」の「⑧傷病休暇等の取得に関する事項」の項の2点目について、「就業規則等で定めており、前年度の実績がある」を「就業規則等で定めており、これまでに実績がある」とすること
<理由>
 現在、複数の評価軸をもとに、多面的に評価できる仕組みになったことは、サービスの質を高めることに有効であると考えています。その上で、評価の項目、方法については、さらなる精査を行い、修正の必要があると考えます。例えば、①に関しては、雇用は一度だけですので、他の項目と同じく継続して実績を挙げられることが評価されなければインセンティブにはつながりにくいということ、②に関しては傷病等の際に休暇が取得できる保障は重要ですが、傷病等が発生したことを評価する形になっており、支援の質の担保にはつながっていないと考えられます。

2)就労継続支援B型事業における多様な評価軸に基づいたサービスの質の評価について
<意見>
 就労継続支援A型事業と同様にスコア制を導入し、以下のような多様な評価軸に基づいてサービスの質を評価することを提案いたします。
 ①利用のフレキシブルさ(日数や時間について、短時間利用も受け入れているか)
 ②生産活動以外のプログラムがあるか(「就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練」として、強みや能力などに着目したものであるか等)
 ③利用者の参画(生産活動のことを利用者も一緒に考えたり意見を言ったりする機会を設けているか)
 ④作業の多様性や作業のための環境整備や配慮があるか
<理由>
 工賃の額によって報酬単価が決まらない区分ができたことは、多様な利用者への支援の枠組みが増えたと言えます。一方で単価が低く、実際の運営がかなり困難となっている事業所もあり、障害者一人一人の希望や能力に沿った、よりきめ細かい支援の提供に困難を来している現状もあります。
 ただ、一律に単価を上げるだけでは高工賃を目指す取り組みへの評価との整合性がとれませんので、上記例示のように多様な評価軸に基づいてサービスの質を評価することで、就労に向けたきめ細かな支援が促進され、本人が望む暮らしの実現に繋げられると考えます。

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