「障害年金の判定」に関する緊急アンケート調査結果
1.アンケート調査実施概要
2025年5月2日(金)に【重要】「障害年金の判定」に関する緊急アンケートへのご協力のお願いとして、本協会構成員、及び、都道府県精神保健福祉士協会の会員等の精神保健福祉士を対象に実施した緊急アンケート調査の集計結果を以下のとおり報告いたします。
短期間であったにもかかわらず、多くのご回答が寄せられ、障害年金不支給問題への関心の高さがうかがえました。ご回答いただきました皆さまにはお礼申しあげます。
このアンケートは、全国各地で障害年金申請の支援を行っている精神保健福祉士に、不支給問題に関する実感をお答えいただき、視覚化したものです。実態を正確にとらえたものかは検証が必要ですが、一定の傾向を把握することはできるのではないかと考えております。
今後、厚生労働省や日本年金機構の調査結果などを注視しつつ、引き続き情報収集に努め、専門職団体として必要な対応を行ってまいります。構成員の皆さまには、障害年金不支給問題のみならず、障害年金の諸課題について専門職として関心を寄せ続けていただくとともに、障害年金の申請を希望する当事者への適切な支援につき、引き続きよろしくお願いいたします。
項目 | 内容 |
---|---|
調査期間 | 2025年5月2日(金)~5月16日(金)正午まで |
調査方法 | WEBアンケートフォーム(無記名式) |
調査対象 | 本協会構成員、及び、都道府県精神保健福祉士協会の会員等の精神保健福祉士 |
回答件数 | 474件 |
自由記述回答件数 | 144件 |
2.集計結果
問1 職場のある都道府県(回答数:474件)
回答者の職場は全国47都道府県に分布しています。グラフには10件以上の回答があった都道府県を表示しています。
10件未満の府県は以下の通りです:茨城県・京都府(各9件)、群馬県・長野県(各8件)、宮城県・富山県・静岡県・山口県(各7件)、徳島県・香川県(各6件)、岩手県・佐賀県・鹿児島県・沖縄県(各5件)、山形県・福島県・新潟県・奈良県・和歌山県・島根県・長崎県(各4件)、福井県・岐阜県・鳥取県・愛媛県(各3件)、秋田県・栃木県・山梨県・宮崎県(各2件)、三重県・滋賀県・大分県(各1件)。
問2 2024年度の障害年金申請または更新手続きにかかわる中で、それ以前と比べ不支給判定(または等級が下がる)が増えたとお感じになりますか?(回答数:474件)
問3 問2で「増えたと感じる」とお答えになった方にお尋ねします。それはどちらの申請についてでしょうか?(回答数:221件)
問4 更新手続きの方で等級が下がるもしくは不支給判定となった年金の種類と等級をお答えください。(複数回答可)(回答数:問3「更新申請」回答者33件、問3「どちらも」回答者58件)
問5 問2で「増えたと感じる」とお答えになった方にお尋ねします。具体的な例をご記入いただけますでしょうか。※クライエントのプライバシーには十分ご注意の上ご記入願います。(自由記述)(回答数:144件)
合計144件の記述がありました。内容を分類し、主なものを以下にまとめています。
申請段階
- 申請を受け付けてもらえない、主治医や支援関係者が無理と判断している場合がある
- 申請手続きが煩雑、多様な書面提出を求められる
- 申請に必要な書類の経費負担が本人にとって過大
- 軽度障害の申請希望者が増えた(社労士の広告の影響か?)
- 社労士や支援者が安易に「年金をとれる」と勧めているように思われる
裁定まで
- 追加資料の提出要請の増加(カルテ開示や状態の記述書類提出の要請)
- 申請から裁定までに月数がかかる
裁定結果について
- ガイドラインで該当と思われる等級に裁定されていない
- 診断書の記載内容が前回と同等でも不支給や等級落ちがある
- 同様の診断書でも、遡及請求が通らない・遡及部分のみ通った、など一貫性に欠ける
- 診断名によって不支給となる印象(状態が同じでも診断名により差がある)
- 「就労」「単身生活」「退院」などのエピソードで、不支給や等級落ちする印象
- 診断書と本人申立書の齟齬の指摘、診断書より(病識不十分な)本人申立の偏重
- 不支給理由の書面の記載がわかりにくい
- 支援者間(精神保健福祉士、社労士、役所職員)で「とりにくくなった」印象を共有
- 不服申立や再審査請求の支援が増えた
裁定結果の影響
- 不支給や等級落ちによる生活困窮
- 不支給や等級落ちによる不安感の増大、症状悪化
- (就労していると、もらいにくいため)就労訓練や就職のモチベーション低下
その他
- 障害が重いほどメリット(金額増)があり、支援においてストレングスモデルと矛盾
- 本アンケートがオープン形式では、精神保健福祉士以外が回答する可能性あり問題